2018年1月末のポートフォリオです。
無配株は一つもありません。すべて配当を出していてかつ配当利回りもそこそこ高い銘柄ばかりです。S&P500平均の現在の分配金利回りは1.9%程度ですが、これを下回る銘柄は一つもありません。
保有銘柄でもっとも配当利回りが低いのはメドトロニック(MDT)で2.2%です。他の銘柄は2%台後半から3%台後半が多いです。AT&T(T)やベライゾンコミュニケーションズ(VZ)は4%~5%台の利回りがあります。高配当ETFであるHDVの利回りは3.6%です。
ポートフォリオ全体の平均(加重平均)配当利回りは3.6%です。年初時点の株式時価は約2000万円で、2018年は72万円(2000万円×3.6%)の配当金を受け取ることが出来る見込みです。
将来有望な無配銘柄はたくさんあります。先ずはアマゾン(AMZN)とアルファベット(GOOGL)が挙げられます。物理世界を支配するアマゾン、情報世界を支配するグーグル、この2社は今後ますます社会での影響力を増していくでしょう。すでにワイドモートを築いた状態と言え、長期投資に相応しい「素晴らしい企業」です。
配当利回りが低い有望成長企業もたくさんあります。たとえば、ビザ(V)が挙げられます。Vの配当利回りは0.6%しかありません。しかし、配当を出し始めた2009年から2017年までの増配率は年率25%にもなります。世界の決済ネットワークを抑えており他社の参入は事実上不可能で、今後も高い利益成長・配当成長が期待されます。営業CFマージンは50%を超えておりモンスター級です。隠れ超優良企業だと思っています(全然隠れてないけど・・)。
このように、無配・低配当の企業にも財務ピッカピカの優良企業が米国にはごまんと存在します。エクセルで財務分析をしていると見とれるしまう企業がたくさんあります。
でも、それでも私は一貫して高配当銘柄への投資を続けています。配当利回りが高い企業は概して利益成長は鈍っておりパッとしない地味な企業が多いです。日経やWSJでニュースになることも少ないです。
この1週間株式市場は調整していますが、まだ2017年秋頃の水準に戻っただけです。株式相場の上昇相場はまだ終わってないのかもしれません。仮にこれからも強気相場が続くとすれば、相場を牽引するのはアマゾンなどの成長企業でしょう。私が保有するコカ・コーラ(KO)やペプシコ(PEP)などは、強気相場で市場平均に付いていくのがやっとだと想定しています。いや、市場平均を下回ることの方が多いでしょう。
そのリスクをヒシヒシと感じながらも、高配当株への投資を続けています。今後も投資方針を変える気はありません。
僕が高配当株にこだわっている理由は大きく二つあります。
①長期的には市場平均を超えるリターンを実現できると信じている。
②カネは使わないと意味がない。
①高配当株のリターンは長期的には市場平均を超えると信じている
株主の利益とはつまり投資先企業が稼いだ利益である。
・・・と言いたいところですが実際は違います。企業の税引き後利益は株主に帰属しますが、損益計算書に利益計上されただけでは、それは株主の利益とは言えません。最終的に配当として利益が株主に送金されて初めて、企業の利益は株主の利益となります。
別に会計上の利益と実際のキャッシュフローがズレるという話がしたいわけじゃありません。別にキャッシュで考えても一緒です。企業がどれだけ営業キャッシュフローを稼いでも、それが企業内に留保or再投資される限り、株主は利益を確定できません。
いいんです、適切な経営判断の下で稼いだ利益を内部留保したり再投資したりするのは健全なことです。資本コストを超える投資案件があるなら、配当なんて出さずにガンガン投資すべきです。そうすることで、将来大きな配当を払うことでき株主利益に貢献できます。
ただ、経営者も人間ですし過ちを犯すときもあるでしょう。常に賢明な経営者が舵を取ってくれる保証もありません。M&Aなどで大きな投資判断ミスをすることもあるでしょう。会計的には有形固定資産やのれんの減損としてその失敗が白日のもとに晒される時もあります。
ここで僕は保守的な投資判断をしています。つまり、技術革新がガンガン起こる業界ではなく、稼いだ利益を再投資する必要性が薄い企業を中心に投資しています。
たとえば、フィリップモリス・インターナショナル(PM)が挙げられます。PMはポートフォリオ全体の10%を占める主力銘柄です。PMのキャッシュフロー計算書を見れば一目瞭然ですが、毎年稼いだ営業CFのほぼ全額が株主還元に回っています。
これはPMのキャッシュフロー構造です。投資CFは僅かで、営業CFのほぼ全額が財務CFのマイナスで消えています。この財務CFのマイナスとは株主還元(配当+自社株買い)を意味しています。
このような企業は株主資本が無駄遣いされるリスクが小さいです。稼いだ利益をそのまま株主に横流ししているからです。その反面、急激に利益成長するチャンスもありません。なぜなら、積極果敢な投資をしていないからです。株式のバリュエーション判断も比較的簡単で、株価が上にも下にも異常値になる可能性が小さく、そういう点でも投機的超過利潤を得るチャンスは小さいです。
ですが、長期投資で複利ベースで資産を増やしたいなら、フィリップモリスのように毎年シコシコとひたむきに株主に利益を還元してくれる企業が優位だろうと見ています。
投資期間が長期間になればなるほど、過去の利益を溶かすような誤った経営判断をされて株主価値が棄損されるリスクが大きくなります。せっかく過去に積み上げた多額の利益が一瞬で溶ける可能性も否定できません。もちろん、そのようなリスクがあるからこそ株式投資はリターンを生むという側面もありますが。
この辺のリスクとリターンをどう判断するかは各投資家によってまちまちだとは思いますが、私は投資リスクが小さい債券の代替と見られるような銘柄が長期では有利だと判断しました。株主資本が無駄に使われないというメリットと、利益を再投資に回さないことによる投資家のリスク認識低下というデメリットを天秤にかけた時、メリットの方が大きいだろうと思いました。
この判断が正しいかどうかは未来にならないと分かりません。自分の考えに絶対的な自信があるわけでもないです。が、何か自分なりの理念を持って投資を続けるしかないわけで、僕はこういう投資哲学を持って今の高配当株投資戦略を選びました。
②カネは使わないと意味がない。
高配当株にこだわっている二つ目の理由は、カネは使わないと意味がないということです。こっちの理由の方が大きいですかね。
株式投資は人生を豊かにするための手段です。株式投資で金を稼いでそれを使って人生楽しまないと意味がないと思っています。ただ資産を増やすだけでも経済的な安心を得られるからOKという意見もありますが、やはり投資で得た金は最終的に消費しないと意味はないと僕は思うわけです。
そのために、株式が生むキャッシュフローをドンドン大きくしたいです。株が生むキャッシュフローとは配当です。配当という給与以外のキャッシュフローの川を年々大きくしていきたいです。あわよくば、サラリーマンの年収以上の配当収入を得られるまでになれれば理想です。
配当をもらっても結局再投資するなら、実質的に投資で稼いだカネを使ってないに等しいと思われるかもしれません。確かにその通りです。配当再投資戦略では配当を再投資して保有株数が増えることで、最終的なトータルリターンがグッと高まります。再投資は重要です。
ただ、僕はすべての配当金を必ず再投資するというルールは別に設けていません。毎月の投資額のルールも設けておらず、緩くやっています。せこせこ節約せずに普通に生活して、んで余ったキャッシュがあれば投資していこうという感じです。
どう使うか分からないけど、一旦金をこっちに寄こして欲しいのです。再投資に使うのか、ステーキ食べるためのディナー代に使うのか分からないけど、とりあえず株主である僕の財布に利益を戻して欲しい。
配当には税金が掛かりますが、それは仕方ありません。税金が掛かってもいいから配当として送金して欲しいです。
つまり、年収を上げたいということです。毎年のフローである年収を増加させていきたいんです。自分のバランスシートの純資産を大きくしたいというより(もちろん純資産が大きくなるに越したことはないけど)、損益計算書の売上高を大きくしたいです。
年収が上がって使えるお金が増えてこそ、人生の柔軟性は高まると思っています。別に配当がなくとも株式資産を取り崩すことでいつでも使える金があるというのは事実ですが、そうではなくフローの収入を増やしたいのです。これはもはや個人的な感情論の世界です。
ストックを取り崩してキャッシュを得ることと、フローとしてキャッシュを得ることは本質的に一緒なわけですが感情的には違います。あ、一般論ではなくあくまで僕にとってはですよ。
フローとしてキャッシュを得るとそのカネをどう使おうか色々と考えますが、ストックとして資産を積み上げると、それを後生大事に抱え続けてしまう気がするんです。
カネは消費として使いたいです。でも株式資産というストックを自ら取り崩すことには抵抗を感じます。なので、配当として勝手に取り崩してくれる株を好んでいます。高配当銘柄はキャピタルゲインを望みにくいですが、それでいいんです。どうせキャピタルゲインを取り崩して散財する度胸なんてないちっぽけな男なので、僕は。
配当として純資産をガンガン勝手に取り崩してくれる銘柄が僕の性格には合います。
そんな感じで、僕は高配当株にこだわっています。
バビロンの大富豪という本には、富をもたらす黄金の「7つの知恵」というのがあります。
その一つ、第3の知恵にこんなのがあります。
第3の知恵 貯めた資金は寝かさずに増やすべし
財布の中にたえず流れ込み、いつも中身を膨らませてくれる「金の流れ」こそが本当の財布である。
これはHIROさんがおっしゃっている内容ですね。
私も賛同します。
こんばんは。
『バビロンの大富豪』はちょうど昨年読んだ本です。
7つの知恵については全く覚えてないのですが、「貯めた資金は寝かさず増やすべし」という話は共感します。
ストックよりフローを大事にしています。
まあ企業内で金が回っているのか、株主まで金が回っているのかの違いでしかないのですがね。
株主と企業を一体と見なせば本質的には変わらないですが、やはり株主個人のフローが欲しいと思ってしまいます。
配当という「金の流れ」を大きくするのは、なかなか骨の折れる作業ではありますが頑張りたいです。
毎年毎年、着実に配当が増えていってます。
こんばんは。smileです。
ご返答ありがとう御座います。
すみません、先程のコメントで挨拶が抜けていました。
ブログを楽しく拝読しています。
これからも楽しみにしています。
こんにちは。
いえいえとんでもないです、ご丁寧にありがとうございます。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
こんにちは。
いつも勉強になる記事を楽しみに読んでおります。
毎日過度に節制して投資資金を捻出していく中で(もちろん100%配当金再投資)
「最近生活楽しくないなぁ」と思い始めました。なので、カネは使わないと意味がない。は今の私にグサッと来ました笑
ただHiroさんほど投資金額を持っていないので、今は我慢して元手を増やさなければいけない時期かなとも思います。
Hiroさんは投資歴が浅いとき、日々の生活と株式投資はどんなバランスでやっていたのでしょうか??
こんばんは。
グサッと刺しちゃう記事を失礼しましたw。
株式投資のためとは言え、あまりに頑張って節約し過ぎるとしんどくなりますよね。
おっしゃる通り、資金を増やすために頑張る時とちょっとペースを落とす時期とでメリハリを付けるのはありですね。
私は投資を始めたばかりの25歳くらいの時、かなりストイックに貯金していました。
あの頃はとにかくお金が欲しかったです。
生活費を節約するため先ず会社の独身寮に入りました。
水道光熱費込みで家賃月1万円。メチャクチャ汚かったですが我慢しました。
それと食費も抑えていました。基本的に一食ワンコインまで、出来れば300円以内。
私は自炊はできないのでワンコイン以内でもかなりしんどかったです。
自炊する人は一食500円あれば結構豪華になるかもしれませんが、総菜やコンビニでは結構きついです。
レンジでチンできる「サトウのごはん」には大変お世話になりました。
そんなこんなで手取り年収の7割近くを貯蓄に回していました。
今考えると信じられない生活です。
なぜか当時は耐えられましたが、多分今じゃ無理です。
当時は株式投資の世界に魅了されて、とにかく投資資金が欲しかったです。
あと「となりの億万長者」的な金持ちに憧れていたのもあります。
こんな貧相な生活を続けていたですが、それが今振り返って良かったかと聞かれれば正直微妙です。
せっかく都内に住んでいて周りに美味しい食事屋さんがたくさんあるのに、ほとんど行けませんでした。
(今は別の場所に引っ越しています。)
友人などとの飲み会も最低限しか行ってませんでした。
そこまでして投資資金を無理に捻出するのが本当に自分にとって良かったのかと言われれば、「う~ん、なんとも言えないな」という感じです。
当時頑張って節約していたからこそ、今2千万円という少なくない金額を運用できています。
でも、そのために犠牲にした経験、体験、出会いもあったと思います。
今はバランスよくやってます。
日常生活はほとんど節約してません。ストレスフリーです。
これくらいの感じで初めから投資に臨んでいても良かったかもしれません。
結局バランスですね。難しいところですね。
若い頃にいかに資金を出せるかは、将来の株式資産に大きな影響を与えます。
複利の力です。
でも若い時ほどお金を消費に使って色んな体験をすることが大事ですよね。
だから、やっぱり無理に投資しなくていいと思います。
20代半ばの頃もっとお金使って遊んでいた方が良かったかな、、と思う時も多いです。
メッコさんの無理ない範囲で投資を続けるのが一番だと思います。
すみません、気が付いたら長々と書いてしまいました。
ご参考までに。
ご返信ありがとうございます。
最近サイバーエージェントの藤田氏が投資について軽いノリで語るネット記事があり、その中で、「投資っで儲かる人は買ったまま忘れる人」とあったのが妙に頭に残っています。
私の場合、買う前ももっと自然体で臨んだ方がQOL?は上がるような気がしてきました。
ただ、投資資金確保のために今まで断ってきたお誘いが本当に有益なことなのか、欲しい物は本当に必要なものなのか判断するのは難しいですね笑 高配当株戦略における投資活動の方がよっぽど簡単(失礼!)な気がします笑
貴重なご意見ありがとうございました。
今後も良記事楽しみにしております。
なるほど、それは真理ですね。
株式投資って企業の生産活動に株主として参画するとも言えます。
企業のビジネスに成果が2~3年で出ないのと同じで、株主も普通は短期間では利益は得られないものです。
短期で儲かるチャンスも確かにありますが、それは投機的な利益です。
(投機が悪いという意味ではない)
リスクに対する報酬という意味では、やはり長期で株を持ち続ける必要があると思います。
自然に株を買って買ったことも忘れて気が付いたら資産価値が増えていた、くらいが理想かもしれません。
本人としたら何もせずに金を稼いだ気になるでしょうが、実はリスクを取り続けるという重要なミッションをこなしていたわけです。
人生常に選択、トレード・オフですね。
「あの時もしああしておけば」と思うことはありますが、そんなこと言いだすとキリがありません笑。
私はその時その時のノリで気楽に過ごしていきたいと思ってます。