日銀は年間6兆円ものETFを買って、日本株式市場に資金を注入しています。最近の日経新聞の報道によると、日銀の日本株保有残高は17兆円に上ります。

東証一部の時価総額合計が大体580兆円くらいなので、日銀保有分だけで3%も占める計算になります。

日銀が発行済み株式数の5%以上を保有する会社は、83社にもなるそうです。特に日銀保有割合が多いのが、ファーストリテイリングで、15%以上も保有しています。

 

 

日銀のETF買い=ヘリマネ(持論)

日銀のETF買いについては、賛否両論色々言われます。メリットとしては、株式市場を活性化してリスクプレミアムを引き下げるとか。デメリットとしては、市場の株価形成機能を歪めるとか。

どちらも、まあそうかなと思える意見です。(てか、リスクプレミアム下がったら新規に投資する人は儲からなくなるから、嫌だと思いますが・・。)

日銀のETF買いについて色んな説明がなされていますが、日銀のETF買いの目的とは国内の資金量を増やして円の価値を減価させることだと、私は解釈しています。

やっぱりある程度のインフレって、円滑な経済運営に不可欠なんですね。インフレって通貨の価値が下落するということです。お金を持ち続ければ物価が上昇して損するよ!っていうマインドが国民に浸透することで、積極的にお金が経済に流通するようになります。無駄に貯めておこうというインセンティブが減退します。

物質的に満ち足りた日本で、貯金が美徳と思われている日本で、国民に積極的にお金を使わせるってすごく難しいことです。だからデフレのままなんだろうけど。でも、だからこそ、多少のインフレを起こす必要があると思います。

日本に限らず、米国も欧州もQE政策(金利ではなく、資金量をコントロールする政策)を実施してきました。

米国も欧州もそれなりにインフレ率が上がっているのに、日本では一向に物価が上昇する気配はありません。それはなぜなんだろうか?

それは、やっぱり日銀が紙幣を刷っても、それが銀行でストップして市中経済へ回らないからですね。日銀が紙幣を刷っても、実質的に資金量が増えなくて円の通貨価値が減価しない。

インフレを起こすにはとにかくマネーの量を増やせばいいわけです。話としては単純。値段って何でも需要と供給のバランスですから。悪天候で野菜の収穫量が減れば、スーパーでの野菜の値段は上がります。ジャガイモ不足になってポテチの販売数量が減少すると、ネットオークションでとんでもない高価格でポテチが販売されることもありました。

円という通貨も一緒です。円という通貨の供給量が増えて需要が変わらなければ、円の値段は下がります(=インフレ=円安)。

ただどのようにして、通貨の流通量を増やすのかという実務的な問題がどうしても付きまといます。

極論言えば、紙幣を空からばら撒けばいいです。俗に言うヘリコプターマネー(ヘリマネ)。ヘリコプターから紙幣を国民にばら撒けば、通貨量は当然増えます。

アメリカはリーマンショック後のQE政策で、ヘリマネと言っても言い過ぎではないような大胆な金融緩和政策で、難局を乗り切りました。まあ膨大な国民負担って乗り切っただけですが。

アメリカって日本みたいに倹約の精神、清貧の心が薄くて(清貧が良いとは思ってない)、消費に積極的です。だから、リーマンショック後でも、中銀FRBがリスクを取る姿勢を見せると、国民に安堵の気持ちが徐々に広がって経済がまた順調に回り出す。経済にマネーという血液が循環し始める。そして、今、アメリカ経済は平時運航に移行しつつあります。

でもね、日本って倹約や貯蓄は素晴らしいという思想が根付いています。私も、何度母親から「社会人になったら、しっかり貯金しなさいよ!」と言われたことか。私はそっくりそのまま同じ言葉を両親に返したかったですが、そこはグッと我慢しましたよ。「貯金がほとんどない、あんたらに言われれる筋合いはない!」って思いましたが、まあだからこその親心なんだろうと思っていました。

日本では日銀が紙幣を刷って国債を買っても、その資金がなかなか民間経済に出回ってないような気がするんです。で、相変わらずのデフレ経済。インフレなんてほっとんど起こってないですよね。それは、日本国民である私たちが一番よくわかっているはず。

米国ではFRBが民間銀行の資金量を増やすとそれがきちんと民間経済に還元されるけど、日本では日銀が民間銀行の資金量を増やしても、それが銀行で滞留して民間経済に還元されない。

だからこその、日銀のETF買いなんでしょ!
って私は思ってます。

私見ですが、日銀のETF買いとはヘリコプター・マネーです、ヘリマネ。株価を支えるってのは、大義名分であって、日銀のETF買いの本質とはインフレ誘導のためのヘリマネだと、私は勝手に解釈しています。

だって、銀行の資金量を増やしても意味ないんだもん。もう直接、資金を民間経済にぶっこんでやる!てのが日銀のETF買いの真意だろうと、私はそう理解しています。

ETFを買えば、間違いなくその資金は実態経済を回ります。日銀がETFを買うってことは、必ずカウンターパーティとしての売り手が存在するわけですから。その売り手はETFの売却資金で、お酒飲んだり、洋服買ったり、旅行したりして消費するはずです。再投資に回す人もいるでしょうけど。

インフレを起こし経済を活性化させたいなら、とにかく手段を問わずにお金をばら撒けばいいんです。とは言え、本当にヘリコプターから紙幣をばら撒くなんて、非常識なことやったら政権崩壊です。てか、国際社会から永久に馬鹿にされ続けるでしょう。

ヘリコプターからマネーをばら撒くのがダメな一番の理由は、公平性に欠けるからですね(もちろん倫理的にもアウトでしょうけど)。経済に流れるマネーの量を増やすって、具体的に誰の手にマネーを渡すのっていうと問題があります。

国民全員に、10万円分の紙幣を郵送するのか?
年収300万円未満の人にだけ、紙幣を30万円分郵送するのか?
いっそのこと、宝くじでもするか!!?

とか、いずれにしても日本の政治家で意見をまとめることは不可能です。

だから、ETF買いなんです。

日本の株式市場を下支えする、という名目で円の資金量を増やすことが日銀のETF買いの真意だと思っています。なんか、文句言えないじゃないですか。ETF買って日本経済を支えますって言われたら、国民もよくわからんけどなんか良さそう、株価上がって景気良くなりそう~って思うじゃないですか。

日銀のETF買いって、政治的に可能でかつ国民の理解を得やすいヘリマネです。国民全員に紙幣を配った方が、国民は嬉しいでしょうけど、まあ政治的に無理でしょう。それに絡む犯罪も多く発生すると思います。略奪みたいな。

ETF買いにも公平さに問題があるとは思っています。

先ほど、日本円の資金量を増やすのはいいけど、単純なヘリマネだと公正さに欠けると言いました。でも、どんな方法でも公正さに欠けるでしょう。そもそも公平なマネーの配り方って何??
全国民に一定額を配ればいいの?
所得多寡に応じてお金を配分するの?
それとも、資産額の多寡に応じて?

もうね、こういうのは価値観の問題ですから、絶対の答えはないです。哲学的課題になってきます。誰もが完全に納得する、平等なマネーの配付方法なんて存在しない。

日銀のETF買いという名のヘリマネは、どんなお金の配り方でしょうか?

日銀のETF買いとは、資本家のみに紙幣を配るヘリマネです。

私はこう解釈しています。そりゃ、年間6兆円もETF買えば日本の株価は上がりますよ。株価なんて所詮、需要と供給が一致した点で決まるだけですから。こんなでっかい買い手がいれば株価は上がるに決まっています。そうして、日本株インデックスを保有している人などの資本家は儲かります。

でも、無から有は生まれません。ただ輪転機を回しただけで、世の中が豊かになるなんてそんな魔法はありませんよ。

日銀のETF買いで株価が上がって豊かになった資本家の富は、どこから生まれているのか。それはすべての日本国民です。すべての日本国民からうす~く”間接的に”富を奪って、資本家にマネーを配っているのがETF買いでしょう。マネーの絶対量はこれで増えますから、日銀の目的は達成されます。

国民から”間接的”に富を奪うって、インフレでこっそり富を奪うという意味です。ETF買って、資金の流通量を増やすのだから普通はインフレになります。資本家だってインフレで物価が上がれば生活は苦しくなりますが、それを補うだけの株式時価上昇があるので問題なし。株を持っていない、一般庶民は損するだけです。

ただ、日銀は資本を持っていない一般庶民をいじめるために、ETF買いをしているわけではありません。

日銀政府の目的は、あくまでも円の流通量増加による円の価値の下落です。別に、資本家を優遇することが目的ではありません。それは結果論です。ETF買いをして、証券市場を通じて、直接民間経済に資金を注入する方法が良さそうだ、というだけだと思います。

それに伴って、日本株を保有している人が結果得をするのはしゃあない。どうせ公平なマネーの配り方なんてないんだからさ、どこかに歪みやねじれを生みながらマネーの量を増やすしかないわけです。

それに、株を持っていない普通の国民が、日銀のETF買いのせいで、自分たちが実は損をしているなんて思わないでしょうし。そこは政治的にもメリットです。

でね。
ここで不思議な思いがふつふつと湧き上がってきます。

それは、いやいや実際には日本でインフレなんて起こってないじゃん!ってことです。

ですよね。

インフレを通じて、国民を不遇にして資本家を優遇に結果としてなっちゃうけど、それでもマネーの流通量を増やす政策がETF買いです。

の、、はずです。
ですが、、、実際は日本でインフレなんて起こっていない。

これは、どう解釈すべきなんでしょうか??
私もようわからんです。

タイムラグか。いずれ、遅かれ早かれ日本もインフレからは逃れられないという考えがあるでしょう。私は、そう思っています。ハイパーインフレが起こるとは思っていませんが、今のインフレ率0%がずっと続くとは思っていません。

いずれ日本でもインフレが起こる、、はずと個人的には思っています。

 

 

謎!

謎なんです、個人的に。

日銀が、民間銀行から国債を買い取って、民間銀行の日銀当座預金残高を増やすだけではインフレが起きないのは、なんか腑に落ちて理解できます。「あ~、どうせその増えた資金は、融資にも何にも使われてないんだろうな」、「ただブタ積みされるだけだろうな」って素人感覚にもわかります。

でも、ETF買いは違いますよね。

日銀のETF買いは、間違いなく市中にお金をばら撒く政策です。

「日銀年6兆円のETF買い」というニュースを日経新聞とかで見るたびに、私の頭の中には、6億枚の1万円札がバラバラと空から振ってくる場面が浮かび上がってきます。

しかも、そのお札は、資本家のみに降り注ぐ。まあ、いいんです、別に資本家のみに偏って降り注いでも。そのお金を使って、経済の血液がきちんと循環されるようになれば、資本家以外のすべての国民にも利益はきっとあるはずです。

そうやって、経済を循環する資金量が増えれば、普通はインフレですよ。

でも、日本ではまったくインフレ起こってないですね。不思議です。

私ね、日銀のETF買いには結構賛成なんですよ。日本株持っていないけどね。それは、ある程度マイルドなインフレってのは、国民が幸せに生活を送る上で必要なことだと思っているからです。

インフレで庶民の買い物のコストが上がるから嫌だ!ってのは表面的な話に過ぎません。意図的にお金を腐らせて、国民の金離れを促進することは必要だと思います。

お金って滞留するといけないんです。人間の血液も、流れが遅くなって血栓ができると、脳梗塞とか心筋梗塞などの重病の原因になります。お金も同じで、一定以上のスピードで経済を流れている必要があります。

お金の発明は革命的です。お金が生まれることで富を保存することができるようになりました。

が、富の過剰な保存は経済全体から見ると悪です。投資にも消費にも回らない富が増えると、どうしても経済が冷え込みます。それは、最終的に景気悪化による自殺者数の増加などで国民を苦しめます。

誤った金融政策はもはや殺人だとか、なんかそんな話も聞いた覚えありますが、確かにそう思います。

ETF買いって、資本家優遇な点が公平さに欠けてダメなところですが、それでも今のインフレ率0%が続くくらいなら、多少の不平等は許容できます、私は。

でも、全然インフレ起きないね~。
なんでやろ。
もう私ではわかりません。