うちの会社は国内より海外売上高比率の方が高く、欧米アジアの経理マネージャーと毎日メールでやり取りします。月一で電話会議もあります(苦痛)。英語が苦手なので四苦八苦しながらやってますが、会計処理に関するコミュニケーションは比較的円滑にやれてます。簿記の基本的な考え方は万国共通だからです。

英語は苦手だけど、会計という得意な「言語」を通して異なる国、文化の方と意思疎通できます。やっぱ会計は言語だなって実感します。僕は日本語と会計のバイリンガルかもしれない。できれば英語も勉強してトリリンガルになりたいな。英語の勉強はもう何年もやってないから多分無理だけど。。

ところで、週毎の経理の仕事はこんな感じです。
1週目:単体決算締め
2週目:連結決算締め
3週目:決算分析
4週目:残務整理など

この中でもっとも人手を要する、というかシステム化できないのが3週目の決算分析です。定型的な分析レポートなんかはシステムが自動で生成してくれるものもありますが、分析となるとやはり人の目が必要です。

僕はこの辺の業績分析の取りまとめも行っています。自分自身も分析するけど、多くは後輩などチームメンバーに任せます。セグメントが多く、一人で見るのは不可能ですし、みんなで協力してやります。

でね、以前からの悩みなんですが、後輩の分析結果の報告が会計用語だらけなんです。僕としてはその会計用語をちゃんと日本語に訳して欲しいなっていつも思います。

たとえば「B事業の米国の利益率が普段よりかなり低いから、何が起こっているか調べてくれん?」ってな感じでお願いするとします。

すると、よくこんな回答がメールで返ってきます。

Hiroさん

B事業米国の利益悪化の件ですが、以下の連結仕訳が今月入ってることが主な原因であることがわかりました。

棚卸資産評価減 356百万円 / 棚卸資産 356百万円 

よろしくお願いいたします。

こういう報告を受け取ると戸惑います。「で?」、「結局どういうことなの?」って思います。

「棚卸資産評価減」というのは何らかの理由で在庫の価値を落とすことを意味します。確かにその勘定科目を教えてもらえれば、「何か在庫調整が起こったから今月の利益が一時的に悪化しているんだろうな」というのはわかります。

でも、それ以上のことはわかりません。もっとビジネス的に何が起こっているのか日本語で説明して欲しいなって思うわけです。「棚卸資産評価減 356百万円 / 棚卸資産 356百万円 」というのは日本語ではありません。会計という別言語です。

何て言うか、、「この英文を要約して日本語で説明して」ってお願いしているのに、英語で説明されてる感じです。ちゃんと要約はしているけど説明が英語。いやいや、日本語に訳して!

僕は米国B事業の利益率悪化の理由を課長に報告しなきゃいけないですが、この後輩のメールをそのまま横流しはできません。

「調べてくれてありがとう、、なんだけど、これってつまりどういうこと?」って聞き返します。時間なければもう自分で背景を調べますけど。

こんな回答をもらえれば凄く助かります。

Hiroさん

B事業米国の利益悪化の件ですが、以下の連結仕訳が今月入ってることが主な原因であることがわかりました。

棚卸資産評価減 356百万円 / 棚卸資産 356百万円 

米国のZZ工場で生産している製品Wが品質問題を起こして出荷できない状態が半年間続いています。在庫が滞留しているため、将来販売できないであろう在庫の利益相当を費用処理しています。

よろしくお願いいたします。


こんな感じで会計用語(仕訳)ではなく日本語で説明して欲しいです。これだとメールをそのまま課長に転送できます。

勘定科目は漢字だし、それだけで説明できている錯覚を覚えます。経理部っぽい感じもするしね。でも会計は日本語じゃないです。あくまで会計という別言語です。事業責任者や経営層に会計用語で説明するわけにはいきません。簿記を知らない人もいるわけだし。ちゃんと日本語で説明しなくてはなりません。だから会計を日本語に訳すという意識が大事です。

これ以前からずっと思ってることで、どうやったら改善するんだろうかって悩みます。分析をお願いすると「この調整仕訳が入ってました。」「あの連結仕訳の影響です。」って仕訳仕訳に話が飛びます。経理部だから仕訳で説明したくなる気持ちはわかります。でも、大事なのはその仕訳の背景にあるビジネスの実態を正確に捉えることです。