株式投資は長期で行うのが王道です。

特に私が行っているシーゲル教授流の高配当バリュー銘柄の配当再投資戦略は、長期保有とコツコツ追加投資が高いパフォーマンスの大前提です。

すべでの株式投資が長期投資目的である必要はありません。
株主価値を大切にしないようなクソ株であっても、一時的にあまりに割安で放置されているのを掴んで短期的な値上がり益を狙う方法は批判されるものではないし、そのような投機家がいるからこそ市場の価格形成力が高まるわけです。

でも長期的に資産を形成したい大半のサラリーマンにとって、投資は長期目的のはず。
マーケットに張り付いて短期売買する時間も知識もないはず。
私もそうです。

長期投資家は例え激安な株を発見したとしても、それが名前も聞いたことがない新興株だったら手を出すべきではないです。そうではなく、そこそこの価格でもいいので常に株主価値の増大に力を入れている優良大企業に投資して永久保有すべきです。配当再投資も忘れずに。

価格をそこそこに抑え、強いブランド力で営業キャッシュを稼ぎまくる銘柄を選択できたら、残る敵は税金と手数料のみです。

特に途中で株を売却することでキャピタルゲインを実現させてしまうことによる、所得税の前払いは極力なくすべきです。
キャピタルゲイン、株式の含み益は「国家からの無利子の貸付金」だとバフェットやジョン・ボーグルは書籍で言っています。
無利子で借りているお金を敢えて繰り上げ返済するバカはいないでしょ。

個別株式を購入している人は、その株を保有し続ければキャピタルゲインは永遠に実現しないので心配無用。
私のようにETFで投資している人は、たとえそのETFを永久保有しているつもりでも、そのETFがファンド内で銘柄を入れ替えることで幾らかのキャピタルゲイン税が発生します。
これを完全にゼロにすることは不可能。

S&P500連動型のETFで売買回転率は2~3%程度。
セクター特化柄のETFで売買回転率は5%程度です。
できればETFの回転率は5%程度に抑えたいところ。

ところが世間で優良ETFともてはやされている商品の中に回転率が高いものがあります。
それが高配当ETF。
バンガードのVYMは10%ほどだし、VIGは20%にも上ります。
詳しくは以下の記事。
優良ETFの意外な落とし穴

高配当ETFは配当利回りが低下した会社を構成銘柄から外して、配当利回りが高まった会社を構成銘柄に採用するという作業が必要なため回転率が高まっていると推測されます。

高配当ETFは非常に好きで私も保有しているのですが、最近はこの高い回転率による税務効率の悪さを少し懸念しています。

  HDVの銘柄回転を確認したい!

バンガードのETFはバンガードの商品紹介のサイトで回転率を確認できます。
例えば、回転率が20%にも上るとして警戒しているバンガード米国増配株式(VIG)の商品説明はこちらです。

VIG

売買回転率21.6%とありますよね。

でもステートストリートやブラックロックのETFには商品紹介に売買回転率の記載がありません。

 

HDVの銘柄構成推移

私が最近もっとも気に入っているETFはブラックロックのiシェアーズ・コア米国高配当ETF(HDV)です。
このHDVも実はそこそこ回転率高いのではと疑っています。

そこで回転率はわかないものの、過去からの主要構成銘柄の推移を調べてみることにしました。

80:20の法則という言葉がありますが、このHDVも例外ではなく上位20の銘柄で全体の8割を占めます。そこで上位20銘柄の推移を2011年12月から調べました。

2011年12月 2012年12月
ティッカー 銘柄名 保有比率(%) ティッカー 銘柄名 保有比率(%)
T AT&T 10 T AT&T 8.94
PFE ファイザー 7.27 CVX シェブロン 6.51
JNJ ジョンソンエンドジョンソン 7.07 MSFT マイクロソフト 6.34
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 6.62 JNJ ジョンソンエンドジョンソン 6.18
PG プロクター・アンド・ギャンブル 6.59 PFE ファイザー 5.92
PM フィリップ・モリス・インターナショナル 6.28 PG プロクター・アンド・ギャンブル 5.49
MRK メルク 5.53 VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 5.27
INCO インテル 4.63 PM フィリップ・モリス・インターナショナル 4.97
MO アルトリア・グループ 3.92 MRK メルク 4.39
COP コノコフィリップス 3.69 INCO インテル 4.16
ABT アボット・ラボラトリーズ 3.42 MO アルトリア・グループ 3.11
BMY ブリストル・マイヤーズ・スクイブ 2.65 COP コノコフィリップス 2.96
LLY イーライリリー・アンド・カンパニー 2.27 MCD マクドナルド 2.83
KFT クラフトフーズ 2.16 BMY ブリストル・マイヤーズ・スクイブ 2.06
SO サザン 1.88 DUK デューク・エナジー 1.98
DUK デューク・エナジー 1.56 LLY イーライリリー・アンド・カンパニー 1.89
EXC エクセロン 1.54 KTF モンデリーズ・インターナショナル 1.86
D ドミニオン・ソリーシズ 1.31 CTL センチュリー リンク 1.68
KMB キンバリークラーク 1.28 SO サザン 1.57
LOM ロッキード・マーチン. 1.2 DD デュポン 1.51
合計 80.87 合計 79.62

 

2013年12月 2014年12月
ティッカー 銘柄名 保有比率(%) ティッカー 銘柄名 保有比率(%)
T AT&T 10.12 XOM エクソン・モービル 9.26
CVX シェブロン 8.14 T AT&T 7.5
JNJ ジョンソンエンドジョンソン 7.53 VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 7.03
PG プロクター・アンド・ギャンブル 6.57 GE ゼネラル・エレクトリック 6.72
PM フィリップ・モリス・インターナショナル 6.35 CVX シェブロン 6.58
MRK メルク 5.3 PG プロクター・アンド・ギャンブル 5.35
INCO インテル 4.91 PFE ファイザー 4.87
KO コカ・コーラ 4.53 PM フィリップ・モリス・インターナショナル 4.5
MO アルトリア・グループ 4.04 KO コカ・コーラ 3.71
COP コノコフィリップス 3.55 MRK メルク 3.61
MCD マクドナルド 3.4 MO アルトリア・グループ 3.08
BMY ブリストル・マイヤーズ・スクイブ 2.49 CSCO シスコシステムズ 3.06
DUK デューク・エナジー 2.29 COP コノコフィリップス 2.97
LLY イーライリリー・アンド・カンパニー 2.04 MCD マクドナルド 2.62
SO サザン 1.87 KMI キンダー・モルガン 2.44
DD デュポン 1.85 OXY オクシデンタル石油 1.75
LOM ロッキード・マーチン. 1.6 DUK デューク・エナジー 1.74
TXN テキサス・インストゥルメンツ 1.4 SO サザン 1.47
D ドミニオン・ソリーシズ 1.37 LLY イーライリリー・アンド・カンパニー 1.42
KMB キンバリークラーク 1.27 LMT ロッキード・マーチン 1.26
合計 80.62 合計 80.94

 

2015年12月 現在(2016年6月)
ティッカー 銘柄名 保有比率(%) ティッカー 銘柄名 保有比率(%)
XOM エクソン・モービル 10.16 XOM エクソン・モービル 10.05
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 7.82 VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 7.04
JNJ ジョンソンエンドジョンソン 7.06 JNJ ジョンソンエンドジョンソン 6.77
CVX シェブロン 7.02 CVX シェブロン 6.58
PG プロクター・アンド・ギャンブル 6.35 PFE ファイザー 6.36
PFE ファイザー 5.99 PG プロクター・アンド・ギャンブル 5.3
PM フィリップ・モリス・インターナショナル 5.55 WFC ウェルズ・ファーゴ 4.99
KO コカ・コーラ 4.57 PM フィリップ・モリス・インターナショナル 4.94
MRK メルク 4.42 MRK メルク 4.21
MO アルトリア・グループ 3.96 KO コカ・コーラ 3.9
INTC インテル 3.94 INTC インテル 3.78
CSCO シスコシステムズ 3.81 IBM IBM 3.71
MCD マクドナルド 2.91 MO アルトリア・グループ 3.49
OXY オクシデンタル石油 2 CSCO シスコシステムズ 3.32
SO サザン 1.8 MCD マクドナルド 2.47
UPS ユナイテッド・パーセル・サービス 1.71 OXY オクシデンタル石油 1.88
LMT ロッキード・マーチン 1.53 UPS ユナイテッド・パーセル・サービス 1.7
D ドミニオン・ソリーシズ 1.39 SO サザン 1.54
KMB キンバリークラーク 1.19 LMT ロッキード・マーチン 1.45
EMR エマソン・エレクトリック 1.11 D ドミニオン・ソリーシズ 1.2
合計 84.29 合計 84.68

 

ティッカーコードのみ表示で並べると以下。

2011年12月 2012年12月 2013年12月 2014年12月 2015年12月 現在(2016年6月)
ティッカー 保有比率(%) ティッカー 保有比率(%) ティッカー 保有比率(%) ティッカー 保有比率(%) ティッカー 保有比率(%) ティッカー 保有比率(%)
T 10 T 8.94 T 10.12 XOM 9.26 XOM 10.16 XOM 10.05
PFE 7.27 CVX 6.51 CVX 8.14 T 7.5 VZ 7.82 VZ 7.04
JNJ 7.07 MSFT 6.34 JNJ 7.53 VZ 7.03 JNJ 7.06 JNJ 6.77
VZ 6.62 JNJ 6.18 PG 6.57 GE 6.72 CVX 7.02 CVX 6.58
PG 6.59 PFE 5.92 PM 6.35 CVX 6.58 PG 6.35 PFE 6.36
PM 6.28 PG 5.49 MRK 5.3 PG 5.35 PFE 5.99 PG 5.3
MRK 5.53 VZ 5.27 INCO 4.91 PFE 4.87 PM 5.55 WFC 4.99
INCO 4.63 PM 4.97 KO 4.53 PM 4.5 KO 4.57 PM 4.94
MO 3.92 MRK 4.39 MO 4.04 KO 3.71 MRK 4.42 MRK 4.21
COP 3.69 INCO 4.16 COP 3.55 MRK 3.61 MO 3.96 KO 3.9
ABT 3.42 MO 3.11 MCD 3.4 MO 3.08 INTC 3.94 INTC 3.78
BMY 2.65 COP 2.96 BMY 2.49 CSCO 3.06 CSCO 3.81 IBM 3.71
LLY 2.27 MCD 2.83 DUK 2.29 COP 2.97 MCD 2.91 MO 3.49
KFT 2.16 BMY 2.06 LLY 2.04 MCD 2.62 OXY 2 CSCO 3.32
SO 1.88 DUK 1.98 SO 1.87 KMI 2.44 SO 1.8 MCD 2.47
DUK 1.56 LLY 1.89 DD 1.85 OXY 1.75 UPS 1.71 OXY 1.88
EXC 1.54 KTF 1.86 LOM 1.6 DUK 1.74 LMT 1.53 UPS 1.7
D 1.31 CTL 1.68 TXN 1.4 SO 1.47 D 1.39 SO 1.54
KMB 1.28 SO 1.57 D 1.37 LLY 1.42 KMB 1.19 LMT 1.45
LOM 1.2 DD 1.51 KMB 1.27 LMT 1.26 EMR 1.11 D 1.2
80.87 79.62 80.62 80.94 84.29 84.68

 

やはりそこそこ銘柄入替はあるようだが思ったほどではない

さすがHDV、いつの時代も上位銘柄は長期投資にふさわしい黄金銘柄ばかりです。
HDVはモーニングスター配当フォーカス指数というインデックスに連動していますが、この指数かなり信頼できるものと思われます。

常に優良企業で構成されていることは想定内ということで、肝心の銘柄入替の頻度を観察してみます。

まず最も目立つのがAT&T(T)が2014年末まで構成比率1位,2位だったのに、2015年になって忽然として姿を消していること。
どうしたのでしょう、AT&Tは今でも高配当利回りの優良銘柄だと思うんですねどね。
ベライゾンとの重複を気にしたのでしょうか。

2012年にマイクロソフト(MSFT)が構成銘柄に選ばれていますが、翌年にはもう消えています。
なぜでしょうかね?
マイクロソフトは優良バリュー銘柄でいい選択だと思うのですが、なぜわずか1年で売却したのでしょうか。

現在構成比率1位のエクソンモービルは2014年から採用されていますね。
それ以前のエネルギーセクターの構成銘柄はシェブロン(CVX)とコノコフィリップス(COP)。
シェブロンは今でも存在しますが、コノコフィリップスは2015年から消えています。

バフェット銘柄として有名なウェルズ・ファーゴ(WFC)は2016年新たに採用された銘柄だったようですね。

ちょっと意味不明なのがベライゾン(VZ)の動き。
2011年、2012年と上位に姿がありますが2013年に外されています。
と思ったら2014年からまた復活。
こういうことをなるべく止めてほしいですよね。
2013年に一度売却した時点でキャピタルゲインが実現して税金払うんですから。

2011年からずっと保有している銘柄は、
・ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)
・プロクター&ギャンブル(PG)
・ファイザー(PFE)
・メルク(MRK)
・フィリップモリス(PM)
・アルトリア・グループ(MO)
・ドミニオン・ソリーシズ(D) ←2012年,2014年は21位以下ですが構成銘柄です。
・シェブロン(CVX) ←2012年からですが。

さすが2011年からの継続保有銘柄は納得の顔ぶれ。
個別株投資するなら、先ず間違いなく候補に上がるような優良バリュー銘柄です。
この8銘柄の直近2016年6月の合計構成比率は約38%
約4割は5年間継続保有しているということでちょっと安心。

HDVの推定売買回転率はVIGの20%ほど高くはないと思われます。
VYMの10%程度ではないかというのが私の推定計算。

 

   安心したと同時に個別株を真剣に検討しなくてはと思った

HDVが継続保有している銘柄を見て安心しました。
その他も、グルングルン回転売買されている印象はありません。

ETFという選択をした以上、これくらいの回転売買は許容すべきなのでしょう。

HDVの5年間リターンは12.7%でS&P500に連動するIVVの11.6%をアウトパフォームしています。
IVVよりも回転率が高いと思われますが、それでもHDVの方が高リターンなのがシーゲル教授が主張する高配当バリュー銘柄の配当再投資が正しいことを証明しています。

HDVは良いETFです。
S&P500連動のETFもいいですが、このHDVを買って長期保有しきちんと配当再投資をし続けていれば、S&P500を恐らく超えることができます。

年率13%、十分です。
これ以上の年率リターンを求めるのは強欲かもしれません。

でも恐らくHDV構成銘柄にあるようなバリュー銘柄を個別株式で購入し、永久保有+配当再投資すればHDVすらアウトパフォームする可能性があります。
なぜなら、キャピタルゲイン実現による税金の前払を完全に失くすことができるからです。

個別株式を買うにしても3銘柄くらいでは、分散リスクが甘いです。
個別株に投資するなら少なくとも15銘柄は欲しいところ。

ただ、ETFと組み合わせて投資するのであれば、優良企業に限定して5銘柄くらいに投資するのもありかな、なんて最近考え出しています。

インデックス投資を始めた頃はまさか自分が個別銘柄を検討するなんて思っていませんでした。ですが、今は真剣に検討しています。
まだ決めていませんが。

ブログのネタにもなるし、アメリカの個別銘柄買おうかなー。