住宅は人生最大の買い物になることが多いです。衣食住という生活基盤の一角を占める存在です。住居なくして生活はできません。親の家に住むのでない限り、買うか借りるかしなくてはなりません。買うにしろ借りるにしろ、住居費は生活費の半分以上を占めるのではないでしょうか。

住宅というのはほぼすべての人が興味を抱くネタと言えます。そんなわけで「賃貸vs持ち家」の損得計算は定期的にマネー誌やヤフーニュースなどの題材として取り上げられます。

私はぶっちゃけ、賃貸と持ち家とでどっちが経済的に得かどうか興味がありません。住宅のグレードも違うし、金利などちょっと条件を変えるだけで結果はいかようにも変わりますし。自分の価値観に合う選択肢を取ればいいだけだろって思っています。ちなみに、私は賃貸派です。賃貸が経済的にお得と判断したのではなく、固定資産を持たずに身軽でいたい性分だからです。てか、独身サラリーマンですし、世間一般と同じく賃貸マンションに住んでるだけです。

なんですが、今回は賃貸と持ち家のカネ計算について、ちょっともの申したいことがあり記事を書いています。

賃貸なら時々引っ越したいけど、その費用はバカにならない。

この手のネタでは、購入ケースのシミュレーションとしてマンション価格、管理費、金利、購入手数料、固定資産税、都市計画税、団体信用生命保険料、リフォーム費用、住宅ローン控除などが計算の前提に織り込まれていることが多いです。まあ、普通に想定し得るコストは含まれているように思います。

問題だと思うのは賃貸シミュレーションの方です。賃貸の場合は計算に含まれているのは、初回の敷金礼金・仲介手数料、毎月の家賃、共益費、契約更新料くらいです。これで問題ないように思うかもしれません。賃貸なら基本的に毎月淡々と家賃を払うだけです。よほど借り手に過失がない限り、通常損耗の原状回復やエアコン等の取替費用はオーナー負担です。実際、私も今住んでいるマンションで水回りの故障があったのですが、管理会社に相談したらすぐにオーナー負担で交換工事してもらえました。

が、、一つ重要なコストが抜け落ちています。

賃貸シミュレーションから外すべきではない費用が抜けて落ちています。

それは何か?

引っ越しに伴う諸々の費用です。

購入したら1つの家にずっと住み続けるはずです。でも、賃貸なら数年に一度は引っ越しを考える人も多いはずです。賃貸のメリットは柔軟に引っ越しができるところです。東京から地元福岡に帰ろうと思えば、東京のマンションを解約して福岡で住居を探せばいいです。お隣さんに変な人が引っ越してきたら、最悪引っ越せば問題解消です。

経済的に賃貸と購入どっちが得かは、前提条件次第でいかようにも変わると言いましたが、基本的には賃貸の方がコストは高いはずだと私は思っています。家に限らず何でもそうですが、所有よりレンタルの方がコストは割高なものです。毎日車を使うならレンタカー使うより、購入した方が安上りでしょう。稼働率が高いものほど、購入した方がお得になります。住宅の稼働率は非常に高い(少なくとも寝る時には家にいる)ので、毎日乗る車と一緒で賃貸よりも購入の方が経済的だと思います。

賃貸は割高です。特に都内に住んでいると痛感します。これまで約10年間払い続けてきた家賃を合計すると、1Rマンション一部屋買えるくらいかもしれません。あ、それは言い過ぎかな。少なくとも15年分の家賃があれば買えます。

そんな割高な賃貸を選ぶ一番の理由。
それは好きに引っ越しできるところです。私にとって家賃とは自由な転居を可能にするための高額なオプション料みたいなものです。

せっかく賃貸にするんだったら、どうせなら数年に一度は引っ越したいです。転勤とか転職とか、そういう理由がなくても何となくの気分で引っ越したいです。住む環境を変えるだけで新鮮な気持ちになるし、新しいお店の発見もあって楽しいです。都内は各駅それぞれ特徴があって面白いです。23区内でも「ここは地方の田舎?」って思うような場所もあります。

家探しは楽しいです。SUUMOなどで調べれば調べるほど魅力的な物件が見つかって、あれもこれもとなります。これだ!と思った物件ほど、すぐに別の借り手が見つかっちゃうんですよね。空き家は水物。家選びはタイミングですね。

やっぱ賃貸に住み続ける前提なら数年に一度は引っ越すことを想定しておきたいです、私は。物件の契約期間は2年が多いですが、2年毎に引っ越すというのは、ちょっと頻度が高いかな。4、5年に一度くらいかな~。

引っ越しは楽しいんですけど、とにかくお金が掛かります。これは賃貸の隠れコストです。購入なら発生しない、賃貸特有のコストです。賃貸vs持ち家の経済比較をするなら、この賃貸の引っ越しコストは外せないと思います。バカになりません。

実は、最近引っ越しを検討してまして、第一希望の家にするとしたらどれくらいの初期費用が掛かるのか、不動産屋さんに計算してもらいました。その結果が以下です。

敷金:7万円
礼金:7万円
仲介手数料:7.5万円
火災保険料:2万円
鍵交換費用:1.3万円
緊急受付システム料:0.8万円
保証会社初回料金:3.2万円
合計:28.8万円

これに加えて引っ越し業者への委託費用が3~4万円掛かります。まあ、合計で30万円くらいでしょうか。一人暮らしでこんなもんです。家族3人暮らしの同僚は都内への引っ越しで110万円のコストが一括で発生したと言ってました(その中には前払い家賃も含まれているとは思いますが)。

しかも、引っ越しは作業的にも大変です。そもそも家探しに時間掛かるし(その時間が楽しいんだけどね)、仲介会社とのやり取り、引っ越し業者の相見積もり、住民票の異動、水道ガス電気の契約変更、ネット証券などの登録住所の変更、保険契約の変更、運転免許証の住所変更(警察署にて)など。

一人暮らしで30万円の支出に加えて、諸々の面倒な手続きのための時間コスト。これが賃貸では発生します。もちろん、賃貸でも引っ越さずに住み続けるのもありなんで、ここは人それぞれですが、私は定期的に引っ越したいです。今まで一つの家に4年以上住んだことはありません。遅くとも、2回目の更新が訪れる時には引っ越しています。今回も2回目の更新が近づいており、新しい家を探しているところです(ほぼほぼ決まりました!)。

新しい家が決まるとワクワクするんですけど、不動産会社から送られてくる「(仮)契約金明細書」を見ると現実に引き戻されます。世の中カネか。自由な生活がしたけりゃ金がいるんだな。そう思わずにはいられない瞬間です。本当はもっと短期間に気軽に引っ越したい気持ちもあるんだけど、まあ4年に1回くらいが限界かな。引っ越しはお金がかかる。

今までの転居費用まで含めたら、トータルで僕が住居に支払ってきたお金はどれくらいになるだろうか・・。家賃の累積しか計算しないことが多いけど、引っ越し費用も無視できないくらい高額です。

賃貸生活は金がかかるな。真剣に計算する気は起きないけど、私の場合「賃貸vs持ち家」の比較をしたら十中八九、賃貸の負けでしょうね。購入の方が有利という結果になることは想像に難くありません。なぜなら、定期的に(4年に1度は)引っ越したいと思っているからです。そのコストを織り込んで賃貸の方が有利とはならんだろうな。

それでも賃貸派です。もはや損得勘定ではないですね。それでいいんです。資産は金融資産だけを持って、必要な時に必要なものを相応の対価を支払って調達する。モノはなるべく持ちたくない。よほど「ぜったいに家を買って欲しい!」と言うパートナーと一緒にならない限り、私は一生賃貸生活だと思います。