医療機器大手のメドトロニック(MDT)に投資していますが、同社はアイルランド・ダブリンに本社を置いています。2015年にコヴィディエンを買収してから本社を移しました。

アイルランドは法人税率が12.5%と世界でもっとも低く、当時の米国の法人税率35%を大きく下回っていました。ただし、配当の源泉税率は20%あり、米国の10%より高かったです。

高い配当税率というデメリットより低い法人税率というメリットの方が大きいから、日本人投資家もアイルランド本社の企業に投資した方が税務的にお得だと判断していました。全額ではないですが配当課税は外国税額控除で戻ってきますし。

ところが、ご存知の通り、2017年12月に米国も法人税率を引き下げました。改定後の税率は21%です。アイルランドの12.5%には及ばないものの、かなり大きな引き下げです。米国の法人税率がここまで下がると、タックス・インバージョン(節税のための本社移転)は下火になるでしょう。投資家としても、アイルランド等の低法人税率の国に本社を置く企業に投資するメリットは小さくなります。

ヘルスケアセクターで個別銘柄を検討する際、メドトロニック(MDT)は候補に挙がることも多いかと思いますが、配当源泉が20%取られるという点は覚えておいた方がいいです。今までは低い法人税率による高いEPS成長で相殺されるから問題ないと考えていましたが、米国の法人税率が20%まで下がったので、そのロジックはやや破綻します。まだアイルランドの法人税率の方が低いので完全に破綻するわけではありませんが。

MDTは株価好調で頑張ってくれているのですが、配当がいつも物足りないな~と思います。他の保有銘柄に比べて配当利回りが低めなのもありますが、配当税率が20%なのも地味に効いています。優良企業だからホールド維持のつもりですが、将来的にはアボットラボラトリーズ(ABT)と入れ替えというのもありかな。今はABTの株価が高過ぎて実施する気にはなれないけど。