銘柄だけでなく、セクターも分散させることが重要だと諸先輩方の書籍やブログで学びました。納得しました。たとえば、ハイテクセクターと公益セクターは真逆に動く傾向にあるので組み合わせることでポートフォリオのボラティリティを緩和できます。


上記図の4象限すべてを揃えると、かなりボラティリティを下げることができそうです。たとえば、
・消費安定
・エネルギー
・ハイテク
・消費循環
の4つとか。

ただ、私は最近セクター分散なんて要らないじゃないかって思ってきました。セクター分散はポートフォリオのボラティリティを下げることはできるけど、リスクを下げられるとは限らないと思うからです。

複数のセクターに属する銘柄を持つことで株価変動はマイルドになります。これは間違いない。私は市場が開いている日は、毎日セクターETFの値動きをウォッチしているのでそれを肌で感じています。特にハイテク株と景気安定株の逆相関は素晴らしい。マイクロソフトやアマゾンが下がっていると、大抵コカ・コーラやプロクター&ギャンブルは上げています。

でも、無理して馴染みの薄いセクターに投資する必要はないだろって最近思います。なぜなら、それはボラティリティ低下にはなっても、リスク低下にはならないからです。

バフェットはIBMやアップルに投資するまでは、ハイテク業界からは身を遠ざけていました。バフェット自身が理解できるビジネスではなかったからです。どれだけ年次報告書を読み込んでも、バフェットのハイテク企業に対するリスク認識はゼロにはなりませんでした。バフェットは自分のリスク(割引率)がゼロまで下がるほど納得しないと投資を決断しない人です。超慎重で完璧主義なところありますね。だからこそ、成功したんだろうな。

あなたが詳しく知らないセクターに投資することで、あなたのポートフォリオのボラティリティは下がるかもしれません。しかし、あなたのリスク認識は下がるどころか上がる可能性すらあります。このリスク認識は定量化できないのでちょっと抽象的な話になってしまいますが、要は保有銘柄にどれくらい不安を感じるかという気持ち、感情です。

長期投資で大事なことは、暴落時に今まで保有してきた優良株をグッと離さずホールドすることです。皆が投げ売りしている時に、あなたも一緒になって投げ売りしてしまえば、これまでせっかく築いてきた投資リターンが一夜で崩壊してしまいます。

それは何としても避けたい。

そのために何をすべきか?

理想はポートフォリオのボラティリティも下げつつ、リスク認識も下げること。でも、それはなかなか難しい。あらゆる業種の銘柄に精通している必要があります。時間は有限。株式投資、銘柄分析に貴重な人生の時間をそんなに割くことはできませんよね。

ボラティリティとリスク、どちらも低い方が望ましいですがより重要なのはリスクだと思います。

リスクをきちんと下げていればこそ、暴落時にも動じることなく株をホールドできるし、もっと言えば買い増す勇気も出てくるかもしれません。皆が投げ売りしている時が一番の買い場です。資産価格は本源的価値を無視して暴落しますから。それができればきっと長期投資で成功できます。

でも、それは言うは易く行うは難し。ドル紙幣が紙くずになる、アメリカ経済は崩壊すると囁かれたリーマンショックの際に、資金を株式マーケットに投じるのは並大抵な度胸じゃできなかっただろうと想像します。「もっと下がるかもしれない」という恐怖心に覆われ、PCの前でオロオロしている間に株価が反発しちゃいそうです。

暴落時に買い増すまではいかなくても、何とかホールドしたい。せめてホールド。とにかく狼狽売りしないことが最低ライン。

そのために、平時から謙虚な気持ちを忘れずにリスクを徹底的に下げる運用が大切なんだと思います。そう最近気が付きました。ボラティリティよりリスクが大事なんだって。今さらですが。

リスクを下げるうえで、無理なセクター分散は逆効果です。自分が理解できない銘柄への投資ほどハイリスクなことはありません。

無理してセクター分散する必要はない。リスクを下げるためなら、多少の高いボラティリティは受け入れる価値があると思います。

一番大切なのは自分の納得感。周りからの共感や理解なんて必要ない。