2018年1月の雇用統計で大幅な賃金上昇が判明し投資家の間でインフレ懸念が生じたことから、株価は大きく下落しました。2月2日はNYダウ、S&P500指数ともに前日比2%以上下落しました。

投資リターンは物価上昇を加味した実質リターンが大事です。どれだけ名目リターンが高くても、インフレ率が高く実質リターンが低くてはリスクを取って投資をしている経済的意味はありません。

「将来の物価が上昇するのでは!?」という投資家の憶測は株価を下落させます。将来配当が一定と仮定すれば、株価下落は株式の名目リターンを上昇させます。物価が上昇しても今までと同程度の実質リターンが得られるまで株価は調整されます。

とこんな感じでインフレと株価には密接な関係があるわけですが、ここであなたはこんな疑問を抱くかもしれません。

俺たち日本人米国株投資家にとって、アメリカの物価が上がっても関係なくね!?

今後も日本で生活するんだから、アメリカの物価が上昇しても別に痛くも痒くもないだろ?

日本人投資家にとっては、米国のインフレ率が上がって米国株の名目リターンが上がった分はそのまま利益になるんじゃないか?

どうですか?
こんな疑問を持ちませんか?

アメリカの物価が上がっても別にそれは私たちにとっては関係ないことですよね。日本の物価が上がったら困るけど、アメリカの物価が上がっても困ることなんてありません。ってことは、アメリカのインフレ率が上がって米国株の名目リターンが上昇することはお得なことと言えるでしょうか。そんな美味しい話があるでしょうか??

私の結論を先に言えば、理論的にはそんなうまい話はないけど実際にはちょっとうまい話になる可能性があると思います。米国のインフレ率が上がることは、私たち日本人投資家にとってお得なことかもしれません。

 

 

繰り返しますが、アメリカのインフレ率が上がればそれに伴って米国株の名目リターンは上昇します。名目リターンが上がっても物価も上昇するから、実質リターンには影響しません。

でもでも、それはアメリカ人にとっての話ですよね。日本人米国株投資家にとってはアメリカの物価が上昇しても別に影響ないですよね。私たち日本人にとっては日本の物価が上がるかどうかが問題であって、別にアメリカの物価が上がったところで関係ありません。

それはその通りです。ってことは、アメリカのインフレ率が上昇して米国株の名目リターンが上がることは、私たち日本人投資家にとって嬉しいことと言えるのでしょうか?

アメリカ人にとって株の名目リターンが上がっても物価も同じくらい上がるなら、実質的な投資利益はトントンです。税金を考えたらむしろマイナスなくらいです。一方で、日本人投資家にはアメリカのインフレ率上昇は良いことづくめなのでしょうか?

米国株の名目リターンが上がるのに日本の物価は上がらないなら、日本人投資家は名目リターンの上昇分がそのまま実質リターンの改善に繋がるように一見思えます。

しかし、、残念ながら(理論的には)そんな美味しい話はありません。

確かにアメリカの物価上昇は私たち日本人には直接的には関係ありません。ですが、間接的に影響を受けます。間接的にとはつまり為替です。為替差損益で調整されます。アメリカの物価が上昇するということは、相対的にドルの価値が下落するということでドル安円高をもたらします。

日本の物価は横ばい、アメリカの物価は上昇。こうなれば、理論的には円高ドル安です。

なので、やっぱり日本人投資家にとってもアメリカ人投資家と同様で、米国のインフレ率上昇に伴って米国株名目リターンが上昇しても実質リターンは変わらないと言えます。アメリカ人投資家は物価によって実質リターンが補正され、日本人投資家は為替によって実質リターンが補正されます。

物価と通貨価値はコインの裏表の関係です。

 

 

ただ、以上の理屈を理解した上で敢えて言いますが、アメリカのインフレ率が上昇することは日本人投資家にとってやや有利かもしれません。なぜなら、物価変動は為替で調整されるとは言うものの、為替はそんな理論通りに動かないからです。50年レベルで見れば、為替レートは各通貨建ての物価変動率と連動しますが、短中期的には必ずしも連動しません。

アメリカのインフレ率が上昇して米国株の名目リターンが上昇しても、必ずしもそれが為替差損と相殺されるとは限らないと思います。だから、僕は密かにアメリカのインフレ率上昇を期待しています。もちろん、過度な物価上昇は経済を混乱させて企業利益に悪影響なので、程度の問題はあります。まあそこは優秀なFRBがコントロールしてくれると信じています。

歴史を振り返っても、インフレ率が上がると数年~10年のタイムラグを経て株価はインフレに追いつくようにググっと上昇してきました。そうやって米国株は実質で7%前後のリターンを株主に提供してきました。それは今後も変わらないでしょう。米国のインフレ率上昇が懸念されていますが、長期的に見ればインフレは株の実質リターンに中立だし、もしかしたら私たち日本人投資家にはプラスの影響があるかもしれません。

一つ最後に水を差すようですみませんが、インフレ率上昇と株価上昇はオンタイムには進まないことに注意しましょう。先ず物価が上昇して、その後に株価が上がる傾向があります。なのでインフレ率が高まる時こそ、辛抱強く長期ホールドする意志が求められます。