S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
今回は業績とキャッシュはFY09以降、その他はFY12以降のデータのみです。ご了承ください。
データソースはMorningstarです。
今回はフィリップス66(PSX)をご紹介します。
PSXはS&P100銘柄ではありませんが、読者様からご依頼頂いたこと、またバフェット銘柄として興味があったことから今回ピックしました。
PSX財務情報等
基本情報
会社名 | フィリップス66 |
ティッカー | PSX |
創業 | 1875年 |
上場 | 2012年 |
決算 | 12月 |
本社所在地 | テキサス州 |
従業員数 | 14,800 |
セクター | エネルギー |
S&P格付 | BBB+ |
監査法人 | EY |
ダウ30 | × |
S&P100 | × |
S&P500 | 〇 |
ナスダック100 | × |
ラッセル1000 | 〇 |
地域別売上高
業績
キャッシュフロー
株主還元
この記事を読むともっとこのグラフを理解できます!
連続増配年数
5年
バリュエーション指標(2017/6/10時点)
PER:24.7倍 最新情報はこちら
配当利回り:3.5% 最新情報はこちら
配当性向:66% 最新情報はこちら
感想
2012年にコノコフィリップスから独立してできたフィリップス66。
コノコフィリップスが川上部門を担当しているのに対して、フィリップス66は川中・川下部門を担当している企業である。
つまり、フィリップス66は石油精製や輸送、石油製品の販売を行っている会社である。
フィリップス66の筆頭株主はバークシャー・ハサウェイであり、バフェット銘柄である点もフィリップス66が投資家の注目を集める点である。
バフェットは、2008年にコノコフィリップスに投資したが、この投資について自身で「ひどいタイミングだった」と回顧している。
2012年からPSXの株価は2倍以上上昇しており、バフェットの投資判断は今のところ正しかったということかな。バフェットは2015年にもPSX株を買い増している。
バフェットは原油相場が下落するだろうという慧眼によってエクソンモービル株を売却したが、このフィリップス66には結構気に入っているようだ。
過去の業績を見てみた。
売上高はFY11をピークに右肩下がりで、特にFY15から大幅に減少している。
これは言うまでもなく原油価格下落による影響である。
ただし、フィリップス66は川中・川下部門でビジネスをしているので、原油価格が利益に与える影響は垂直統合型の石油メジャーに比べてマイルドだと思われる。
売上高も下落するが、仕入れ価格(つまり売上原価)も同時に下落するからである。
現に、PSXの粗利率はむしろ改善傾向にある。
キャッシュは厳しい。
FY14以降、フリーキャッシュフローがほとんど残っていない。
これは、原油価格下落によって営業CFが減少していることに加えて、設備投資資金が嵩んでいるからだと思われる。2017年は約27億ドルの投資を計画しているが、この金額は2016年の営業CFがすべて吹っ飛ぶ規模の投資である。
株主還元はしっかりしている。さすがバフェット銘柄。
DPSは毎年上昇しており、自社株買いにも積極的である。
決してキャッシュに余裕があるとは思えないのに、配当だけでなくここまで自社株買いをしているのには驚いた。過去5年間の総配当金額を100とすれば、総自社株買い金額は75くらいである。厳しい事業環境を考えれば、かなり大きな規模の自社株買いをしているなという印象を受けた。
無い袖は振れないわけです。
フリーキャッシュがマイナスなのに、自社株買いなんて普通できない。
どうしているかと言えば、やっぱり借金。
銀行からお金を借りている。
ここ5年間での銀行借入総額は13,540百万ドルにも上る。
ざっくり言って、5年間の自社株買い金額の2倍の借入である。
これだけお金を借りているから、自社株買いもわんさかできるわけである。
自社株買いについては今後は今までほどは期待しない方がよいであろう。
米長期金利はまだ低いままだが、今後FRBの金融引き締めが予定通り進めば、借入コストも必然的に上昇していくものと推測される。
ただ、石油ビジネスの中でも比較的安定している石油精製・輸送を手掛けていることから、今後も営業CFはしっかり稼げると思う。
PSXに限らず、エネルギーセクター銘柄はすべて同じ感想を持つのだが、正直言ってPLやCS(キャッシュ)は美しくない。どうしても原油相場というマーケットに収益が左右されるから仕方ない。
それでも、しっかり株主還元を続ける姿勢に惚れ込んでしまう。
バフェット銘柄ということでかなりバイアスが掛かっている面は否めないが、フィリップス66も長期投資対象に値する銘柄だと思う。
直近の配当利回りは3.5%あり高配当銘柄でもある。
Hiroさん、
お休み中にも関わらず銘柄解説を有難うございます。
XOMは原油価格下落で厳しい局面が続きそうですが、PSXはその中でも利益が見込めるビジネスですね。永続的で利益があり、株主重視の企業の見極めは素人の私には正直厳しいですが、PSXは継続保有するつもりです。バフェットはXOMを手放しましたが、、、PGやDISなどもバフェットが手放した後も増配し、株価も上昇しているケースもありますし、そういえばJNJもそうでしたよね。
私は、XOM、PSXは石油のニースがある以上、大事に保有していこうと思います。
大変分かりやすい説明を有難うございました!!
のりのりっちさん、
ご要望受けてから、記事アップまで1カ月以上も掛かってしまい申し訳なかったです。
今回PSXについて調べてみて、大変勉強になりました。
私は恥ずかしながら正直言って、PSXが下流に特化している企業ということすら知りませんでした。
バフェットが投資している石油企業だよな~くらいの前知識でした。
下流部門でビジネスをしているので、比較的原油価格変動の影響は受けないように思いました。
PSXについてネットでググると、バフェットはPSXの経営陣のことをすごく気に入っているようですね。
今の経営陣が株主を重視していることは、自社株買いなど数字ではっきりわかりますね。
継続保有すべき銘柄だと思います。
配当利回りも高くて魅力的ですね。
今日PSXを分離したコノコフィリップス(COP)の財務諸表を見ていたのですが、XOMなど垂直統合型石油企業に投資しないのであれば、
上流中心のCOPより下流中心のPSXの方が収益が安定していて長期投資向きだと感じました。
ご依頼ありがとうございました。
やはり自分が知らない業界について勉強するのは億劫なので、何かきっかけがないと勉強しないです。
今回のようにご依頼して下さるので、ネットで調べたり四季報読んだりして知識が増えます。
知識が増えた方が、投資も楽しく続けれます。
今後とも、何か気になる銘柄があればいつでも遠慮なくご連絡下さい!
よろしくお願いします!
現在、株価上昇中ですね!
ちょっと急な気もしますが、、、
含み益で喜ぶのは違うはずですが、
会社が成長して株価アップして、増配もしてくれるなら喜ばざるを得ないのが一般市民かと。
引き続き、銘柄情報宜しくお願い致します!
こんにちは。
エネルギー株も大分回復してきましたね。
前回のQ2決算が期待を下回ったXOMはやや低迷気味ですが、CVXやPSXは52週高値を更新するところまで来ました。
10年後に振り返ると、ここ数年のエネルギー株は買い場だったと言われていると思います。
今の株価でも魅力的なバリュエーションに思います。
株価上昇は喜んでいいと思います!
株価が上がるということは、業績好調で将来の高い増配が期待できるという意味ですから。
やっぱり株価上がると嬉しいですよね。
>会社が成長して株価アップ
そういう健全な株価アップを続けてくれるのが、米国株の魅力です。
銘柄分析、新規だけでなく既存記事のブラッシュアップもやっていこうと思っています。
こちらこそ、引き続きよろしくお願いします!