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【JT銘柄分析】日本たばこ産業の財務分析は楽しかった!!

   

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回は日本たばこ産業(JT)[JAPAY](←ADRのティッカーシンボル)をご紹介します。

今回は日本企業を取り上げてみました。


    JT財務情報

基本情報

会社名 日本たばこ産業株式会社
ティッカー JAPAY
創業 1985年
上場 1994年
決算 12月
本社所在地 東京都港区
従業員数 44,667
セクター 生活必需品
S&P格付 AA-
監査法人 Delloite
TOPIX Core 30
日経225
JPX日経400

 

地域別売上高

日本:約4割
海外:約6割

 

事業構成

 

業績

 

 

キャッシュフロー

 

株主還元

この記事を読むともっとこのグラフを理解できます!

 

バリュエーション指標等(2018/1/24時点)

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感想

日本たばこ産業(JT)は、日本専売公社を前身とする企業です。「三公社五現業」の三公社の一つが日本専売公社です。それぞれ、のちに民営化されていきました。
・日本専売公社→日本たばこ産業
・日本電信電話公社→NTTグループ
・日本国有鉄道→JRグループ

ちなみに五現業は日本郵政などですが詳細は割愛いたします。

日本専売公社は1946年に設立されましたが、1970年頃から喫煙需要の減少、外国製品のシェア拡大などビジネス上の脅威が目立ってきました。そこで、より合理的に経営できる株式会社に改組しようという流れができました。1985年に日本たばこ産業株式会社法が成立し、同年日本たばこ産業株式会社(JT)が誕生しました

なお、JTは今もなお完全民営化は実現していません。発行済み株式の33.35%は財務大臣が所持しています。完全民営化を望む声もありますが、既得権益も多く難しいのかもしれません。

さて、JTはM&Aで成長してきた会社でもあります。JTはM&A巧者として有名です。何でもスイスにM&Aを専門とする部隊まで抱えているそうです。企業を買収することでたばこ以外の事業にも参入してきました。と言っても、売上高の9割はたばこ販売によるものですが。

1998年に鳥居薬品(株)の発行済み株式の過半を取得しました。実はJTの医薬品事業は「お荷物」でした。営業利益ベースでこれまでの30年間の大半が赤字でした。しかし、2016年度は営業黒字を確保できていました。今後、医薬品事業の伸長がJTの業績を支えるかもしれません。ただ、医薬品事業が占める割合は全体の3%に過ぎません。

1999年に米RJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を取得しました。「Winston」「CAMEL」という2大ブランドを獲得しました。この買収をきっかけにグローバル展開の基盤が出来上がりました。海外たばこ事業を担当するJTIを設立しています。

2007年に英国ギャラハー社の全株を取得しました。「BENSON&HEDGES」「SILK CUT」などのブランドを獲得しました。

2008年に加ト吉(株)と富士食品工業(株)の発行済み株式の過半を取得し、食品事業に参入しました。なお、加ト吉は2010年にテーブルマーク(株)と社名変更しました。あなたもテーブルマークの冷凍食品を食べたことがあるのでは?

2016年には、米レイノルズ・アメリカンが保有するたばこブランド「ナチュラル・アメリカン・スピリッツ」の米国外事業を約6000億円で買収しました。

JTの過去10年分の財務データを確認しました。

が、いきなり頭を悩ますことに・・。

「FY11から売上高が急落しているのはなんでや??」「大きな事業のスピンオフでもあったっけ??」と20分ほどPCの前で考え込んでしまいました。そして閃きました!「そうだ、JTは2012年決算から会計基準をIFRS(国際会計基準)に変更したんだった!!」

FY11から売上高が急減しているように見えるのは、別にビジネスの実態が変わっているわけでなく会計基準を日本会計基準からIFRS(国際会計基準)に変更したためです。

国内たばこ事業でJTが商社的な役割を担っている取引(要するに卸売り的な)について、IFRSでは収益と原価を総額表示することがダメで、純額での表示しなさいという決まりになっています。したがって、売上高が急落しています。でもその分売上原価が減少して粗利率は上昇するので利益に影響はありません。

こういうのを「代理人取引」と言います。「代理人取引」はIFRSでは純額での売上計上しか認めておらず、売上高が小さく見えます。ただし、あくまでPLの表示上の変更に過ぎないので実際の利益やキャッシュには影響しません。

あと、IFRSの話をちょっと続けたいのですが、IFRSになると「のれん」が非償却になります。この点が日本基準とのもっとも大きな差異です。JTはM&Aを繰り返していることから分かる通り、バランスシートに多額の「のれん」を抱えています。2016年12月末時点では1.6兆円の「のれん」がありました。実に総資産の3割が「のれん」です。

この「のれん」が2012年度決算からは償却されていません(=費用化されていない)。その分純利益は押し上げられます。実際にFY10の純利益率は2%でしたが、翌年FY11からは12%にまで上昇しています。実態は何も変わっていないのに、純利益率がメチャクチャ改善しています。投資家は、この辺の会計マジックに引っかからないようにする必要がありますね。

IFRSの話終わり。

キャッシュフローは美しいですね。FY08を除けば、営業CF、フリーCFともに潤沢です。営業CFマージンも20%近くあり高収益です。日本企業で、営業CFマージン20%に達する企業はそう多くないと思います。

配当も毎年増配できています。自社株買いは最近だとFY13に2500億円、FY15に1000億円実施しています。総還元性向は50%にとどまります。海外競合のフィリップモリスやアルトリアの総還元性向は100%近いです。この辺が保守的に経営する日本企業の特徴が垣間見えるところかもしれません。まあM&Aが多いから、そんなにガンガン自社株買いもできないのかもしれません。

 

今回、初めて日本企業の財務分析を記事にしてみました。日本語でググれる情報量も多かったし、IFRSの件もあって非常に楽しかったです!また別の会社も機会見て取り上げようと思います。

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