Grow Rich Slowly シーゲル流米国株投資で億万長者になる!

米国株投資を通じて資本主義社会を豊かに楽しく生きる

*

利上げ直前でも長期投資家は株を売るべきではない

      2016/10/03

ジャクソンホールでのイエレン議長、フィッシャー副議長などFRB幹部の発言を受けて、9月FOMCでの利上げ観測が急激に高まっていました。

そんな中、いつも以上に注目を集めていた8月雇用統計が発表されました。

結果は事前予想をやや下回る結果でした。

非農業部門就業者数は前月比15万1,000人増でした(事前市場予想は18万人増)。

失業率は4.9%で横ばいで7月から変わらず、やむなくパートタイム職に就いている人や職探しを諦めた人も含めた広義の失業率は9.7%でこれも7月から変動なし。

平均時給は25.73ドルでこれも前月比とほぼ変わらずでした。

今回の雇用統計の結果から、9月20日・21日のFOMCでの利上げ可能性はほぼ消滅したと思います。

9月2日の米株式市場は9月利上げ可能性後退を好感し、S&P500だけでなくすべてのセクターで上昇しました。

S&P500 0.42%
一般消費財 0.20%
生活必需品 0.77%
エネルギー 1.13%
金融 0.45%
ヘルスケア 0.11%
資本財 0.49%
素材 1.00%
テクノロジー 0.45%
公益事業 1.33%

株価上昇局面で置いてきぼりにされがちな、生活必需品セクターや公益事業セクターがしっかりした結果です。

これらのセクターは低金利が常態化するなか債券の代替として買われてきたセクターであり、今回の利上げ観測後退を受けて再び魅力的な配当を求めて買われたのかなと推測しています。

NYダウは18,491.96ドルで史上最高値付近です。

7月に史上最高値を更新してから、アメリカ株式市場は怖いくらい静かです。

WSJによると、8月にS&P500が1%超変動した日は一日もなく、これは2年ぶりだそうです。

8月雇用統計がもし良好であれば、この静けさも破られて株価の大幅調整もあるかなと思っていましたが、S&P500は前日比+0.42%の2,179.98でした。

アメリカ株式市場は最高値圏にあり、バリュエーションは高い高いと言われ続けています。


   米株のCAPEレシオは27倍

株価が最高値圏にあると、いつもの論調が各メディアで必ず起こりますね。

そう、バリュエーションは危険だ!、株価は割高だ気を付けろ!、売り逃げろ!という類の記事です。

そしてこういう記事は必ずクリックしてしまう私(笑)。

悲観的な記事の方がアクセス数を集めやすいというのは常識です。

もろにメディア戦略に嵌っているわけです。

さてWSJによると、昨今の米国株(S&P500指数)のCAPEレシオは27倍で長期平均の16倍を大きく上回っていて危険水準だそうです。

CAPEレシオとは、PERをちょっといじったものです。

PERは株価が予想一株当たりの何倍かを示した指標ですが、CAPEレシオは予想利益を使わずに過去10年の平均利益(インフレ調整後)を使用します。

PER = 株価 / 予想一株当たり利益

CAPEレシオ = 株価 / 過去10年平均一株当たり利益

現在のCAPEレシオの水準は過去10番目に高いそうで、このような高いCAPEレシオの時株式リターンは低くなる傾向にあるため、投資家は警戒する必要があるとのことです。

  本当に割高か?

果たしてこの記事を真に受けるべきか?

私はそうは思いません。

CAPEレシオが高いからといって今後の米国株リターンは低いという論調に素直に与すべきだとは思いません。

そう思う理由は大きく2つあります。

①株価はあくまで将来を反映している

株価は将来を反映しています。

将来の予想配当を投資家のリスク認識である割引率で割り引いた結果としての現在価値が株価です。

将来を予測するうえで過去を参考にすることは大いに賛成です。

ですが過去はあくまでも過去なわけです。

株価は過去の結果ではなく、将来の予測を反映したものです。

過去10年の利益実績と将来配当の割引現在価値である株価とを比較して、株価が割安・割高を判断することは今一腑に落ちません。

 

②超低金利

アメリカ10年物国債利回りはやや上昇して1.6%台です。

FRBは引き締め体制に移行しつつあるかもしれませんが、アメリカ以外の中央銀行は金融緩和方向です。

先日はイングランド銀行が利下げをした上に、国債や社債購入という量的緩和も進めることを宣言しました。

各国10年国債利回り
米国:1.61%
ドイツ:▲0.04%
英国:0.63%
日本:▲0.02%

かつてない超低金利なわけです。

最近は債券と株式の役割が逆になっていると揶揄されます。

すなわち、キャピタルゲインを求めて債券をインカムゲインを求めて株式が買われているということです。

このような異常な債券高(低利回り)な時に、株式のバリュエーションを単純に過去平均で考えていいのでしょうか?

国債利回りがこれほどまでに低下しているのだから、株式が買われるのは自然だと思います。

CAPEレシオが27倍というのは確かに過去平均と比べると高いのかもしれませんが、その過去とは金利環境が余りに違うではありませんか。

今の超低金利を鑑みれば、CAPEレシオが27倍というのはむしろ適正なのかもしれません。
真実はわかりませんが。

8月雇用統計の結果は市場予想を下回り、9月利上げ可能性はかなり低くなりましたが、それでも年内利上げ可能性はまだ残っています。

確かに米金利はこれから上昇していくでしょうが、そのペースはかなり緩慢だと想定されます。

現在の米金利誘導目標は0.25~0.50%で非常に低金利に見えるかもしれませんが、実態はそれほど緩和的な金利水準ではないと言われています。

自然利子率(完全雇用と安定的なインフレを両立させる金利水準)が低下しているからです。

必要となれば、現時点で想定されるよりもずっと早く政策を正常化させる可能性がある。それでも金融状況の無秩序な変化を防ぐのに十分なほどの緩やかなペースは維持される
(米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁インタビュー記事より)

  利上げ前でも株を売るな!

確かに今の株式相場は悲観相場とは言えず、明らかに割安と言えるタイミングではないでしょう。

でも割高とも言えないと思います。

てかわからないです(笑)。

各国の金融緩和がすさまじく、債券価格が異常で金利が低すぎて、どこが株価の適正値かなんて誰もわからないと思います。

イエレン議長や黒田総裁でさえ(多分)わからないのに、我々がわかるはずがない。

大切なことは、あまり相場とか考え過ぎずにコツコツと優良株を買うことだと思います。

長期投資で投資タイミングはそれほど重要ではないです。

メディアの脅し文句にいちいちビビってたら一生株式市場に参加できません。

CAPEレシオで見ると米株は割高という話は、こういう見方もあるんだな~くらいにさらっと流すくらいがちょうどいいと思います。

利上げが実施されたら確かに一時的な株価調整はあると思います。

そうだとしても、長期投資家は利上げ前に売って底値を狙うなんて取引はするべきではない。

将来は読めないから底値を拾える確証は全くないし、手数料・税金がもったいない。

また、近年は利上げ後に逆に株価が上昇するケースが多いです。

利上げというと、資金調達コストが上昇して株価にネガティブという印象を多くの人が持っているかもしれませんが、利上げできるということはそれだけ将来の企業収益が好調だとFRBが予想しているということです。それだけ経済が好調だということです。

割引率上昇による株価下落影響よりも、将来の企業収益向上に伴う予想将来配当上昇による株価上昇影響の方が大きくなる可能性だってあるわけです。

長期株式投資はその名の通り長期でリターンを得ていくわけですが、そのリターンの大半がもたらされる日はほんの数日なのです。

ほんの数日いや数時間か、グッと株価が上昇する瞬間、株価が企業の内在価値にグッと追いつく瞬間があるのです。

チャールズ・エリスはこれを稲妻が走る瞬間と表現しています。

長期投資家は稲妻が走る瞬間にマーケットに居れないリスクを絶対に回避すべきです。そのためには市場に居続けるしかないのです。

変に経済情勢を読みすぎて、稲妻が走る瞬間を逃したらあなたの長期投資リターンは大幅に低下してしまいます。

短期投資家なら稲妻が走る瞬間とか関係ないんです、日々のボラティリティを利用して利ザヤを確保すればいいんですから。

でも長期投資家は違います。
我慢強く保有し続けて、配当を再投資して給料を追加投資して持株数を増やし続けて、稲妻が走る瞬間を待つことがリターンの源泉です。

今まで何のために地道に株を保有し続けて配当をコツコツ再投資してきたのですか?

稲妻が走る瞬間に莫大な利益を得るためでしょ。

FRBの利上げが近かろうと何であろうと、保有してる株が株主に報いてくれる優良株だと自信があるなら絶対にホールドし続けるべきです。

 - 投資実務