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ヘルスケアセクターへの配当再投資戦略には正直悲観的です

   

シーゲル教授の膨大な調査によると、1957年から2003年までのトータルリターンで最優秀だったのはフィリップモリスで、その年率リターンは19.75%でした。

フィリップモリスはさらに遡って1925年以来のリターンを見ても、年率は17%にも上ります。

年率17%って言いますけど、これがどれだけ凄まじい数字か想像できますか?

1925年に10万円のフィリップモリス株を買って配当再投資を続けれいれば、80年後の2005年には何と250億円にもなったのです!!

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   フィリップモリス好成績の理由

なぜフィリップモリスの長期株主リターンはここまで好成績だったのか?

それは皮肉なことに多くの悪材料があったからです。

たばこメーカーとして、数々の規制や訴訟によってビジネスを阻害されてきました。またさらに、健康に害があるたばこというイメージが嫌気され投資家が離れていきました。

でも、実際はフィリップモリスのたばこビジネスのワイドモートを全く崩れておらず、がっちり利益を出し続けたのです。

株価が下がろうともフィリップモリスの株を辛抱強く保持し続け、さらに配当再投資を続けた稀有な投資家は最後には莫大な富を手に入れたのです。

ポイントは、株主リターンは実際の増益率そのものではなく、それが市場期待に対してどれほどアウトパフォームしたかどうかです。

フィリップモリスは規制や訴訟による賠償金のせいで投資家期待は低く、株価は長期低迷しました。しかし、蓋を開けてみれば、フィリップモリスの1957年~2003年までのEPS成長率は年率14.7%という猛烈な成長を遂げていたのです。

投資家期待が低かった影響もあり配当利回りも4%を超えていました。この高配当を再投資することによってフィリップモリス株主は益々持ち株数を増やすことができたわけです。

フィリップモリスが高リターンだった理由、それは過度に低い投資家期待が継続したにも関わらず実際の利益成長はその投資家期待を遥かに上回る結果になったからです。

つまり、

実際のEPS成長率> 投資家の期待EPS成長率

というのがポイントだったのです。

これってよく考えれば当然だと思いませんか?

株価が内在価値を下回る水準の時に配当を再投資することで高リターンを記録する。これはつまり割安な株価水準が長期間続いた為にもたらされた好成績ということです。

割安な時に株を買い増せば最終投資リターンは良くなる。

シーゲル教授が言っていることは極めて単純なことなのです。

シーゲル教授が凄いのはその事実を、過去の実際の膨大なデータを紐解いて調べ上げたことだと思います。

  ヘルスケアセクターには悲観的

ヘルスケアセクターは1957年から2003年までのトータルリターンがセクター別ではトップの成績でした。年率実質リターンは約14%。

その理由はフィリップモリスと似ていると思います。

ヘルスケアセクターの企業は過大な研究開発投資、研究失敗リスク、薬価引き下げ、訴訟などによって投資家期待が過度に高まらなかった。しかし、実際にはワイドモートを持つ老舗企業を中心に莫大なキャッシュを稼いだ結果、実際のEPS成長率が投資家の期待EPS成長率を大きく上回ったのです。

これから50年はどうでしょうか?

今はもう先進国では高齢化問題は避けられないと言われています。日本を筆頭として。

このような人口構造がもたらす社会課題に対して、世界のヘルスケア業界への投資家期待はもの凄く高いと感じています。日本だって医療機器業界などは厚労省の審査早期化などを進めることで、国を挙げて関連企業を後押ししています。積極的に世界展開している企業も多くあります。

その流れは世界共通だと感じています。
米国ではクリントン大統領候補の薬価引き下げ政策(トランプ候補もですけど。)の影響で、目前のビジネスリスクは高いですが、長期的に見れば米国でも製薬等のヘルスケア業界への投資家期待はとても高いと思われます。

確かに開発失敗や薬価下落などのリスクが存在することは今後も変わらないのですが、それらに対するリスク認識よりも、高齢化に伴うヘルスケアセクター全体への投資家期待の方が高いと感じています。ヘルスケア関連企業は健康を増進しているという「クリーンな企業」というイメージも個人投資家の買いを支える気がします。

2015年12月まで5年間でヘルスケアセクターは150%も株価が上昇しています。
2016年はほぼ年初来同水準ですが。

このような高い投資家期待を感じているため、私はヘルスケアセクターは今後50年はシーゲル教授が調査した1900年代後半のような高パフォーマンスは無理だろうと思っています。

特にヘルスケアセクターETFへの長期パフォーマンスには悲観的です。

ヘルスケアセクターもしっかり銘柄を厳選すれば、十分に市場平均を超えるトータルリターンを得ることができるとは思います。ですが、ヘルスケアセクター全体のトータルリターンが市場平均を超えるかは怪しいと思っています。

成長の罠には常に気を付ける必要があります。

米国GDPに占めるヘルスケアセクターの割合は15%を超えており、それは今後も拡大を続けるでしょう。

高い成長期待は高い株主リターンをもたらさないということは、投資家として常に頭に入れておくべき事実です。

まあ、言うまでもないですがこれは素人投資家の私の個人的な意見です。ちなみに直感で言っているだけであって何一つ統計的データを示すことは出来ません。そして人生経験上、私の直感はよく外れます(笑)。

シーゲル教授は、『株式投資の未来』でヘルスケアセクターは向こう50年にかけても市場平均を上回るだろうと言っています。

だからヘルスケアセクターに投資している人も別に不安になる必要はないと思います。

私の素人意見(ヘルスケアセクター悲観的)と、ペンシルベニア大学教授のシーゲル先生の意見(ヘルスケアセクター楽観的)とでどちらが信頼できるか、言うまでもありませんね。

でもね、シーゲル教授はこうも言っています。「ヘルスケアセクターは成長期待が高い新興企業の影響がなければもっと高リターンだったはずだ」と。

つまり、ヘルスケアセクターへの投資は続けるにしても、新興企業を多く含み分配金利回りがS&P500平均すら下回るヘルスケアセクターETFへの長期投資は控えるべきだということです。
参考記事
[XLV]はヘルスケアセクターの米国優良企業を集めた低コストETF

 - 投資実務