2019年、米株相場は大きな反発で始まりました。でも安心はできません。減税効果は消えて企業の増益率は平常モードに戻ります。中国との貿易問題がどう落ち着くか予断はできません。FRBの政策は不透明感が増しています。

確か昨年も言ったのですが、今年も同じことを言います。言い続けたらいつか当たるかなw。いや真面目な話なのですが、今の株式相場の一番のリスク要因は(長期)金利上昇だと思います。昨年一時3.2%台を付けた米10年債利回りは、現在2.6%台まで落ちてきました。FRBがハト派に転換したことも影響していそうです。

しかし、長期金利が急騰する可能性はあると思います。もちろん可能性と言ってしまえば、どんなことでも可能性はあるので何とも言えるのですがね。少なくとも金利については、下振れより上振れリスクが怖いです。

金利上昇は株価に悪影響です。マーケットは操作できないから、もし金利が上がれば株価下落を傍観するしかないだろうなと覚悟を決めています。一時的に株を売却して底値で買い戻すのは、自分の相場観と胆力では無理だと諦めています。

大事なのは目先の株価変動に惑わされることなく、マーケットに居続けること。金利が上がればあらゆる株が売られるでしょうが、中長期ではしっかり値を戻してくれる株を選びたいです。

では、どんな銘柄が特に金利上昇に強いのか。ちょっと自分なりに考えてみたので、今ベローチェでカタカタ記事にしています。

金利上昇をもたらす要因は大きく二つ。
・期待経済成長率の高まり
・期待インフレ率の高まり

この2つの外部環境変化についていける銘柄が金利上昇に強いと言えるかな。

また、金利上昇は借入コストを増大させます。なので、債務負担に余裕がある企業は金利上昇に強いと言えます。

というわけで金利上昇に強い銘柄は以下の3パターンありそうです。
 

①経済成長の波に乗りやすい銘柄
②インフレ率上昇に負けないくらい値上げができる銘柄
③財務が健全な銘柄

①経済成長の波に乗りやすい銘柄(景気循環銘柄)

経済成長率の高まりに起因する金利上昇、これは嬉しい話ですね。

景気回復10年目に入る今になってこんなこと起こらないと思うかもしれません。でも、マクロ経済ってわかりません。これまで緩やかな景気回復だったこともあって、ここから数年もう一段の強い企業収益の伸びが記録される可能性だってゼロじゃありません。

債券マーケットがそれを織り込んで、長期金利が上昇するかもしれません。

もし、そんなポジティブな金利上昇が起こるとしたら、景気循環銘柄が有利です。景気循環銘柄って景気が良い時には好業績になるけど、景気が悪い時は一転して赤字になるような企業です。利益ボラティリティが高い企業です。

具体的には、自動車のゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーター(F)など。あとは建設機械のキャタピラーや、エネルギーセクターのエクソンモービルなども景気循環系ですね。キャタピラーの業績は世界景気の先行指標として注目されます。特に中国の景況感を反映します。中国が風邪を引けば、米国や日本も微熱くらいは出そうです。

一般消費財や輸送株も景気拡大期に強いです。景気が良くなれば贅沢品への支出が増えます。ビジネスが拡大して物量が増えれば、輸送ビジネスは儲かります。

将来の経済成長を織り込んだ金利上昇が起これば、これらの銘柄の株価が強くなる可能性が高いです。

②インフレに負けない銘柄(クオリティ銘柄)

次に、金利上昇が期待インフレ率の高まりによるケースを考えます。

インフレは賃金上昇をきっかけに高まることが多いです。最大のコストである人件費が高まれば、それをペイするために企業は販売価格を引き上げようとします。その連鎖が世の中の物価を上昇させます。

簡単に値上げできる企業はインフレに強いと言えます。顧客のロイヤリティが高く、値上げしても顧客離れが起きない製品・サービスを持つ企業。

個人的にパッと思い付く企業を挙げると、
・アマゾンドットコム
・ネットフリックス
・ウォルトディズニー
・スターバックス
などかな。

アマゾンは昨年、米国のプライム会員料金を値上げしました。ネットフリックスも月料金を値上げしました。ディズニーは頻繁にテーマパークの入場料を値上げしてますよね。スターバックス(ジャパン)は定番商品を含む飲料の価格を10円~20円引き上げると最近ニュースで報道されていました。

アマゾンやネットフリックスは値段の割にサービスの質が良いから、値上げが受け入れられます。ディズニーとスターバックスは、顧客があまり価格を気にしていないから値上げができる感じでしょうか。

いずれにしても、容易に値上げが受け入れられるというのは企業の強みです。仮に米国のインフレ率が今の2%から4%に高まっても、これらの企業はインフレ率を上回る値上げを実施することで、インフレに負けない利益成長を実現できると思います。

一般的に言って、高い収益性を持つ企業はインフレに強いです。アマゾンやウォルトディズニーのようにすぐに価格に転嫁できなくても、長期的には徐々に販売価格を高く設定することでインフレを退治できます。

そういう強い銘柄をクオリティ銘柄と呼ぶことがあります。利益の質が高い株という意味です。ちょっと抽象的な表現なので、具体的な銘柄を見てみましょう。

先週、バロンズに「クオリティ銘柄の損切りはまだ早い」という記事が上がってました。その中で、インベスコS&P500クオリティETF(SPHQ)という商品が紹介されていました。クオリティ株に投資するETFです。SPHQの上位構成銘柄を紹介します。

プロクター&ギャンブル
アップル
シェブロン
ビザ
マイクロソフト
シスコシステムズ
メルク
マスターカード
ウォルトディズニー
ナイキ
ユニオンパシフィック
エヌビディア
アドビ・システムズ
ブロードコム
コノコフィリップス
アルトリア・グループ
テキサスインスツルメンツ
アクセンチュア
ブリストルマイヤーズ・スクイブ
コストコホールセール
スターバックス
ボーイング

よく目にする優良企業ばかりですね。真新しさはないです。これらのハイクオリティ・カンパニーは、インフレに負けない価格を顧客に請求することができます。インフレに負けない利益成長が期待できます。

③財務が健全な企業

経済成長期待であれインフレ期待であれ、長期金利が上がれば債務負担がしんどくなります。財務が健全な企業は金利上昇に強いと言えます。

財務が健全な企業をどうやってスクリーニングするか。色んな方法があるかと思いますが、信用格付けで判断するのも一案です。

S&Pグローバルレーティングが「AAA」判定なのは、マイクロソフトとジョンソン&ジョンソンの2社です。「AA」はアップルやアルファベット、エクソンモービル、ウォルマート、バークシャーハサウェイ、ナイキ、コカ・コーラなどです。

これらの企業は信用コストが安いので、金利が上昇しても債務負担で苦しむ可能性は低いです。

個人的にはインフレ不安が大きい

仮に金利が上がるとしたら
・期待経済成長率の高まり
・期待インフレ率の高まり
のどちらが原因になるか、、何とも言えません。

が、やはりここから経済成長率がグングン高まる状況ってあんま想像できないです。怖いのはインフレです。1月の雇用統計で米国の失業率は4.0%でした。依然として低水準。でも、賃金や物価の上昇は抑えられています。

この低失業率&低インフレが新時代のニューノーマルなのか、それともやはり労働市場の逼迫は賃金上昇をもたらしてインフレ率を高めるのか、どっちなのかはわかりません。

ただ後者のインフレリスクは結構あるんじゃないかって思います。リーマンショック後のQE政策のツケがインフレとしていつか表れるかもしれません。

素人意見ですが、金利が上昇するとしたら期待インフレ率の高まりがその原因になると思います。なので、景気循環銘柄を物色するのではなく、ハイクオリティな株に投資しておきたいです。ややPERが高いなあと思いつつ最近コルゲート・パルモリーブ(CL)への投資を決めましたが、そういう背景もあります。