S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarです。
今回はレイノルズ・アメリカン(RAI)をご紹介します。
レイノルズ・アメリカンの財務情報
基本情報
地域別売上高
米国内売上高が96%を占める。
業績
(単位:百万USD)
財政状態
キャッシュフロー
(単位:百万USD)
2015年度の営業CFの落ち込みはなぜだろう…。
株主還元
連続増配年数
6年
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レイノルズ・アメリカン(RAI)
感想
レイノルズ・アメリカンは全米2位のたばこメーカー。
2015年6月に米同業のロリラードを買収。同時に「マーベリック」「クール」「セーラム」「ウィンストン」などのブランドを英インペリアルに70億ドルで売却した。
また、2016年1月にAmerican Spiritの米国外事業をJTへ50億ドルで売却した。
WSJによると現在の米国たばこ市場シェアは、アルトリア47%、レイノルズ34%、インペリアル10%ほどである。
この「米国銘柄分析」はS&P100構成企業の中からピックする方針であったが、レイノルズ・アメリカンは最近お気に入りのETFであるHDVに加わったし、シーゲル流投資家としては興味あるであろうたばこ銘柄ということで、今回記事にした。
参考記事
[HDV]にAT&T、クアルコム、レイノルズ・アメリカンが追加 サザンが除外
さすがの業績であった。なぜたばこメーカーはこうも高収益企業ばかりなのだろうか。
売上高は2015年度に急増しているが、これは2015年6月にロリラードを買収した影響であろう。
収益性は抜群で、売上高純利益率は2015年度は30%超え(これは事業売却益の影響かな?)、直近5年平均で見ても20%もある。
ROEは約30%。
キャッシュフロー計算書を見ると、2015年度は営業CFが著しく小さくなっているが一過性のものと思われる。なんだろう、企業買収、事業売却に伴うキャッシュは営業CFには関係ないと思うのだが…。
営業CFマージンは過去5年平均17%ほどあり高収益であるが、フィリップモリスやアルトリアには及ばない。フィリップモリスは同指標は30%でアルトリアは25%である。
DPSは毎期上昇。配当性向は2015年度は53%と余裕があるように見えるがこれは事業売却に伴う特別利益が影響していると思われる。2014年度までの配当性向は90%近くあることから、増配余地は小さいとみている。
自社株買いは2015年度は少なかったが、これはM&A資金のために自社株買いに資金を回せなかったのだと推測。2011年度から2014度は積極的に自社株買いを実施しており、この期間の総還元性向は100近くある。
非常に高収益でHDVの構成銘柄に選ばれるのも納得である。
ただ、厳しいことを言うようであるが競合アルトリアや同業フィリップモリスの超高収益体質には1歩及んでいないと感じる。(比べる相手が悪いが。。)
バリュエーションを無視するのであれば、個別銘柄で長期保有対象は素直にフィリップモリスやアルトリアを選択すべきだと考える。短期中期投資はこの限りではない。