暇な時にスマホをスイスイとスワイプしてヤフーニュースを漁ってます。面白そうな記事ないかな~って。さすが日本一のアクセス数を誇るだけあって、配信されるニュース量も膨大です。先日、私がITメディアさんに寄稿させて頂いたUberの記事もヤフーニュースに載せて頂き嬉しかったです。

あ、で、この前ヤフーニュースで「年収1000万円と貯金1000万円 どちらが良いのか?」というタイトルの記事を見つけました。こういうマネー系の記事はやっぱり目に付きますね。よほど興味がない限りは読まないけどw。今回の年収か貯金かの記事も読んでません。どっちだろうと興味ないから。

興味ないと言っておきながら、今回自分のブログで取り上げてしまいました。ちょっと思うところがありまして。

フロー(年収)とストック(貯金)を比較している時点でナンセンスではありますが、年収と貯金には大きく異なる点があります。前提条件が異なります。

それは税金(+社会保険料)です。

年収1000万円と言えば、それは普通は額面を指します。年収1000万円の手取りは700~750万円くらいでしょうか。やはり25%くらいは中央政府に持っていかれるでしょう。サラリーマンは源泉徴収制度によって逃れる手立てはありません。

一方で、貯金1000万円とは預金残高が1000万円ある状態を指すのが普通かと思います。つまり手取りです。手取りで1000万円稼ごうと思ったら、どれくらいの年収が必要だろうか。1300万円くらいか。いやもうちょっとかな。具体的にはわかりませんが、税金(+社会保険料)を考えれば貯金1000万円は年収1000万円より価値があると言えそうです。

あなたの財布に入っている1万円札は1万円以上の価値があるとも言えます。それは税金、社会保険といった「控除の網」をかいくぐった後に残った貴重な1万円札なのですから。

どっちが難しいかって言われたら年収1000万でしょうけどね。貯金1000万円は、真面目に働いてまともな金銭感覚を持っていれば、時間さえあれば誰でも到達可能だと思います。

それにしても、給料からの控除額は毎年着実に増えていますよね。いつか気が付いた、給料の半分が差っ引かれてるんじゃないかっていう恐怖すらあります。

税金を考えれば1万円多く稼ぐよりも、1万円多く節約した方が効果的ですが、その格差がますます広がりそうです。税金を上げ過ぎすると、頑張って働いてもっとたくさんお金を稼ごうという意欲を減退させちゃうから、どこかで歯止めが必要しょう。でも、富裕層から吸い上げようという流れは止まりそうにないです。税収が大幅に増えるほど日本企業の法人所得が増えるとも思えませんし。ない袖は振れないから、どこかから徴収するしかありません。

資産税というのはさすがに難しそうですが、何らかの手段で資本家に対する課税を強化する可能性は十分に考えられます。配当課税を上げるとか、一度引き下げた法人税率をまた元に戻すとか。

税引き後リターンの最大化を目指す

私たち投資家は少しでも高い投資利回りを実現するために、財務データを分析して銘柄を選別し、そしてタイミングを見計らって投資をします。ですが、不確実な将来を無理に予測しようとするより、もっとコントロール可能な部分を抑えた方が有益かもしれません。

投資家がコントロールできるのはリターンではなくコスト。ETFや投資信託を選ぶ時は極力低コストの商品を選ぶ。そして、税金ですね。NISAやつみたてNISA、iDeCoといった非課税口座をしっかり活用する。ちなみに、私はiDeCoは諸事情あって利用していません。NISAは年間120万円フルに活用してます。

いかに税引き後のリターンを最大化するかが肝要です。私がやってるような高配当株投資は税務面でのデメリットがあります。利益を内部留保したなら課税を繰り延べることができますが、配当として社内から株主に資金を移動させると税金が発生します。いずれは株主が負担する税金ではありますが、少しでも課税を後倒しできた方が有利です。机上の計算モデルでは税金が無視される時もあるので注意が必要です。高配当株投資を実践したいなら、税務負担が重いことを考慮に入れておいた方がよいです。

税金は長期投資でもっとも重いコストです。儲かったら相応の税金を払うのは国民の義務ではありますが、なるべく最適化して納税額を抑えれるに越したことはありません。

この世で確かなものは、死と税金だけである。

ベンジャミン・フランクリン

すべての長期投資家にとって目的はただ一つ 税引後の実質トータルリターンを最大にすることだ

ジョン・テンプルトン

経済的には繰延税債務とは米財務省から無利息で調達し、私たちが返済時点を決められる借入金のようなものです。

『バフェットからの手紙(第4版)』

税金を支払わなければならない投資家にとっては、一回の投資によって一定の収益率で内在的に価値が複利で増加していくほうが、同じ収益率で何回も投資を繰り返すよりもはるかに大きな投資成果を得ることができる

『バフェットからの手紙(第4版)』