日本株にはアメリカ株にはない特殊な慣習があります。
そう株主優待。
以下はZUUonlineに載っていたおすすめ株主優待です。
会社名 | 優待内容 |
イオン | キャッシュバックカード |
コロワイド | 食事ポイント |
マクドナルド | 食事券 |
JAL | 航空運賃割引券 |
吉野家 | 300円サービス券 |
オリエンタルランド | 1dayパスポート |
ゲオ | レンタル優待 |
ゼンショーHD | 食事券 |
アトム | 食事券 |
ソフトバンク | 携帯電話、インターネット料金割引 |
食事券や割引券などが多い印象です。
確かにこれらの”プレゼント”を友人や家族もらったら嬉しいですよ。でも株主優待としてもらっても全く嬉しくないです。
株主優待があると株価が上がらなかったり、配当が減っても優待という利益が得られるというメリットが強調されますが、株主優待は本当に株主の利益なのでしょうか。
私は株主優待は個人株主を馬鹿にした最低の制度であり、日本の資本主義レベルの低さを象徴したものだと思っています。
株主優待はアホな制度
先ず配当金を考えてみる
そもそも、株主って何でしょうか?
株主とは投資先企業の法的かつ経済的な所有者です。会社は株主のものです。
株主はビジネスリスクを負っていて、万が一会社の資金繰りが行き詰ったら債権者(銀行)に乗っ取られるリスクを抱えていますし、株券は紙くずになるリスクもあります。
会社が株主のものということは、会社から財産が流出したらそれは株主の負担になるということです。
会社から財産が流出したらBSの純資産が減ることになります。それは当然株価下落や減配という形で株主の懐を痛めるのです。
こんなの言わなくても当然だと思いますよね。でもどうやら多くの残念な日本株投資家たちはこの基本的なことすらわかっていないのではと危惧しています。
「配当落ち」という言葉があります。
配当権利確定日を過ぎた時点で配当相当の財産流出をマーケットが織り込んで、株価が下落する現象です。
これは配当というキャッシュが会社から流出するのだから、当然その見合いの株価は下落するということです。
配当金10万円もらって喜ぶのは正常な心理ですが、でもその分は株価は下落しているはずですから配当を貰おうと貰わまいと経済的な損得はないはずです。会社が配当を渋って内部留保してもその分配当落ち相当の株価下落はないわけですから。
配当金ですらあってもなくても理論的には株主利益に影響しないのです。むしろ税金がかかる分損と言ってもいいくらいです。
実際はそう理論通りではなく、例え株主に所得税が発生したとしても積極的に配当を支払う会社に投資したほうが長期リターンが良くなるという事実を発見をしたのがシーゲル教授です。
それはエージェンシー問題に関わることですが、この記事の本題とそれるので詳しい話は割愛します。
言いたいことは、配当金ですら理論的には株主利益と関係ないということ。
なぜなら配当とは自分が所有している会社にある現金を、自分の手元に持ってくるだけだからです。
想像してください、銀行ATMから預金を10万円を下ろして財布に入れても嬉しくないですよね?
(心理的には財布がホカホカで嬉しい!? 預金残高が減って悲しい!?)
税金を無視すると、配当とはこのATMからお金を引き出す行為と同じです。
株主優待を考える
話を株主優待に戻します。
株主優待って、別にお食事券やキャッシュバックカードが空から降ってくるわけではないのです。神様からの天の恵みではないんです。
そういうフリーランチは世の中に存在しないと、警戒して生きるくらいがこの資本主義社会ではちょうどいいと思います。
人を疑いすぎる人生はつまらないと思いますが、資本主義社会制度には常に警戒心を持っていたほうがあなたの財布は強くなると思います。
アホな情弱からは取れるだけ取るのが資本主義社会です。世の中に星の数ほど存在する高コストな投資商品や保険商品を考えてみて下さい。
株主優待だって配当金と同じく、会社からの財産の流出なわけです。
「配当落ち」ならぬ「優待落ち」が必ずあるはずです。
ちょっと会計的に考えてみて下さい。
食品会社が自社の商品1億円分を株主に株主優待として配ったとします。
どういう会計仕訳が起こりますか?
雑費 1億円 / 棚卸資産 1億円
株主への配布だから剰余金処分ではという意見もあるのは承知ですが、実務上は普通に費用処理します。費用処理です。何度も言いますが費用ですよ。
これは誰の費用なの?
株主の費用ですよ。
この雑費1億円は損益計算書の販売費および一般管理費として計上され、当期純利益を押し下げます。利益が下がるのだからその分株価も下がります。
株主優待だって会社からの財産の流出であり、会計上の費用なんだからそれは当然株主の負担なわけです。
ここまで言って、株主優待を喜ぶ人は頭がどうかしていると思います。
1億円分の株主優待が実施されたら、(1億円/発行済み株式数)に相当する株価下落が起こるのです。
なぜ、わざわざ物の形での分配を望むのですか?
なぜ配当金として300円貰って牛丼を食べるのではなく、お食事券として優待を貰って牛丼を食べたいのですか?
お金でもらうのが最も汎用性があっていいじゃないですか。300円を現金でもらえばやっぱり牛丼ではなく、丸亀でかけうどんにしようっていう選択もできるじゃん。
なんで自ら資金使途の制約を掛けたがるのですか? ドMですか?
株主優待とは、銀行ATMから10万円のお金を引き出そうとしたら、ATM機械から現金ではなく10万円相当のデパート商品券が出てくるようなものです。
ATMから現金ではなく、商品券が出てきたらみんな怒るでしょ?
では、なぜ株主優待はみな喜ぶでしょうか?
(あの優待好きな自転車じーさんの影響でしょうか?)
恐らく、株主優待は自分が所有している会社からの財産の流出という意識が希薄なせいだと思います。
つまり無知なんです。株式制度とか資本主義制度について無知だからです。
資本主義社会では無知な情弱はぼったくられる運命にあるので、しっかり勉強して自己防衛するしかありません。
日本株式市場の低レベルの象徴
アメリカで経営陣が株主優待なんて言い出したら、株主から大反対くらうはずです。
そんなのん気に優待出す暇があったら、増配しろ自社株買いしろと言われるのが落ちです。
株主優待制度は、アメリカから絶対に馬鹿にされているんだろうなって思います。
日本株式マーケットは長期個人投資家層が薄くて、ただでさえボラティリティの高い新興国のようなマーケットなのに、貴重な個人投資家でさえこのレベルなわけです。
株主優待は日本株式市場のレベルの低さの象徴です。
僕は株主優待制度は大反対です!
Hiro様、
はじめまして、本日初めて拝見し、とても参考になるサイトだと感じました。私もアメリカ株に長期投資で配当金生活を目指していますが、やはり暴落などが怖いと感じていましたが、とても勉強になると思いました。
今後とも貴重な情報をどうぞ宜しくお願いします。
まずは取り急ぎお礼まで。
のりのりっち様
はじめまして、ブログをご覧いただきありがとうございます。
そうですね、私も色々勉強した結果、やはり配当目的で長期投資するならアメリカ株を中心にすべきだと思っています。
暴落はリーマンショックの様な流動性が枯渇するタイプは、特に予見できないのでもう受け入れるしかないですね。
私は来るかわからない暴落のためにあえて一定の資金を預金に残すべきか、常にフルインベストにすべきか今でも迷っています。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
はじめまして!
いつも記事を楽しく拝見、また参考にさせていただいています。
日銀がETFの買い入れの増額をしたのを見て、
中央銀行が株式市場を歪めている日本の現状に嫌気がさし
つい最近ですがアメリカ株の口座を開きETFの購入を始めました。
ちなみに銘柄はXLVとVDCの2つを軸にしようと思っています。
今回の記事で少し思うことがあり会計のド素人ながら書き込みさせていただきました。
株主優待の原資がそもそも費用である旨の記述があり、なるほどと思いました。
ただその上で株主優待の利点もあるのではないかと思いました。
それは株主優待の場合は税の源泉徴収がされないということです。
ご存じだとは思いますが、配当金は受け取るときに
20.315%の税を源泉徴収されますが、株主優待はそれがありません。
この20.315%という税率は大きな差だと思います。
ただ厳密にいえば株主優待も雑所得にあたるので、
給与所得者の場合20万円を超える株主優待があれば
確定申告をする必要がありますが。
それとたまたま私は最近「賢明なる投資家」を読んでいたんですが、
その中に株式会社に利益を内部留保させても
結局非効率な使い方をさせることが多いのだから、
それなら配当金として株主に支払ってしまったほうがいい、
また結果的にも高配当株のほうがよいパフォーマンスを上げているとの記述がありました。
その論に従うなら株主優待の形で株主に利益を還元させるのも
アリなのではないかなと感じました。
ただ日本の株主優待制度の存在が私の資産をアメリカ株へ移していくことを
止める理由にはならないんですけどね。
駄文長文失礼いたしました。
はじめまして、いつもブログご覧いただきありがとうございます!
VDC、XLVどちらも高パフォーマンスが期待できるいいETFですよね!
私は悩んだ末VDCは主力商品の一つとしていますが、XLVは買わないことにしました。
株主優待の所得税の件、おっしゃる通りです。
この税金の件は、今週別の記事に上げる予定にしています。
先取りされてしまいましたね(笑)。もしよければ記事をお待ちください。
株主優待が雑所得扱いになるとは知りませんでした!
貴重な情報ありがとうございます、勉強になります。
是非記事の中でも書かせてください。
そうですね、過剰な内部留保は結局は株主利益に貢献しないので、自社株買いや配当を積極的に行っている高配当銘柄が
長期投資パフォーマンスはいい傾向にあります。
もしよかったらジェレミー・シーゲル教授の『株式投資の未来』という書籍をお読みになってみて下さい。
すでに読まれていたら失礼しました。
確かにとらえようによっては(特に税務面では)、株主優待の形で株主に還元していく方法は賢いとも思います。
でも株主優待はファンドに投資している人には恩恵はないし、やはり邪道な還元方法だと私は思っています。(この件も記事にする予定です。)
考え方は人それぞれだと思います!
私は私の考えを(間違っているかもしれませんが)どんどんブログに書いていくつもりですので、もしご意見ご批判等あれば今後もいつでもコメント下さい。
もちろん過去記事の中でも疑問点やご批判あればいつでもコメント歓迎です。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
こんにちはHiroさん、投資において重要なことは、得られたお金をそのまま再投資に回すことだと思います。株主優待なんて本当に頭狂っているというか。。。例えば得られた配当金を使って株式をまた買う。もしくはちょっとギャンブルがてら低リスクのオプション取引(コールオプションの買い、プットオプションの買い)をすればレバレッジをかけてさらに儲ける可能性がありますからね。ちょっとギャンブル的なこともチャレンジしたいとは思っていますが。。。一番賢いのはそのまま再投資か、ダウ、S&P500のETFを買うことなんでしょうけど。
カイトさん、はい私もそう思います。
資産を長期的に殖やすうえで重要なのは再投資ですよね。
配当金を再投資に回すかどうかはさて置き、そのお金をどう使うかは各投資家さんの判断に委ねるべきだと思います。
再投資に回さずに、配当金でちょっと豪華なディナーに行くとか素敵だと思いますし。
色んな考えの投資家がいるので、最も汎用性の高い現金という形で利益を還元するのが望ましいと思います。
とにかく還元される利益をどう使うかはすべて株主に委ねるべきだと思います。
それを勝手に、商品券や自社製品にして還元する優待制度は変な制度ですね。
投資信託なんかは分配金に課税されない点はいいのですが、分配金の裁量性という点がちょっとネックだなって思います。
同一商品に再投資し続けるならそれでいいですが、別の商品に再投資したいと思ったとき融通が利きませんね。
仰ることはごもっともで。
株主優待は資本主義レベルの低さを具現したものだと思います。
ただ、株主優待によって浮いたお金を丸ごと投資に回せられるようになると考えれば悪くもないのかななどと考えることもあります。
例えば、普段行きもしないレストランのお食事券をもらって食費が浮いたぜ!この分の食費を投資に回せることになる!とはさすがに思いませんけど。自炊した方が安上がりでしょうし。
しかし、納得の行く額分のクオカードを頂けるならば、(少なくとも私は)確実に日常生活で使用するコンビニなどで発生する支出を浮かせてその分を投資に回せるので大差ないのかなと思っています。むしろ優待品は非課税ですからちょこっとプラスかもしれないです。
制度、仕組みとしては自分も好きではないですし、日常生活で利用しているサービスや商品との置換が可能な優待であることは条件になりますが、実質的に考えると一概に悪くはないのかなと思ったりすることもあります。
なるほど、実質現金として扱えるものは経済的にメリットありそうですね!
さらに言うと、株主優待費用は税務上損金になるというメリットもあります。
法人税を減らしつつ、実質的に株主に現金を還元できるかもしれません。
ただ私も仕組みとしては株主優待は好きになれません。
日本独特ですね。
ご意見ありがとうございました。