トランプ大統領が「四半期決算はもう止めてはどうか?」とツイートしたそうです。

どうせノリでツイートしているだけで、本当に変わるわけないよな~と高を括っていたのですが、なんとなんとSECは真剣に取り合っているのです。SECのクレイトン委員長は、四半期決算を止めて従来の半期決算(6か月毎)に戻すことを検討しているとのこと。

驚いた!!

アメリカで四半期決算廃止が実現すれば、遅かれ早かれ日本も追随するでしょう。

アメリカでは1970年から四半期決算制度が始まりました。もう50年近くも四半期決算を続けていることになります。それが変わるかもしれません。ちなみに、日本では2003年から四半期報告が制度化されました。

3ヵ月程度で企業のビジネスが変わることはほとんどないし、コスト(決算書作成や会計監査)を掛けてまで3ヵ月間の業績を報告する必要があるのかは確かに疑問です。少なくとも、長期投資家には不要でしょうか。私は投資家として四半期毎の業績報告は求めません。半年毎で十分です。

 

もし、四半期決算が無くなって半期決算になったとしたら、それが何か投資家に与える影響はあるでしょうか?

ウォールストリートジャーナルはこんなことを言ってます。
少し長い文章で申し訳ありませんが、引用します。

財務報告の期間が空けば空くほど、投資家は株式について一層リスクが高いとみなすようになる。3カ月で起こることより、6カ月の間に起こることの方がずっと多いからだ。どちらの場合でも株価は結果的に同じところに落ち着くだろうが、そこへ至るまでの時間が長引き、短期的な値動きは大きくなる。そうなれば、他の全条件が平等だと仮定すると、株価水準は若干低めになり、企業の資本コストがやや上昇することになる。

ウォールストリートジャーナルより
※文字の強調は私が勝手にしたものです。

四半期決算が廃止されると、米国企業の資本コストは上昇すると結論付けています。

これはどういうことでしょうか?

資本コストとは企業目線の見方で、投資家から見れば要求利回り(期待リターン)です。

資本コストという概念はとても大切です。長期的に株式市場と付き合っていこうと思うなら、ぜひ知っておいて欲しい概念です。もしこの辺の理解が曖昧なら、安くて読みやすいのでこちらの本をぜひ読んで欲しいです。

なぜ四半期決算を廃止すると、株式の期待リターン(資本コスト)が上がるとWSJは言っているのか?

それは投資家のリスク認識が上がるからです。つまり、決算の頻度が3か月毎から6か月毎に減って、次の決算開示までの期間が長引くことで、投資家の不安が高まるということ。投資家が不安になって株を売りがちになるので株価が下がり、結果として今より割安で買えるチャンスが多くなるという意味です。

これをファイナンス理論的に表現すると「資本コストが上がる」となります。

が、、

私はWSJの意見には反対です

逆だと思います。

四半期毎に決算を開示して、「EPSがアナリスト予想を下回ったぞ!」、「でも売上高は予想以上だぞ。」、「減損しているから調整後EPSはOKみたいだ。」とか、あーだこーだ騒いでいるほうが、むしろ投資家を不安にさせていると思います。

むしろ、四半期決算を止めて次の決算発表まで半年という長い期間があったほうが、投資家は余計な情報に左右されず、落ち着いて株を保有できるのはないか、そんな風に思います。

だから、四半期決算を止めると、むしろ資本コストは下がるんじゃないかな~と邪推します

 

すみません、ちょっと抽象的な話でした。

ま、別にどっちでもいいです。
資本コストが上がっても下がっても、別に目に見えるわけじゃないし、意識することはありません。

WSJが「どちらの場合でも株価は結果的に同じところに落ち着くだろう」と言っている通り、会計報告をどうしようと別に企業の実態が変わるわけではありません。四半期決算だろうが半期決算だろうが、長期投資家のリターンに与える影響は大してありません。

投資家、特に長期投資家にとってはどうでもいい話かもしれません。
ブロガーとしては決算ネタが減って残念かも(笑)。

四半期決算廃止の影響をもっとも受けるのは、全国の経理部サラリーマンたちです!
もし四半期決算が無くなったら、経理部の仕事はかなり楽になります。大歓迎です。もしアメリカで本当に廃止になったら、なるべく早く日本にも輸入して欲しいです。

もうね、四半期決算はしんどいっす。3月末の本決算作業が4月から始まって、5月の短信発表まで忙殺されます。んで、6月に有価証券報告書を提出する。その後株主総会。総会が終わると「ふー、ようやく決算終わった~」と落ち着きたいところですが、すぐさま第1四半期決算が始まります。

もしトランプ大統領のこのツイートをきっかけに四半期決算が無くなれば、トランプ大統領は企業の経理部から一生感謝されると思います。