長期株式投資では、いかに投資期間中の配当総額を最大化するかが肝要です。

長期投資とは配当最大化を目指すゲームと言えるかもしれません。ゲームと言うやや語弊があるかもしれませんが。

日々の株価変動にそれほど神経質になる必要はありませんが、その分現在のそしてこれからの配当には神経質になるべきです。

将来の株価予想をする必要がありませんが、将来の配当の増配率や確実性を検討する必要はあると思います。

配当は大切です。

もともと私はジェレミー・シーゲル教授の『株式投資の未来』という超配当推しの書籍を読んで感化されて、今の米国株投資に切り替えた人です。なんで配当が大切だと主張するのは当然だし、そのバイアスがあるだろうと言われても否定できません。

でもね~、以前は配当が重要だということを何となくふわっと理解していたのですが、最近は自分の中で咀嚼して腑に落ちて理解できるようになりました。自分の頭で冷静に株式投資のリターンとは何か思考を続けると、やはり配当という答えに行き着きます。

 

配当利回りは未来を無視した指標である

配当が重要ならば、投資でも配当に関する指標をしっかりチェックすべきだと思います。

そんな配当に関連する指標として重要なものに、配当利回りという指標があります。

配当利回り=予定配当額 / 株価

配当利回りとは、投資額に対する予定配当金の割合です。
配当利回り3%の株に100万円投資すれば、年間3万円(100万円×3%)の配当金が期待できます。

配当利回りは重要な指標です。
私は投資をするときに配当利回りをチェックしない時はありません。絶対にチェックします。

では、配当利回りが高い銘柄にとにかく投資を続ければいいのでしょうか?

その発想は決して悪いとは思いません。

長期投資では配当を最大化するのが大事って言うんだったら、配当利回りが高い優良株に投資すればいいじゃんか!っていう発想は自然かもしれません。

ですが、配当利回りにこだわり過ぎるのはダメだと思います。

そう思う理由は2つあります。
特に2つ目の理由を伝えたいです。

理由① ボロ株なだけの可能性がある

配当利回りが高い企業は、配当利回り算定式の分子である配当が多いのではなく、分母の株価が下落しているだけの場合もあります。

そういうボロ株はすぐに減配して、結局配当利回りが下がる恐れがあります。
こういう銘柄は長期ホールド向きではありません。

長期投資では、減配しない数字ピカピカな優良株に投資した方がいいです。

 

理由② 配当利回りは翌年の配当しか反映していない

配当利回りは、あくまでも”現在の”配当金と株価の関係を示しているだけです。

もしあなたが、この1年間だけの配当金を最大化したいなら、配当利回りが高い銘柄のみに集中投資すればいいと思います。例えば、利回り6.8%のロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)や利回り5.2%のAT&T(T)に投資すればいいと思います。

でもあなたは、長期的な投資期間全体の配当を最大化して高い投資リターンを得たいと思っているはずです。来年だけたくさん配当貰えればそれで満足ってわけでないはずです。

だから、あまりに配当利回りばかりに気をとられるべきではないです。

たとえ配当利回りが低くて現時点の配当が小さくても、将来の大きな配当成長が期待できるかもしれません。

ビザ(V)の配当利回りは0.7%ほどで1%にも満たない数字ですが、だからってビザへの投資リターンは期待できないのでしょうか?

そんなことありません。
ビザの財務諸表を見ればわかりますが、めちゃくちゃ高収益な企業です。

確かに今ビザに100万円投資しても、年間配当金額は1万円にも満たないです。でもそれはあくまで現在の話であって、今後30年ビザのDPSがグングン上昇してくれれば総配当金額は満足できる可能性もあります。もちろん株価上昇も期待できるでしょう。

配当利回りは今の配当水準だけしか反映できておらず、未来の配当を反映していない点を理解すべきです。

(縦軸:配当 横軸:時間)

 

でも配当利回りが重要であることは間違いない

配当利回りが高い銘柄に投資すれば、それで長期投資リターンを最大化できるほど甘くはありません。

たとえ配当利回りが高い銘柄でも、それは現時点の(投資額に対する)配当水準が高いだけであって、将来ほとんど増配しないのであれば必ずしも投資対象として有望とは言えません。

AT&T(T)やベライゾンコミュニケーションズ(VZ)は確かに高配当でディフェンシブ性の高い優良株ですが、米国内に地理的な事業範囲が限定されており将来的に大きな増配を期待することは難しいかもしれません。

TやVZがただ単に高配当だからってこれらに集中投資すべきではありません。

配当が大事だからって、配当利回りを神様のように崇めてはいけません。

ですが、配当利回りが重要なのもまた事実です。

シーゲル教授は、概ね市場平均ほどの配当利回りがあれば良いと書籍で言っていました。今のS&P500指数の配当利回りは2%ほどです。2%は一つ目安だと思います。

配当利回りが低い企業であっても、将来の増配幅が大きければ投資リターンは高くなります。
将来の増配を期待して、低配当利回りの優良株へ投資するのも投資判断として当然ありだと考えています。

ですが、未来はいつも不確実です。

より安全を重視するなら、比較的高配当な銘柄へ投資した方がいいと思います。すでに配当水準が高い銘柄は、将来の増配率がそれほど高くなくても減配さえしなければほどほどの配当総額を確保できますから。

それと歴史を振り返ると、たとえ高収益な企業であっても配当利回りが低い銘柄はトータルリターンが低かったことがわかっています。
配当再投資の効率が悪いためです。

まあだからって、必ずしも配当利回りが低い銘柄への長期投資がダメってわけではないと思いますけどね。投資リターンなんて、未来になって蓋を開けてみないとわかりませんから。

配当利回りという指標の性質を理解した上で、配当利回りという材料を利用して投資を続けるとよいかなと思います。