S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はテンセント(TCEHY)をご紹介します。

 テンセント銘柄分析

基本情報

会社名 テンセント
ティッカー TCEHY
創業 1998年
上場 2004年
決算 12月
本社所在地 中国 広東省
従業員数  
セクター ハイテク
S&P格付
監査法人

ダウ30 ×
S&P100 ×
S&P500 ×
ナスダック100 ×
ラッセル1000 ×

地域別売上構成比

セグメント別売上構成比

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

6年

過去6年の配当成長

年率+34.8%

この6年で配当は6.0倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去5年:+25.3%

バリュエーション指標(2018/12/31時点)

PER:29.3倍 最新情報はこちら

配当利回り:0.3% 最新情報はこちら

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テンセントは馬 化騰(英語名:ポニー・マー)が1998年に設立したネット関連企業。巨大な中国内需を取り込んで急成長しました。売上高の97%が中国国内です。

事業セグメントは以下の3つに分かれます。
・VAS(SNS、オンラインゲーム)
・Online advertising(ネット広告)

・Others(その他)

VASとはValue-Added Servicecsの略で日本語では「付加価値サービス」となります。抽象的なセグメント名ですが、ここがテンセントの屋台骨です。VASはSNSやオンラインゲームの収益が含まれており、売上高全体の65%を占めます。広告収入ではなくゲームの課金などが主な収益源ということですね。

SNSとしては簡易メッセージアプリのウィーチャット(微信)、QQがあります。使ったことはありませんが、調べる限りウィーチャットが日本のLINEに相当するみたいです。QQはウィーチャットの進化版?みたいな感じです。若者向けかな。互いに競合しそうですが、MAU(月間アクティブユーザー数)はどちらも膨大で、ウィーチャットが9.9億人、QQが6.8億人です。

また、中国版フェイスブックと言われるアプリがQZoneです。MAUは5.6億人。20億人以上のユーザー数を抱えるフェイスブックには劣りますが、それでも凄まじいユーザー数ですよね。 この馬鹿でかい内需が中国企業の強みですね。

次にゲームについて。ゲーム事業の売上高は年間1000億元超で、ソニーやアクティビジョン・ブリザード、マイクロソフトをすでに超えています。オンラインゲームのタイトルとしては、「リーグ・オブ・レジェンド」や「DnF(アラド戦記)」があります。やったことないのでどれくらい面白いのか想像もできませんが、きっと一度やり始めたら止まらないんだろうな。もちろん、スマホゲームでもたくさんのブランドを持っています。

広告収入(Online advertising)も大きな収益源ではありますが、まだ売上高全体の17%に過ぎません。収入の大半を広告に頼るアルファベットやフェイスブックとは異なるビジネスモデルであることがよくわかりますね。

財務データを見てみましょう。

売上高の急成長っぷりは驚きます。FY08~FY17までの成長率(CAGR)は48%で売上高は33倍にもなりました。2000年代、テンセントがこれほどの巨大企業に成長するとは誰が予想できたでしょうか。グロスマージンは低下傾向にあるものの、高収益なPLです。赤字決算は過去10年で一度もなく、毎年しっかり利益を出しています。

FY17の売上高は2377億元(約4兆円)で前年比+56%と大きく伸長。”Honour of Kings”等のスマホゲーム、「リーグ・オブ・レジェンド」等のPCゲームからの収入が増えました。また、SNS事業はゲーム事業以上の伸長率でした。広告収入も前年比+50%と成長中。

売上成長とともに利益もしっかり増えています。売上高純利益率(税引き後)は30%もあり驚異的です。税率が多少優遇されていることを割り引いても高い利益率です。ちなみに、アップルでも純利益率は20%強です。

業績拡大とともにキャッシュフローも増えています。営業CFマージンは45%ほど。米国の決済ネットワーク大手ビザに匹敵する収益性です。

バランスシートを見てみましょう。流動資産3割、固定資産7割という構成。流動資産の中身はほぼ現預金です。キャッシュリッチな金持ち企業です。固定資産の中身は関連会社への投資や売却可能金融資産が主です。想像通り無形資産が多いです。有利子負債は適度で財務は健全です。

配当は2011年から出しており、これまで増配を続けています。まあ、こんだけ儲かってるから余裕で増配できますね。これでも配当性向は10%ほどです。まだまだ成長企業ですから、株主還元は控え目です。自社株買いもそんなに多くない。今後本格的に還元ステージに入れば、莫大な株主還元が期待できそうです。