嫌いな言葉があるんです。

それが自立という言葉。

一見するとポジティブ感に満ちている言葉ですが、私は大嫌いでこの単語を受け入れることができません。
一人暮らしを始めてから余計に無理になりました。

なんで嫌いかと言うと、この世で自立している人なんて一人もいないと思っているからです。

 

 

 

自立という言葉は一般的には、親元を離れて自分の給料で自活することを指します。
要するに親を頼らずに、自分で働いて稼いだ金のみで生きていけるようになること。

最近は高校や大学を卒業して社会人になっても、実家暮らしを続ける人が多いようです。
私の会社の同僚の話をさせてもらえば、女性は実家から通っている人がたくさんいます。
男もちょくちょくいます。

一人暮らし=自立
実家暮らし=自立できていない
という見方もあるかもしれません。

もちろん、実家暮らしでも親に月10万円くらい入れている人もいるかもしれませんが。
まあ私の周りではせいぜい3万円くらいを入れている人が多い様に思う。

別に実家暮らしが悪いというのが私の意見ではないです。

実家暮らしであろうと、一人暮らしであろうと、どちらも自立はできていないと言いたいです。

なぜそう思うかって言うと、人は必ず社会の存在を頼りに生きているからです。
自分一人の力で生きている人は皆無だと思うからです。

 

 

 

日本って豊かですよね。
電車に乗れば高校生がスマホいじっているし、スタバ行けばたくさんの人が600円もするフラぺ飲みながら高級なMacBookでカタカタやってるし。

スタバで勉強している高校生なんてどんだけ金持ち学生なんやろww。

なんで日本が豊かかと言えば、経済が発展しているからです。
生産性が低い、インプットの割にアウトプットが低い、長時間労働がダメ、と言われ続けている日本社会ですが、日本で生活している者の実感として日本は素直に豊かで恵まれた国だと思いますよね。

それぞれの人が自分の得意な分野にリソースを集中させて仕事をして、全体の利益を最大化することで経済は発展していきます。
比較優位って奴でしょうか。

こうやって経済が発展していくと、人はどうしても社会に頼って生きていかざるを得ないことになります。

すべての人が自給自足だと効率が悪いから、比較優位がある分野に各人が仕事を集中させているのが経済です。

 

 

 

私は経理部として某上場企業の決算をまとめていますが、これじゃ飯は食えないです。
文字通りの「ご飯」っていう意味です。
だって、私は稲作をしているわけでも野菜を育てているわけでも家畜を飼っているわけでもないですから。

食料はすべて市場で調達していますよ。
具体的には、セブンイレブンとかファミマ、大戸屋とかの常連です。
あ、あと近所のスーパーマーケット。

食事だけじゃなく、衣食住のすべてを社会を頼りに生きています。
社会様様です。

「衣」について。
衣類はユニクロで買うことが多いです。
スーツはスーツカンパニーかな。
Yシャツの洗濯は近くのクリーニング屋さんにお願いしています。
自分でやることと言えば、ボタンが外れた時に自分で付けるくらいかな。
(めっちゃ不器用ですけどね、それ位はなんとか自分でできるんです!)

「食」について。
食事はまったく自炊しません、、いえできません。
今まで作ったことある料理は、おにぎり・納豆ご飯・豚肉の生姜焼きくらいです。
(最初の二つは料理ではないか!?)

朝ごはん代を節約するために週末におにぎりを作り置きしておこうと思ったことがありました。
自分でご飯炊いておにぎり作ってサランラップにくるんで冷まして冷凍する、という作業だけで汗ダラダラで何時間も掛かりましたね。
で、「あ、これ無理やわ」って思いました。

おにぎり作るだけ挫折したくらいだから、他の料理なんで言うまでもないです。
食事はすべて外食もしくは中食(お惣菜買って家で食べる)です。

「住」について。
家は賃貸住宅です。
毎月家賃払って住ませてもらっています。
当たり前ですが、自分で家を建築するなんて無理なんでお金払って家を借りてます。

 

 

 

程度の差はあれ、あなたもそうですよね?

お金を払って市場から社会から製品やサービスを購入するから便利で豊かな生活を送っているわけですよね。

そりゃ、当たり前??
自分で金稼いで、その金で買っているんだから誰にも文句を言われる筋合いはない。
むしろ日本経済に貢献している。

そうだと思います。
自分で稼いだ金で物を買っているんだから、それでいいわけです。

でも、それを以って金を払っている自分が偉い、金を払っているんだから物を買えて当然という意識はちょっと違うんじゃないかなって思います。

お金なんて、特に財布に入っている紙幣なんて、本当に幻想でしかなくこれを無人島に持って行っても何の価値もないわけです。
円札もドル札も一緒です。
世界の基軸通貨であるドル札をアフリカ奥深くの原住民族が住む集落に持って行っても、なんの価値もないでしょう。

お金はそれと交換に商品とかサービスを提供してくれる事業者がいるから意味を持つんです。

お金を払う客側、お金を貰う事業者側、どっちが偉いっていう議論に意味はないと思いますが(そもそも「偉い」という言葉の意味が曖昧)、敢えてどちらか選ぶとすれば事業者側だと思います。

お金を持っているということは、窃盗でもしていない限り、それ相応の仕事をして社会に価値貢献した証です。
だから、自分が価値を感じるものをお金を払って手に入れるのは当然の権利とも言えます。

でもね、そうやってお金を払ってでも欲しいと思える商品があるのは、それを社会が準備してくれているからに他なりません。
人は必ず社会に依存して生きています。

親元から巣立っても、社会から巣立つことは永遠に不可能です。
人は社会のお陰で豊かに生きています。

きれいごとかもしれませんが、そういう社会への感謝の気持ちを忘れたらオシマイだと思うんです。
自分の給料で生活しているということと、自立しているということとは大違いです。

この世の中で本当に自立している人なんていないと思います。

てか、金持ちほど自立できてないでしょ。
だって富豪たちは、そのあり余る金で社会からたくさんの資源を調達しているわけですから。

金持ちが、「金持ちらしい」生活を送れるのは社会のお陰です。
高級別荘、ランボルギーニ、ファーストクラスの豪華サービス、高級クラブ、、ぜ~んぶ社会が提供してくれるものです。

ちょっと不謹慎かもしれませんがね、最も自立しているのはホームレスだと思います。
新宿中央公園あたりを歩けば、段ボールで寝ている人たくさんいます。
皮肉ですが、ホームレスって完全に自立していますよね。
社会からほとんど何も調達せずに、文字通り自分の力だけで生きているから。

別に金持ちけしからん、ホームレス偉いとかそういうこと言いたいわけではありませんよ。

 

 

日本という豊かな資本主義社会で普通に生きていく限り、自立するなんて無理な話です。
無理でいいんです、そういうもんですから。
経済が豊かになると、人は必然的に自立できなくなります。

すべて社会のおかげです。
あなたの日々のサラリーマン労働が日本を支えています。
マジでそう思っています。

そういう相互互恵関係があるのが経済ですよね。
その相互互恵をきゅーーと抽象化したものがお金だと思っています。

 

 

 

よく「女性が幻滅する男性の態度 ランキング10」みたいなニュースありますよね。

あの中でよくある回答として、「店員に横柄な態度をとる男」ってあるじゃないですか。

これめっちゃわかるんです、私は女性じゃないけどね。
女性の方が客観的に社会を見つめるのが得意な気がしますね。

ここでいう、店員っていうのは社会を象徴している存在です。
客だからって店員に横柄な態度を取る人は、社会の中で自分は生かされている、自分は大きな社会の中でのほんの小さなクズでしかない、という事実をわかっていないんだと思います。

 

 

 

育ててくれた両親に感謝しましょう・・
そっすね、大事だと思います。
親には感謝してます。
やはり両親がいないと、今の自分はここにいないわけですから。

ただね~、両親に感謝するのも大事だけど、もっと社会に感謝すべきだと思います。

特に親元を出て自分で働いて飯食っているあなたは、今はもう圧倒的に親よりも社会に依存しているはずです。
社会に依存しまくっていいと思います。
しっかり働いて稼いで、株で儲けて、そのお金で社会から好きなもん調達すればいいと思います。

ただその、社会のおかげで今の生活がある、という事実は忘れないほうがいいと思います。

明日もし親が死んだら、、悲しいです。
めちゃくちゃ悲しいです。
でも、、ぶっちゃけ明日からの日常生活は何ら困りません。
親にはもう頼っていませんから。

明日もし社会が消えたら。
(「社会が消える」って曖昧な表現ですけど、まあ身近なお店がすべて無くなる感じでしょうか。)
明日もし身の回りのすべてのお店がなくなったら、、別に悲しくはないです。
でも、、めっちゃ困ります、飯食えないし、飲み物買えないし。

人は大人になると親には依存しなくなりますが、社会への依存はなくなりません。
むしろ、親へ依存していた分が社会への依存に転換するんだと思います。

人の感情として、親や親戚を大切にする気持ちはとてもわかります。
血のつながった家族、何十年も一緒に過ごした家族のことを大切に想う気持ちは当然です。

でも、私たちの生活を実務的に支えてくれているという意味でより大切にすべきは社会ではないでしょうか。

 

 

 

そういえば、今日こんなニュース読んだ。

スターバックスのハワード・シュルツ会長のアリゾナ州立大学卒業式でのスピーチ。
人として一番大切なことは何かを考えさせられる言葉があると。
それがウブントゥ(Ubuntu)という言葉。

Ubuntu means I am because of you

I am because of you
めっちゃいい言葉だと思いました。

“you”という英単語には2人称としての「あなた」だけではなく、3人称としての世間一般の人々という意味もあります。
peopleに近い感じでしょうか。

3人称のyouって要するに世間一般の人々、社会全体を意味していると言えます。

“I am because of you”
=「あなたのおかげで私がいる」
=「社会のおかげで私がいる」

スタバでこれ読んでた。

まじスタバ大好きーー!
スタバのこともっと好きになった。

 

 

だから株式投資だけでアーリーリタイヤしたいって思わないんだよな~

やっぱり社会のおかげでそれなりに豊かに生きているという思いがある以上、事業者側として社会から完全に退場するのは嫌です。
気持ちの問題ですが。