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為替影響を直感的に考えるコツ。円高・円安という表現を使わない。

      2019/05/26

うちの会社は世界中で取引を行っているので、毎決算、いや毎月、為替影響の分析が欠かせません。ここ2年くらいはドル円の為替相場はそれほど大きく動いていませんが、ブラジルレアルやアルゼンチンペソといった新興国通貨の動きは激しいです。こういったマイナー通貨の影響も無視できません。

決算分析で為替の議論をしている時、チームメンバー(後輩)の表情を見ていると「ああ、あまり話に付いて来れてないな~」と感じる時があります。そういう時はホワイトボードに図で書いたり、なるべくゆっくり話したりして努力しますが、時間は限られているのであんまりのんびり分析し過ぎるわけにもいかず悩みます。

中学生の時に社会の授業で為替レートを始めて学んだ時、困惑しませんでしたか。「円”安”なのに業績にプラスってどういうこと!?直感に反するな。」って思いませんでしたか? 円安は良いことなんだ~、ふーん、なんかよくわからんけど覚えておこう~というノリでした、当時は。

なぜ円安は良いことなのか。それは実際に計算すればわかること。米国子会社で50ドルの売上高が計上されたとします。1ドル100円なら円貨は5,000円。それが1ドル120円に円安に振れれば円貨は6,000円になります。円がドルに対して安くなるんだから円換算額は大きくなる。ああなるほど、確かに円安は日本企業(輸出型企業)にとって得なんだな、って理解できます。

その考え方を否定するつもりはありません。ただ、こうやって都度換算するのはちょっと非効率な面もあります。考える通貨がドル円だけ、それもドルの売上高しか考えなくていいならシンプルです。換算どうこうというか、単純に円安なら得、円高なら損って覚えておけばいいだけです。

でも、ドル、ユーロ、ポンド、人民元、ブラジルレアル、トルコリラ、韓国ウォンなど色んな通貨を複数に見なくてはならず、しかも各子会社が米国以外にもあってドル以外の通貨で財務諸表を作っている時は、為替の分析は少し複雑になります。ドル円だけでなく、ドルユーロを見なきゃいけない時もあります。

そういう状況になるとみんな混乱しがち。為替の動きが損益にプラスなのかマイナスなのか、考えるのに時間がかかる人が多いです。

それは、多分、中学生の時の発想の延長で考えているからだと思います。つまり、紙やエクセルで円への換算シミュレーションして考えないとわからないのです。

為替はもっと単純に直感的に考えた方がいいです。

どうすれば、直感的に考えることができるのか?

これは私の意見ですが、為替は換算通貨ではなく取引通貨が高いか安いかで考えた方がいいです。換算通貨を主語にするのではなく、取引通貨を主語にする癖をつけた方がいいと思います。

たとえば、あなたがトヨタ自動車の経理部だとしたら、換算通貨(つまり財務諸表を作成する通貨)は円です、もちろん。一方で取引通貨は色々あるでしょう。ドル、ユーロ、人民元、ポンド・・・。

この時に、円高とか円安という表現を使わない方がいいです。

ただ円高って言われても、どの通貨に対して円高なのかわかりません。円安って言われても、どの通貨に対して円安なのかがわかりません。

実際の会話でもあります。「今期は前期より円高だから、売上高は為替の影響を受けて減るでしょ。」とか上司に言われると、僕はちょっとだけイラッとします(笑)。「どの通貨の話をしとるんや!」って思います。後輩には優しく教えますが、キャリアが長い先輩にこういう発言されるとちょっと嫌気が差します。

ドルに対して円高でも、ユーロに対して円安に動くときはしょっちゅうあります。この場合、為替は売上高にマイナスの影響があるとは一概には言えません。USD建て売上高とEUR建て売上高のバランス次第です。

円を主語にするからいけないんです。為替レートは常に相対的な話です。相手のある話です。為替は単独通貨では存在し得ない概念です。

日本企業にとって、為替分析をする時の一方の通貨は円に決まってます。そこは固定。「円 vs ??」なわけで、円が登場するのは自明です。なのに、敢えて円を主語にする意味はないです。円を主語にすると相手通貨が見えなくなります。ドルなのかユーロなのかがわかりません。

だから、相手通貨(取引通貨)を主語にした方がいいです。円高・円安という表現は控えるようにしています。円高(??安)の??がわからないじゃないですか。何の通貨に対して円高なのかが、パッとわからない。

そうじゃなくて、ドル安と言えばいいんです。ドル安=ドル安円高です。そこは確認せずとも、ドルの相手通貨は円だとわかります。円建ての財務諸表を分析しているんだから。でも円高=円高ドル安とは限りません。円高=円高ユーロ安かもしれません。単に円高と言われても、相手通貨が明確でないと話が進みません。

ドル高・ドル安、ユーロ高・ユーロ安、ブラジルレアル高・ブラジルレアル安といった感じで、常に取引通貨を主語にして議論した方が格段に思考が早まります。しかも、そうすることで為替の影響を直感的に理解できるというメリットまであります。

ドル高ってことはそのままですが、ドルの価値が上がるということです。ということは、ドル建ての売上が増えるのは業績にプラスですよ。これって感覚的にわかりますよね。

ドルの価値が上がった

価値が上がったドル建ての売上が増えた

業績にプラス

いちいち、円に換算して確かめるまでもないです。直感的にわかります。強くなった通貨での収入が増えれば、そりゃ利益にはプラスです。

逆に、ドル高になるとドル建ての費用は利益にマイナスです。これも感覚でわかるはずです。強くなったドルで原材料を仕入れたり、現地社員の給料を払ったりすれば、そりゃ業績にネガティブです。

ドルの価値が上がった

価値が上がったドル建ての支出が増えた

業績にマイナス

収入を得る通貨は強くなる(ドル高、ユーロ高、ポンド高など)方がいいです。逆に支出する通貨は安くなった(ドル安、ユーロ安、ポンド安)方がいいです。こうやって取引通貨を主語にすれば、直感で為替を理解しやすくなります。

「ああブラジルレアル安が進んでいるから、ブラジル子会社の売上高は昨年より悪く出るだろうな。でも販管費は下がるな。」ってパッと理解できます。円高(レアル安)だから・・・と円を主語にするより、こっちの方が遥かに簡単です。

換算通貨(財務諸表を作成する通貨)ではなく、取引通貨で考えるのがポイントです。

これは日本企業ではなく米国企業を分析する時も同じです。米国企業にとって換算通貨(財務諸表を作成する通貨)はドルです。この時はドル高ドル安と発想せずに、取引通貨がドルに対して高いのか安いのかを考えた方がいいです。米国で製造して欧州子会社に輸出して販売しているなら、ユーロ高になった方が得です。ユーロ建てで収入を得ているわけだから、ユーロが強くなると得というのは直感的にわかりますよね。

こうやって、ドル・ユーロみたいに普段あまり馴染みのない為替レートになると、急に複雑に考える人がいます。人によっては、それを円に換算して損得を計算する人までいます。まあどう考えるかは人それぞれですけど、もっと単純かつ直感的に考えればいいんです。収入の通貨が強くなれば得だし、支出の通貨が強くなれば損です。

円安・円高という表現の方が聞き慣れているのはわかります。でも、取引通貨を主語にして考える方が効率的かつ直感的です。円安と言わずにドル高、ユーロ高、人民元高、ウォン高と言ってみてください。慣れると為替の分析がそつなくこなせるようになりますよ。

あなたが経理部でなければ、仕事で為替分析なんてする機会ないと思いますが、投資家として、為替変動が投資先の米国企業の業績に与える影響を気にすることはあるかもしれません。さっきも言いましたが、米国企業にとっての為替影響を把握する時はドル(換算通貨)を主語にしないことです。ドル安はアップルの利益に・・・と考えずに、円安(ドル高)、ユーロ安(ドル高)はアップルの利益に・・と発想した方が直感的です。

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