リスクとは主観的なものであって画一的に決まるものではない。ハワード・マークス氏のこのリスクの定義に感銘を受けました。

アップル株のリスクなんてものは存在しない。
私のアップル株のリスク
あなたのアップル株のリスク
バフェットのアップル株のリスク
3つは同じではない。将来キャッシュフローの割引率(=リスク)は投資家によって異なる。

ボラティリティを下げるだけでなく、投資先企業のビジネスに対する理解を深めて「自分にとってのリスク」を下げるように努力しよう。こう思いました。


こんな感じで自分なりにリスクを構造化して考えています。

かつては「リスクを下げる=ボラティリティを下げる」しか知りませんでした。ツリーの左側。しかし、ツリー右側の「保有銘柄の理解を深める」ことによってリスクを下げるという手段があることを学びました。

ボラティリティ抑制より保有銘柄の理解の方に重点を置きたい。極論言えば、ポートフォリオすべてが生活必需品セクターのディフェンシブ株でもいいじゃないか。それでは分散効果は薄いけど、ビジネスの内容を理解しやすく、結果として「私のリスク」を低くすることができるんじゃないか。こう考えました。

が、、しかし。

最近、昔の考え方に戻った方がいいなと思ってきました。つまり、保有銘柄の理解を深めることを目指すんじゃなくって、素直にボラティリティを下げることを優先するということ。リスク=ボラティリティというファイナンス一般論の考え方に立ち返りたいです。

というのも銘柄を(企業を)理解するって限界があるからです。法定開示書類のForm 10-Kをさらっと読んでるくらいで、マーケットよりも自分の方が企業の将来を見通せるようになるわけありません。

リサーチに莫大な金と時間を投じているヘッジファンドのマネージャー、年がら年中アニュアルレポートを読んで経験も豊富なバフェット氏。こういう超一流の投資家は、企業の実情を理解し、その企業が生み出す将来キャッシュフローに強い自信が持てるのでしょう。株式に適用する割引率は国債の利回りで良い、なんてことが言えるほどになります。

でも、本業の片手間にちょろっと財務データを見てる程度の私がそれを真似るのは無理。当たり前だけど、今さら気が付きました。もちろん、数字は絶対に確認するし、投資家として企業のビジネスを理解する努力は続けます。ただそれでリスクを下げれるなんて甘いことは思わないようにしました。

将来はわからない。金融政策、景気動向、来年のアップルの業績、すべてどうなるかわからない。どう転んでもそれなりのリターンが確保できるよう保守的に分散投資に徹する。

やはり、一番効率的なのは投資信託やETF。でも個別株投資は止めません。合理的な理由があるわけではなく、やりたいからやるだけとしか言えません。あと、株式以外のアセットクラスを含めることも今は考えてません。ボラティリティを下げるなら不動産(REIT)なども選択肢に入れるべきかもしれませんが。

欧米株に限定している時点で、ボラティリティを下げるには限界があります。どんな銘柄でも金融危機が起きれば須らく暴落しますから。そこはしゃーないと諦めます。ただ株式の中ではきちんと分散します。身近な企業が多くて安心できるからという理由で生活必需品セクターを過剰にしない。

同業種銘柄では分散効果が薄い。コカ・コーラとペプシコだと分散投資とは言い難いか。ファイザーとアッヴィという組み合わせはどうだろうか・・。金融や資本財セクターを毛嫌いせずに、少しはポートフォリオに入れた方がいいかな。まあ金融はブラックロック(BLK)を持ってますけど。

以下は各景気フェーズで強いセクター一覧です。すべてのセクターを持つ必要はないだろうけど、ある程度幅広く持っておいた方が安心かな。

消費安定(生活必需品)、ヘルスケア、通信って同じ左下にいますね。この3つのセクターは分散効果が弱いということです。 私は保有銘柄が左半分の象限に偏っています。右側のエネルギー、消費循環、工業、素材をもう少し増やすべきなのかなあ。ただ、これらセクターには長期保有したいと思わせる魅力ある銘柄が相対的に少ないのがネック。もう少しエネルギー株を増やすのも一案かな。シュルンベルジェの爆損で傷心してあまり買い増す元気はないのですが・・。

迷う。もうちょっと考えよう。なんか投資本読んだり、相場を経験していく毎に投資観が変わっていって、一向にポートフォリオが固まらないです。でもこれでいいや。走りながら考えます。