・消費者の日常生活に必要不可欠な製品を提供している
・主力製品の単価が比較的安い
・圧倒的なブランド力がある

この3つの条件がそろった企業は、いかなる経済情勢でもキャッシュを稼ぎ続けることができて長期投資に向いていると思います。

AIの進化でビュンビュン自動運転車が街中を走る時代になろうとも、宇宙国家が誕生して人が地球外に住むことが可能になったとしても、人が生活するうえで衣食住を必要とすることは変わりようがありません。毎日ご飯を食べて、水を飲まないと死んじゃいます。

そういった人々の日常生活に必要不可欠な製品を提供している企業は、これからも社会に必要とされ続けます。

消費者は、スーパーで日々買い物するような単価の安い日用品を選ぶときに品質をあまり見てません。食品パッケージの裏の栄養成分を一応見るかもしれませんが、そこは購買意思決定のキーポイントではありません。消費者は「昔から慣れ親しんでいて安心できる」という曖昧な理由で商品を選びがちです。

あなたの普段のスーパーでの買い物もそんなもんじゃないでしょうか。

お茶やお酒を買う時は、サントリー、コカ・コーラ、KIRIN、花王、伊藤園とかだったら「信頼できるな~」と思って気軽にレジに持っていくはずです。てか、既存大企業のブランド力の壁が高すぎて他の新興メーカーの製品はほぼありませんね。

B to Cの中でもとりわけ人々の日常生活に必要な商品では、ブランド力が大切です。ブランド力がないと継続的に売り続けるのは困難です。

投資家としては、消費者に身近な商品を提供しているブランド力の高い企業の株を積極的にポートフォリオに組み込んでいくとよいと思います。

 

ブランド力ブランド力って言うけど、ブランド力って何や?って思いますよね。

ブランド力は明確に数字で定量化できるものではないです。人々がなんとなく無意識的に感じている企業や商品への信頼感や安心感、好感度みたいなもんでしょうか。

ブランド力とは目に見えない曖昧な強みです。

ブランド価値の確立ができていないと、どうしても価格勝負に行かざるを得ません

魚谷雅彦(日本コカコーラ 会長)←「爽健美茶」の生みの親

 

ブランドの根幹を言い当てろと言われたら、私は常に信頼だと言っています

小泉光臣(日本たばこ産業(JT)社長)

 

人の情緒に強く訴えることが、ブランドを作り上げるということなのです

カルロス・ゴーン(日産自動車 元社長)

名経営者たちがブランド力をこのように教えてくれています。しかし、これを読んでもなお釈然としないというか、ブランド力に対する解釈は個人によって異なることがわかります。

「信頼」や「人の情緒」というのはキーワードかもしれません。人は感情で物を買います。感情で行動して論理で正当化するのが人間ってもんです。

ブランド力は曖昧でフワッとした強みで言語化しにくい特徴があります。曖昧だからこそ他社が簡単に真似できるものではなく、永続的な強みになります。

株式投資をやっている人は物事を定量化したがる傾向にあるかもしれません。定量化できると安心できますから。きちんと数字で客観的に判断することはとても大切だと思います。でも、本当の企業の強みは言語化できないアートの世界にあるものだと思います。

 

そんな曖昧なブランド力を数値化してランキング化している企業があります。

イギリスのブランドファイナンス社が発表した「ブランドファイナンスGlobal 500」の上位企業から、消費者の日常生活に身近な製品を提供している企業をピックしてみました。

順位 企業名 主要な製品、業種
2位 アップル iPhone
8位 ウォルマート 低価格な小売り
9位 Facebook SNS
16位 マクドナルド ハンバーガー
26位 フィリップモリス
アルトリア
マールボロなどのたばこ
27位 コカ・コーラ コーラなどの清涼飲料水
28位 ナイキ 衣料
61位 ネスレ 食料・飲料
67位 ペプシコ 清涼飲料水・スナック菓子
74位 ターゲット 小売り
90位 Zara 衣料

上の表で掲げた企業すべてが長期投資で有望だなんて安直なことを言うつもりはありません。しかし、この表にあるようなブランド力が高い誰もが知る企業を中心に長期投資の銘柄を選定することは有効だと思います。

PS
日本企業トップはトヨタ自動車で12位でした。