Grow Rich Slowly シーゲル流米国株投資で億万長者になる!

米国株投資を通じて資本主義社会を豊かに楽しく生きる

*

従業員不正に揺れるウェルズ・ファーゴ(WFC)への投資判断

      2016/10/03

伝統ある大手リテール銀行でバフェット銘柄としても有名なウェルズ・ファーゴが揺れています。

従業員不正問題が明るみに出ました。口座開設や販売目標など広範囲な違法行為があるとの当局指摘を受けて1.8億ドルの和解金を支払うことにウェルズ・ファーゴは合意しました。

ウェルズの従業員は架空の銀行口座を開設したり、クレジットカードを発行したりして偽り営業成績を作り上げていました。

ウェルズ・ファーゴでは1998年にディック・コバセビッチがCEOに就任してからクロスセリングという販売手法で収益拡大を目指し始めました。

米国の銀行は平均して1顧客に3つの商品を販売していましたが、ウェルズでは口座を開設した1顧客に8つの商品を販売する目標を掲げ、従業員にそのような販売インセンティブを付与しました。

従業員はボーナスが欲しいし目標達成に向けて頑張るわけです。それ自体は普通のこと。米国らしくちょっと厳しいなと思ったのは営業成績が下位の従業員はクビにされてきたそうで、過去5年間に解雇にしてきた人数は延べ5,300人に上るとのことです!

解雇規制が厳しい日本では絶対に考えられない話です。


  WFCへ投資すべきか?

さて、この不正問題を受けてウェルズ・ファーゴ株は売られているわけですが、これをウェルズ・ファーゴ株への投資チャンスと判断すべきか、米国株投資家としては迷うところですね。

なんせウェルズ・ファーゴはバフェット銘柄でもあり、恐らく金融セクターでは最も長期投資に適していると考えられている企業です。このような超優良企業が個別企業の特殊事象に起因して割安に売り込まれることは滅多にあるものではありません。
(WFCが割安なのかどうかはわかりませんが。)

当局への支払い1.8億ドルはウェルズの利益規模を考えればカスみたいなものなので、全く問題なし。これがウェルズの資金繰りを困らせることはあり得ない。

考えるべきはこの不祥事が、ウェルズの今後のキャッシュ創出能力に影響するのか否か?早期に解決可能な一時的な問題なのか、根本からウェルズのビジネスを揺るがす問題なのかということでしょう。

私の結論を先に言いますと、今回の従業員不正は今後のウェルズの銀行ビジネスに大きなマイナス影響はないが積極的に買うという判断は困難、というものです。
中途半端な結論ですみません。。

「金融」というセクターは目に見えないし専門的なイメージがあるかもしれませんが、個人的には「生活必需品」と同じくらい永続してキャッシュを生む分野だと思っています。特にウェルズ・ファーゴの伝統的金融の分野は。

金融の専門家でも何でもない私がそう思うのは日々の日常生活で金融サービスなしで生活するのは不可能だと感じているからです。

資金決済、クレジットカード、融資などの金融機能は私たちの豊かな暮らしに必須です。

従業員不正は確かに問題だと思いますが、だからと言ってウェルズ・ファーゴが提供している金融サービスが廃れるわけでもないし、今後もウェルズ・ファーゴのビジネスは金融業界としては安泰だと思っています。

ただ、一つ心配なのは今回の不正をウェルズのCEOジョン・スタンプなど幹部が「従業員の責任」だと言っていること。

確かに表面的にはクビになりたくない従業員が保身のために不正に走ったのは確かです。

でも企業のトップは、そのような不正が起こらないように報酬制度を確立する、風通しの良い社風を醸成する、内部通報制度を設けるなどの内部統制を構築して運用する責任があります。

こんな発言をする人、CEOに相応しいのでしょうかね。

バフェットはウェルズ・ファーゴに多額の投資をしていますが、ウェルズの投資判断の根拠はコカ・コーラは違うと言っています。

コカ・コーラはぶっちゃけCEOがアホでもビジネスは回るし、多額の利益を上げることができるとバフェットは考えています。コカ・コーラのビジネスが失敗する可能性はほぼゼロだと思っています。

でも、銀行業はビジネスが失敗する可能性は十分あると言っています。そしてその失敗は愚かな従業員によってもたらされると言っています。

バフェットにとって、恐らく今回のウェルズ・ファーゴの従業員不正問題は想定の範囲内なのでしょう。

バフェットは語る。「銀行業がいつも悪いビジネスということではないが、悪い状況になることはよくある。銀行員は愚かなことをする必要はないのに、よくやってしまう。」
『株で富を築く バフェットの法則』より抜粋

バフェットはこう言っています。
銀行業ではこのような従業員不正は起こるんです。特に日本のような甘ったるい解雇規制がないアメリカでは特にそのリスクはあります。

先にCEOは不正が起こらない内部統制を構築する義務があると言いましたが、それも限界あることは事実です。全従業員にICチップを付けて一日中監視するわけにはいかないのですから。ちなみにウェルズファーゴの従業員数は26万人です。

バフェットはなぜビジネスリスクが相対的に高い金融業のウェルズ・ファーゴにここまで多額のお金を投資したのか?バフェットは1990年に2億8,900万ドルのウェルズ・ファーゴ株を購入しています。持ち分比率10%に相当します。
なぜコカ・コーラ株の追加買い増しではなくウェルズ・ファーゴ株を買ったのか?

それは経営者だと言っています。

それでもバフェットは、銀行への投資が成功することはありうると言う。経営者がしっかりしていれば、銀行が20%の自己資本利益率を上げることは可能だ。
~中略~
保険と同じで、銀行も汎用品的なビジネスである。そして、汎用品タイプのビジネスでは、経営者の行動が企業間の大きな違いになることが多い。だから、バフェットは業界で最も優れた経営者を選んだのである。

『株で富を築く バフェットの法則』より抜粋

1990年にバフェットがウェルズ・ファーゴへの投資を決断した一番の根拠は経営者だったのです。

そして、当時の経営者は今はもうウェルズにはいません。

ウェルズ・ファーゴの強みが経営者の質なのであれば、それは我々日本人個人投資家としてはとても判断できることではありません。

当然会うことは出来ないし、英語力がない私はジョン・スタンプCEOの書籍があっても読むことすらできない。

バフェットはまだウェルズ・ファーゴ株を保有し続けているんだから、バフェットはウェルズの経営者の質に「合格」のお墨付きを与えているのでは、と思う人もいるかもしれません。

確かにそれは一つの判断根拠だと思います。バフェットが保有しているんだからウェルズ・ファーゴは安泰でしょという発想は否定しません。

でもどうでしょう?
もしかしたら、バフェットはウェルズ・ファーゴ株の含み益を実現させたくないがためにとりあえずホールドしているだけかもしれませんよ。

仮に売却したとしても売却資金の振替先がないのかもしれません。(バークシャー株主に還元すればいいだけなのかもしれませんが。)

  バリュエーションはまちまち

長期投資では永続してキャッシュを生み続ける超優良企業の株を保有し続けることが先ず第一です。

バフェットの言葉を信じるならば、ウェルズ・ファーゴのキャッシュ創出の源泉は経営者の質ということになります。

もちろんウェルズ・ファーゴにはブランド価値もありますし、顧客目線の素晴らしい接客文化というのもあるとは思いますが。

経営者が重要だと言われたら、今後30年保有して良いのか判断しろと言われても無理があるではありませんか。

難しいですね。

長期投資では超優良企業の株を選ぶのが第一優先ですが、もちろんなるべく安く買えるに越したことはありません。

低金利の長期化で金融セクターはそもそも売られていました、そこに従業員不正問題が乗っかってウェルズ・ファーゴ株には二重の逆風が吹いている状態です。

株価も下落しています。直近2年間で見ても今が最も安値です。

WFCの直近2年間のチャートです。

wfc2%e5%b9%b4%e3%83%81%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%83%88

こう見るとかなり割安に見えるかもしれませんが、バリュエーション指標で見るとまちまちです。

直近のWFCのPERは11.2倍ですが、過去5年平均PERは12.0倍と大差ありません。

ただし、配当利回りは高まっています。
直近のWFCの配当利回りは3.3%で、過去5年平均の2.3%を1%も上回っています。

PERで見るとやや割安、配当利回りで見ると結構割安という印象。

最近は公益事業や生活必需品を中心に配当利回りが低下しておりバリュエーションは高いと言われている中、ウェルズ・ファーゴ(というか金融セクター)は売られているので買いのチャンスに見えなくもないですね。

ただ長期投資での最優先事項は「永続して多額のキャッシュを生むか否か」という点ですから、そこを各投資家どう判断するのか次第なのでしょう。

みなさん、どう考えますか?

私は、わかりません(笑)。判断不能。

もしくは、短中期投資と割り切って投資するのもありかもね。

今後FRB利上げが進めば、さすがに金融セクターは挽回してくるでしょう。ウェルズ・ファーゴの株価が今の安値のままで高値を更新してこないということはあり得ないと思いますので。

30年超の長期投資でウェルズ・ファーゴがコカ・コーラの投資リターンを上回るとはなかなか思えませんが、5年間くらいの短期(中期)で見れば今までの株価下落の反動で大きく反発するチャンスはあるのかもしれませんね。

 - 投資実務