※2020年12月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はスリーエム(MMM)をご紹介します。

基本情報

会社名スリーエム
ティッカーMMM
創業1902年
上場1946年
決算12月
本社所在地ミネソタ州
従業員数95,000
セクター資本財
S&P格付AA-
監査法人PwC
ダウ30
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

割愛

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

セグメント利益推移

セグメント利益率推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

62年

過去10年の配当成長

年率+10.8%

この10年で配当は2.8倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2011~2020):+10.3%
過去20年(2001~2020):+8.2%
過去30年(1991~2020):+10.3%

バリュエーション指標(2021/3/13時点)

予想PER:17.8倍 最新情報はこちら

配当利回り:3.2% 最新情報はこちら

コメント

スリーエムは、化学・電気素材技術を中核としたコングロマリットで、NYダウ30種にも名を連ねる米国を代表する企業の一つです。株式分割する前の2000年代前半には、スリーエム1社でNYダウの10%以上を占めていた時期もありました。

米国内売上高は約4割で海外売上高比率が高いです。

事業セグメントは以下の4つ(FY19から事業セグメントが変わっています)。

・セキュリティと産業(Safety and Industrial)
・交通、電子機器(Transportation and Electronics)
・ヘルスケア(Health Care)
・消費者向け(Cosumert)

「セキュリティと産業」は各産業、セキュリティ市場に製品・サービスを提供します。工業用接着剤、テープ、研磨剤、コーティング剤、マスキングテープ、自動車アフターマーケット、音響システムなどです。

「交通、電子機器」は世界の輸送産業、電子OEMに製品・サービスを提供します。ディスプレイ材料、電子素材、輸送機器(自動車、航空機、船舶など)の製造保守に使用される部品、道路標識、反射シート、塗装マーキングシステムなどです。

「ヘルスケア」は歯科用接着剤、歯科矯正器具、クラウン、聴診器、医療用テープなどを取り扱っています。また、病院への健康情報システム導入をコンサル的に実施したりもしています。

「消費者向け」部門はポストイット、ラベル、メンディングテープといった文具オフィス用品の他、スポンジや浴室フックなどの家庭用品も取り扱っています。

「経営の選択と集中」と言われる中スリーエムがこのような多角化経営に成功しているのは、数千件以上の特許を持っているからです。過去の特許製品を応用して数多くの製品を開発し続けることで高い収益性を保っています。製品種類は5万5千種以上もあるそうです。

財務データを見てましょう。

FY20の売上高は322億ドルで前年から微増も、為替ニュートラルだと▲1.7%の減収です。COVID-19パンデミックがセキュリティ、住宅改修、清掃等一部分野の収益を押し上げましたが、オーラルケアなど減収となった部門もありました。

FY20の純利益は53.8億ドルで前年比+18%と増益。ただし、一時要因を排除した調整後EPSは前年より若干悪化しています。

FY19に総資産が増加しています。ヘルスケア部門の買収によってのれん、無形資産が増加しました。継続的な自社株買いと買収資金手当てのための有利子負債調達のため、自己資本比率は23%にまで低下しています。債務返済に懸念はありません。

連続増配62年と素晴らしい還元実績を残してきました。ここ10年も年率11%という高い増配率。ここ2年ほどは少ないものの、自社株買いも継続的に実施しています。