僕の上司が、以前仕事でトラブルがあった時「まー、別に死ぬわけじゃないし」と言ってました。確かにそりゃそうやな。別に死ぬわけじゃないし、事が起こってしまったらもうしゃーない。同じミスをしないように対策はしっかりせなアカンけど。

仕事でミスをしたり、失言しちゃったりすると落ち込むこともあるけど、時間が経てば忘れます。後から振り返ると「ああ、そんなこともあったな~」という程度。でも、トラブルの最中はそこまで冷静にはなれません。株価暴落と似てるかも。10年後に振り返ったら小さな株価下落に見えると言うけど、その時マーケットにいる人にとってはハラハラドキドキもんです。昨年後半の急落もそうだけど。

「所詮サラリーマン。他人(株主)のビジネスの為に雇われて働いているだけ」という、良い意味での楽観思考はあった方がいいんだろうなって思います。何かあった時の金銭リスクを負っているのは従業員ではなく株主です。だからってテキトーに仕事していいわけじゃないけど、良くも悪くも雇われ固定給の存在なわけだし、ちょっとは気楽に仕事するくらいの余裕感はあった方が健全だと思います。まあ、バックに株主が居るなんて普段は意識することないとは思いますが。

日本人ってみんな真面目ですよね。海外の人とも仕事することありますけど(主にメールベース)、日本って賃金が低い雇用区分の人も含めてみんな超マジメ。まるで自分が経営している会社かのように、夜遅くまで丁寧にアウトプットを作り上げてくれます。無断で期日に遅れることなんてほぼないです。

そうやって頑張って仕事してくれるのはありがたいことだし、素直に感謝してます。人手不足の中、後輩たちチームメンバーの頑張りなくしてチームのアウトプットを上司(課長、部長、CFOないし経営陣)に遅滞なく提出することは不可能です。最近はやむを得ず残業前提の仕事量を振ってしまうこともあり、申し訳ない気持ちがあります。「人を採用して欲しい」と上司にお願いはしているものの、なかなか良い人が採れないようで。

そこまで仕事を振っておいてこんなこと言うのは何なのですが、たまには音を上げて欲しい、弱音を吐いて欲しいなって思うこともあります(笑)。「Hiroさん、もう無理です。定時で帰るのでここまでしかできません!」くらいに。実際はそんなこと言う人はおらず、みんな黙々と遅くまで働いてくれます。

会社は株主と経営者のもの。少なくとも汗水たらして働いたことによる金銭利益は株主と経営者が吸い上げます(特に株主)。資本主義はそういうもんだからしゃーない。だからこそ、雇われ従業員はちょっとくらいサボってやろーという気持ちがあってもいい。ずる休みしろとか、勤務中にゲームしろとか、そういう意味じゃないんだけど、まあ気持ちの問題です。しんどくなったら休めばいい。

「精神病むまで、株主のために頑張る必要ってあるか?」って疑問に思うくらいの余裕があった方がいいと思うんです。そのためには株式会社制度、資本主義の仕組みをきちんと勉強しなくちゃいけない。株式投資するしないにかかわらず、資本主義の仕組みを知ることは大切なことだと思います。

仕事ってお金のためだけにするわけじゃありません。働きがいや、社会との関りを得るという目的もあります。真面目に一生懸命働くことは素敵なことだと思うし、どうせやるなら頑張った方が楽しいです。ただ、その努力がもたらす金銭利益の大半は株主が吸い上げます。それは悪い表現を使えば「搾取」となりますが、「搾取」は事業のリスクテイクの見返りとも言えるから別にフリーランチではありません。「搾取」は資本主義に内包された仕組みで、この仕組みのおかげで世の中ここまで豊かになりました。だから、この仕組みは当面は変わらないはず。

真面目に仕事を頑張りつつも、心の中で「どうせ俺が仕事頑張っても、利益は株主に吸い取られるんだろ。」という冷めた気持ちもあっていいと僕は思っています。追い込まれないために。体が疲弊することはあっても心が病むことがないように。経理は残業が多い部署の一つで、今まで何人か疲弊して嫌になって出社しなくなって、そして退職しちゃうことがありました。特に女性。女性の方が責任感強い人が多い気がします。もし自分のチームで、そういう人が出たらかなりショックです。

株式投資をやるやらないにかかわらず、資本主義の仕組みと株式会社制度を学ぶ意味は大いにあると思います。僕らが生活するこの社会のルールですから。オフサイドというサッカーの基本ルールを知らずに、張り切って試合に臨んでも疲弊するだけです。

後はいくらかの蓄えを持つことも大切。仮に会社から放り出されても、半年~1年くらいは生活できるお金はあった方がいい。それも心の余裕を生みます。

投資でも仕事でも心の余裕、「別に死ぬわけじゃないし」の精神って大切だと思います。