昨日久しぶりに会計士時代の友人とあって飲んでいました。

彼が酒飲みながら言うわけです。

「俺の会社は自社株買いしまくっているけど納得できない!」

「自社株買いなんて目先の株価上昇を目論んだ小手先のテクニックだ!」

とか言うわけです。

まあ仕事中ではなく楽しく飲んでいる席だし、そんな本気で言い返すことはしませんでしたが彼の意見には私は反対です。

    自社株買いは株主還元

自社株買いとはそのままですが、自社の株式を市場から買い戻すことです。

彼はこの自社株買いに対して大きな誤解をしています。

それは、自社株買いは需給を逼迫させることで株価を釣り上げているんだという誤解

確かに自社株買いをするということは、それだけ自社の株に買い注文を入れるわけですから、株式の需要は逼迫して株価が上昇する一因になります。

でも自社株買いの本質はそこではありません。

自社株買いは立派な株主還元なのです。

自社株を市場から買い上げて発行済み株式総数を減らすことによって、既存株主の一株当たりの株主価値を増加させるのです。

自社株買いで株価が上がるのは一時的に需給が逼迫することも一因ですが、一番の理由は一株当たりの株主価値が上昇して、理論株価が上昇するからです。

確かに自社株買いがいつも株主利益に貢献するわけではありません。

株価が理論株主価値・内在価値をかけ離れて高騰しているときに自社株買いをすることは、株主利益に反します。

でも、そういったイレギュラーな事象を除けば、自社株買いは正義です。

自社株買いは間違いなく株主利益に貢献する企業行動です。

何度も言いますが、自社株買いとは一株当たりの株主価値を上昇させることで理論株価を上昇させるという株主還元なのです。

決して投機的な要因で株価を釣り上げるために実施するものではないのです。

コカ・コーラやプロクター&ギャンブルなどの米国成熟企業は毎年多額の自社株買いを実施しています。

これらの優秀な経営陣を抱える優良企業が投機的な理由で多額の自社株買いをするわけないでしょ。

自社株買いとは株主還元なのです。

手元資金が必要以上に積みあがって有望な投資先がないとき、最も有効な資金配分方法として自社株買いが挙げられます。

最近は日本の企業も自社株買いに積極的です。

NTTドコモやソフトバンク、日産自動車など数千億円単位の自社株買いを実施しています。

これらは成熟時代になっている日本企業として自然な成り行きです。

会社が成長するにつれて、売上成長は鈍化していき株主還元に積極的になります。

売上成長が鈍化すると一見低成長で魅力的な投資先に見えないかもしれません。

でも、自社株買いという株主還元を積極的に行う会社というのは、実は成長著しい会社よりも株主にとって魅力的な投資先なのです。

稼いだ利益を自社株買いでガンガン株主還元してくれる会社が、株主にとって魅力的というのは極めて自然なことです。