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税制改革案が上院を通過したけど、減税相場はもうしばらく続きそうです

   

米税制改正案が12月2日未明に上院を通過しました。
51対49という僅差でした。

米国企業の法人税率は35%から20%へと大幅に下がる見込みで、これはすべての米国企業の税引き後利益を押し上げます。税額控除の廃止や負債利子控除の削減など税負担が増える項目もあるみたいですが、全体としてみれば、今回の税制改革は企業収益を押し上げることになるでしょう。

ってことは、税制改革案が上院を通過したことは米株価にはポジティブに働きます。

が、しかし!

まだマーケットは減税の恩恵を完全には織り込むことができないだろうと思います。なぜそう思うかと言えば、上院案と下院案とで法人税率引き下げの開始年度が異なるからです。上院は2019年度から、下院は2018年度から法人税率を下げると言っています。

あ、この議論の前提ですが、まだ米税制改革案は確定していません。上院と下院でそれぞれの法案を可決しただけの状態です。これから、上院と下院の案を擦り合わせて一本化して最終的にトランプ大統領が署名して確定となります。両院合わせた税制案を固めるのはこれからです。早ければ年内には決まるでしょう。まあ、どういう案になれど法人税率が20%程度まで下がることはほぼ確実でしょうけどね。

上院と下院の法案でどこが違うのかWSJなどのメディアが色々と報じています。代替ミニマム税とかジョンソン修正事項とかヘルスケア税制とかに違いがあるみたいです。(すみません、ニュース読んでも知識不足であまり理解できませんでした・・)。

税制の内容に違いがあるのはよ~くわかるのですが、株価に与える不透明感という意味で一番大きいのは、法人税率引き下げの開始年度だと思うんです。下院は即時2018年度からの引き下げを訴えていますが、上院は1年先送りして2019年度から下げると言っています。たった1年の違いですが、この差は結構大きいです。

 

株価は近い未来の配当に大きな影響を受ける

株価は将来配当の割引現在価値の合計です。株価は来年、再来年、3年後、4年後・・・・50年後・・・・100年後の配当を織り込んで値付けされています。確かにそうなのですが、配当が遠い未来になればなるほど株価に与える影響は小さくなります。現在価値に割り引く過程で金額が小さくなってしまうからです。

割引率を7%とすれば100年後の1億円の現在価値はたったの10万円です。100年後の配当はほとんど現在の株価に影響しません。株価は理論上未来永劫の配当を反映してはいますが、実質的には30年後~50年後くらいまでの配当を反映していると思って差し支えないと思います。配当成長率によりますが、30年~50年より後の配当は金額的影響がかなり小さくなります。

近い未来の配当(利益)の方が株価にインパクトがあります。30年後の配当よりも来年の配当の方が株価に与える影響は大きいです。30年後の配当は30年分割り引かれるからです。

毎年の配当を同額とした場合の、将来の配当が株価に与える影響度のイメージはこんな感じです。
(配当成長率ゼロは非現実的な仮定ですが、時間価値を理解してもらうための例です。)
縦軸:配当の現在価値
横軸:年数(右に行くほど未来の配当)

1年後の配当がもっとも株価に影響を与えます。左端の棒が高くなっていますよね。で、右端40年後の棒は小さいですよね。40年後の配当なんて割り引かれたら現在価値はこんなに小さくなるんです。

こんな感じで、株価は将来の配当を織り込んでいるとは言っても、そんな遠い遠い未来の配当までは実質的には織り込んでいません。もちろん業種によりますけどね。将来の高い利益成長が期待されるハイテク銘柄などの株価は、遠い将来の配当水準の影響を相対的に受けやすいです。

30年後、40年後の配当が高かろうが低かろうが株価にはあまりインパクトはありません。それよりも来年、再来年など近い将来の配当の方が重要です。40年後の配当予想が(そんな予想無理だけど)半分になっても株価はほとんど動きませんが、来年の配当が50%カットとなれば株価は暴落します。最近減配を発表したゼネラル・エレクトリックを思い出して下さい。

マーケットは未来永劫の予想配当を合算して(現在価値に直したうえで)株価をはじき出していますが、近い将来の配当ほど株価への影響は大きくなります。

 

2018年度だけの違いだけど、株価にはまあまあ影響あると思います。

で、税制改革案の話に戻りますね。

繰り返しですが、法人税率引き下げについて、上院は2019年度から下院は2018年度からと法案で謳っています。どちらが最終案に採用されるかわかりません。減税が2018年からなのか、2019年度からなのか予断はできません。

ってことは、来年2018年度の税引き後利益がどうなるかわからんってことです。どちらの案も2019年度以降は減税で一致しています。違うのは2018年度の法人税率が高いか低いかです。たった1年だけの話です。でも、その1年が大事なんです。来年という近い未来の話だからです。株価は目前の2018年度の利益に過敏に反応するんです。ファイナンス的に言えば、来年の利益(=配当原資)はほとんど割り引かれることなく株価に織り込まれるので、影響が甚大になるということです。


2018年だけの違いなんですが、これが意外と株価に影響を与えちゃうはずです・・。
(改定後の税率は20%と決まったわけじゃないです。)

ここまで税制改革案の審議が進んだ以上、マーケットはある程度減税を織り込むでしょう。しかし、まだ完全には織り込めないはずです。上院と下院とで法案内容に差異があるのもその理由の一つですが、もっとも大きいのは法人税減税がスタートする年度が違う点だと思います。もちろん、2018年から減税となる下院案の方が企業には(株主には)有利です。

今回の税制改革案の上院通過によって、株価が減税を完全に織り込むことはなさそうです。まだしばらく減税を材料に株価が動く日々は続きそうです。トランプ大統領は「減税を国民へのクリスマスプレゼントにする」と言っていますから、年内確定が一応目標なのでしょう。

まあ長期投資家は慌てることなくゆっくり相場を眺めておきましょう。31年ぶりの税制改革です。マーケットがどう反応するか見るだけでも貴重な勉強の機会です。

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