2018年版の米国会社四季報も手に入れたし、暇を見つけて米国銘柄分析記事のアップデートをしています。10-Kレポートの中身もじっくり見て記事を作成したいので、時間が取れる休日に更新作業をしていることが多いです。

その作業をしている中ですっごく気になることがありまして、それを聞いて欲しくて記事を書いています。四季報見てて「んんっ、この企業もか」って思っていることがあります。

昨年と比べて従業員数が減少している企業が多い!!

これ、すっごく気になっています。なぜでしょう、トランプ政権による法人減税から景気は上向きがちです。そもそも今年2月にアメリカで株価が急落したのは、労働市場が逼迫して賃金が上昇しそれが債券利回りを押し上げたからでした。普通に考えたら従業員数は増えているもんだと思いませんか??

ランダムに企業を抽出して、2016年末と2017年末の従業員数を比較してみました。データソースは四季報です。

ティッカー 企業名 2016年末
従業員数
2017年
末従業員数
判定
XOM エクソンモービル 71,100 69,600 減少
CVX シェブロン 55,200 51,900 減少
BA ボーイング 150,500 140,800 減少
LMT ロッキード・マーチン 97,000 100,000 増加
MMM スリーエム 91,584 91,536 減少
F フォード・モーター 201,000 202,000 増加
MKE ナイキ 70,700 74,400 増加
MCD マクドナルド 375,000 235,000 減少
DIS ウォルトディズニー 195,000 199,000 増加
AMZN アマゾン・ドットコム 341,400 566,000 増加
PG プロクター&ギャンブル 105,000 95,000 減少
KO コカ・コーラ 100,300 61,800 減少
PEP ペプシコ 264,000 263,000 減少
PM フィリップモリス 79,500 80,600 増加
MDT メドトロニック 88,000 102,688 増加
JNJ ジョンソン&ジョンソン 126,400 134,000 増加
PFE ファイザー 96,500 90,200 減少
BAC バンク・オブ・アメリカ 208,000 209,000 増加
WFC ウェルズ・ファーゴ 269,100 262,700 減少
GOOGL アルファベット 72,503 80,110 増加
INTC インテル 106,000 102,700 減少

増加:10社
減少:11社

なるべくセクターを分けてテキトーに選びました。まあ、どうしても馴染みのある企業が多くなってはいますが。とにかく恣意性はなくランダムに選んだと誓います。

で、どうでしょう。結果は半々ですよ。適当に選んだ企業21社のうち11社で従業員数が減少していました。

サンプルとして悪かったなと思う企業もあります。フランチャイズ化を進めているコカ・コーラ(KO)やマクドナルド(MCD)は、そりゃ従業員数が減って当然です。アマゾンは第二本社まで建設しているんだから、そりゃ増えて当然です。エネルギー企業は原油価格下落という市況悪化を受けてリストラを進めているから、従業員数が減っても違和感はないですかね。どうですかね~、上の表を眺めて率直にどう感じます?「別に違和感ないよ」って感じですか??

個別企業の事情は色々ありますが、それでも好景気の中、米国大企業をテキトーに選んでうち半数で従業員数が減ってるって何か意味深だと思いませんか?

僕が米国株銘柄分析記事をアップデートしている時の感覚と一致します。2社に1社くらいは従業員数が前年比で減少しているな~と感じていました。

どの企業も売上・利益伸びているにもかかわらず、半数の企業で従業員数が減っているってめっちゃ疑問です。自分の感覚、仮定と一致しません。四季報の集計が誤っているというオチだったらズッコケますけどね(笑)。その可能性は捨てていませんが・・。WSJでもよく人手不足で賃金が上昇しているという報道を見ます。なのに、なんでこんなに従業員数が減っているんでしょうか。わからん・・。

もしかして、、企業の経営者は来たるべきAI社会に向けてこっそり従業員数を減らしているのでしょうか。考え過ぎかな・・。いやいや、やはりこの2017年の従業員数減少が仮に一時的だったとしても、長期的には従業員数は減っていくと思います。

従業員数が減るというのは、我々株主にとってはポジティブなことです。それは単純に人件費が減ってEPSが増えるからです。もちろん、事業運営に支障が出るほど人員を削減されたら困りますけどね。「人件費(Labor cost)」という項目は営業費用の中でもっとも大きな割合を占めることが多いですが、もしかしたら今から30年、50年も経てば企業の損益計算書から消えているかもしれません。完全に消えることはないでしょうが、「その他費用(Other expenses)」の中の一部くらいになっているかもしれません。

う~ん、さすがにそこまで人が仕事をしなくなる時代はもっともっと先の未来ですかね。ちょっと考え過ぎかな。。

テクノロジーってS字カーブを描くように急にググっと進化して社会に浸透していくものです。自動運転車が街中を走っているシーンはまだ想像できませんが、意外とあと10年も経てばそこら中を走っているかもしれません。米国ではトラック運転手の不足が企業の運送コストを上昇させているみたいですが、その問題もテクノロジーがいずれ解決しちゃうでしょう。

あと30年後どんな未来が待っているのかな~。なんか激動の時代に生きている気がします。そう言えば、もう電車で新聞広げている人なんて誰もいませんよね。私が社会人になったばかりの頃(2009年)は、電車で新聞広げている人は結構いた気がします。てか、僕も電車で日経新聞を読んでたわw。たった10年で私たちの生活は大きく変わりましたよね。ジョブスは偉大です。

100年後の社会の教科書に、2000年~2030年が第四次産業革命期だったと書かれていそうな気がしてなりません。

株主で居続けましょう。人がやる仕事、労働は少しずつ消えていくかもしれませんが(そんな急に無くなるわけはないですが)、企業のビジネスリスクを負担して投資利益を得るという株主の役割は永久に不滅です。AI社会は明らかに資本家優位です。ネット証券でポチポチ株を買っているだけかもしれませんが、その1ポチの意義は大きいです。汗水垂らすことだけが仕事ではありません。