労働でも投資でも何か社会に価値ある影響を及ぼしているからお金を稼げます。短期で価値を奪い合うゼロサムゲームによってお金を得る方法もありますが(宝くじとか競馬とかFXとか)、長期でマネタイズしようと思ったら社会的に価値あることをしなくてはなりません。

株式投資の価値とは何なのか?

それはリスクを取ることです。万が一の事態になったら株券が紙くずになるリスク、紙くずにならなくても株の価値が半値に下がるリスクを株主は負っています。リスク資本を提供するという「仕事」に対する対価が、株式投資のリターンだと思っています。

誰かがリスクを取らないと株式会社制度は成り立ちません。でも、誰しも自分の大切な財産をリスクのある株式マーケットに置きたいとは思いません。人が嫌がることを代行することは仕事になります。

みんな株式を嫌がるから、株価は将来の予想利益が一定の利率で割り引かれた金額になります。その割引率が株の経済的価値とも言えます。

絶対にあり得ないことですが、もし将来の予想利益が全く割り引かれることなく株価に反映されていたら、いくら優良企業と言えども投資リターンは期待できません。株にリスクが織り込まれているから、リスクある株に投資した人に儲けのチャンスがあります。

では、今の米国株にはちゃんとリスクが織り込まれているのでしょうか?

はい、織り込まれています。
安心してください。

なぜ、織り込まれているとわかるのか?

S&P500の予想PERが18倍(益回り5.6%)となっているからです。過去平均より高いPERではありますが、今の低金利を考えれば十分リスクが反映された株価だと私は捉えています。

もし、S&P500のPERが50倍で配当利回り1%未満とかになれば、さすがに投資家が楽観的過ぎでリスクが織り込まれていないと判断します。優良企業集団S&P500と言えども、ここまでリスクが織り込まれないと(将来利益に対する割引率が低いと)リターンは期待できません。

が、繰り返しですが今のS&P500には相応のリスクが織り込まれています。割安とは思いませんが、コツコツ投資を続けていけるバリュエーションだと思います。

そう、S&P500指数にもリスクが反映されていて、だからこそS&P500への長期投資は富を生みます。

が、、、、、

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S&P500への投資に本当にリスクなんてあるのでしょうか?

 

以下はS&P500の主要構成企業の営業利益(金融機関は純利益)一覧です。

(単位:百万ドル)

ティッカー 会社名 構成割合 営業利益
(金融機関は純利益)
AAPL アップル 4.3% 61,344
MSFT マイクロソフト 3.5% 35,058
AMZN アマゾン・ドットコム 3.2% 4,106
GOOGL アルファベット 2.9% 28,882
BRKB バークシャー・ハザウェイ 1.7% 25,894
JPM JPモルガンチェース 1.6% 24,441
FB フェイスブック 1.6% 20,203
JNJ ジョンソン&ジョンソン 1.5% 18,714
XOM エクソンモービル 1.5% 19,275
BAC バンク・オブ・アメリカ 1.2% 18,232
PFE ファイザー 1.1% 14,107
V ビザ 1.1% 12,144
UNH ユナイテッドヘルス 1.1% 7,017
T AT&T 1.0% 23,863
CVX シェブロン 1.0% 9,528
WFC ウェルズファーゴ 1.0% 22,183
HD ホームデポ 0.9% 14,681
VZ ベライゾンコミュニケーションズ 0.9% 29,188
INTC インテル 0.9% 18,320
CSCO シスコシステムズ 0.9% 12,667
BA ボーイング 0.9% 10,123
PG プロクター&ギャンブル 0.8% 13,711
MA マスターカード 0.8% 6,728
MRK メルク 0.8% 7,309
C シティグループ 0.7% -6,798
KO コカ・コーラ 0.7% 7,501
DIS ウォルトディズニー 0.7% 13,873
NVDA エヌヴィディア 0.7% 3,210
CMCSA コムキャスト 0.7% 17,987
NFLX ネットフリックス 0.7% 839
PEP ペプシコ 0.6% 10,509
DWDP ダウ・デュポン 0.6% 4,926
ABBV アッヴィ 0.6% 9,592
ORCL オラクル 0.6% 14,319
IBM IBM 0.6% 10,334
WMT ウォルマート 0.6% 20,437
AMGN アムジェン 0.5% 9,973
MDT メドトロニック 0.5% 6,343
PM フィリップモリスインターナショナル 0.5% 11,503
ADBE アドビ・システムズ 0.5% 2,168
MCD マクドナルド 0.5% 9,553
ABT アボットラボラトリーズ 0.5% 1,726
MMM スリーエム 0.5% 7,234
HON ハネウェルインターナショナル 0.5% 7,053
UNP ユニオン・パシフィック 0.5% 8,061
CRM セールスフォース・ドットコム 0.5% 236
MO アルトリアグループ 0.5% 9,556
ACN アクセンチュア 0.5% 4,810
GE ゼネラルエレクトリック 0.5% 11,878


こんなガッポリ利益を稼いでいる優良企業群に投資することに、本当にリスクなんてあるのでしょうか?

 

確かにS&P500のバリュエーションを見ればきちんとリスクが織り込まれていますよ。さっきも言いましたが、予想PERが18倍(益回り5.6%)になっていることが、リスクが織り込まれていることの証です。

S&P500に対するリスクという表現は適切ではないかな。S&P500は個別企業の集合体ですから。各構成企業にリスクが反映されているから、結果としてS&P500指数にもリスクが反映されています。

各個別銘柄にリスクが反映されるのは当然です。どんな優良企業にも衰退、倒産のリスクはありますから。

でも、その集合体であるS&P500指数にリスクなんてあるのでしょうか?

S&P500を構成する大半の企業が衰退して、収益が落ちて稼げなくなって、S&P500ETF(ないし投資信託)の投資家が損をすることはあり得るのでしょうか?

そんなリスクあるでしょうか?

100%ないとは断言できませんが、ほぼないでしょう。99%ないと思います。

語弊を恐れず言っちゃいますが、「S&P500への投資にリスクなんてない!」と思います。もうね、、S&P500への長期投資ってフリーランチ(ただ飯)なんじゃないかとさえ思うくらいです。

いや、ただ飯は言い過ぎでした。

旅行に行けるお金、焼肉食べれるお金を我慢してがんばって資金を投資に回しているわけだから、ただ飯は言い過ぎですね。でも、限りなくただ飯に近いと感じます。得られるリターンの大きさを考えたら、余計にただ飯感があります。

以前、読者さんからこんなコメントを頂きました。

ボラティリティは受け入れているけど、”リスク”は取っていないかな

読者さんコメントより

このコメントはビビビッと来ました。たった一行ですごいことおっしゃるな~と。こういう本質を突いたことを短文でズバッと言える人尊敬します。ブロガーとして見習いたい。僕は言いたいことが多すぎてw、長文になることが多々あるので。もっとメッセージを絞って記事を書かないとな~とたまに思うんです。すみません余談。

金融の世界ではリスク=ボラティリティと言われます。確かにハイリスクなビジネスはハイボラティリティです。テスラとか。

でも、両者(リスクとボラティリティ)は厳密には同じではないのかもしれません。

S&P500指数は株式である以上、株価は毎日変動します。日によっては2%~3%動く時もあります。リーマンショックのような金融危機が起これば10%下落することだってあり得ます。

だから、S&P500にボラティリティはあります。これは間違いない。S&P500に投資するなら、ボラティリティを受け入れる必要はあります。日々の株価変動、為替変動に振り回されることに耐える力は求められます。

でもでも、S&P500にリスクは(ほぼ)ないと言えるのではないでしょうか?

リスクがほぼないのに、株価にはきちんとリスクが織り込まれている。だから投資家はちゃんとその「リスク」に応じたリターンを得られる。実際はリスクがほぼない(ボラティリティはある)のに、株価にはリスクが反映されている。こう見えます。

S&P500への長期投資って秘密の金鉱、金脈に見えます。

あなたはこの金鉱を見つけてしまいました。
やるしかないでしょ。掘り続けましょう。未来は明るいです。

 

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2年くらい前の記事ですが、(なぜか)いまだに弊ブログでアクセス数No.1を誇るモンスター記事。自分ではサクッと軽い気持ちで書いた記事のアクセス数が伸びる、ブロガーあるある。昔の記事はちょっと調子に乗って気張って書いてるので、読み返すのが恥ずかしいです笑。