2017年の米株式相場を引っ張っているのがアップルやグーグル、Facebook、アマゾンなどのハイテク銘柄です。

通称FANG。
F=フェイスブック
A=アマゾン・ドット・コム
N=ネットフリックス
G=グーグル

これにアップル(A)を加えてFAANGとか最近言うらしいですよ。年初来のS&P500指数上昇の約4割はこのFAANG銘柄によるものです。S&P500に投資している方は今年結構儲かっていると思いますが、このFANNGのおかげですよ。

先日このFAANGを始めとしたハイテク銘柄が総崩れしました。各銘柄9日と翌営業日の12日合わせて5%近く下落しました。

このハイテク株下落を受けて遂にIT株バブル崩壊かという声も聞かれました。バンクオブアメリカ・メリルリンチの調査によると、IT株が「割高に見える」「IT株はバブルの様相を呈している」と回答した投資家の割合は合わせて75%に上りました。多くの投資家がIT株は割高だと思っているようです。

IT株はバブルなんでしょうか?
今後暴落が起こるのでしょうか?

私はそうは思っていません。少なくとも、2000年前後のITバブル崩壊のような事態には絶対にならないと思います。別にハイテク株への投資を強く勧めたいわけではありませんが、今アップルやグーグル、マイクロソフト株を持っている人は別に売る必要ないし、ゆっくりホールドすればいいのではと思っています。

私は1987年生まれの30歳で2000年当時中学1年生です。勉強もせずに毎日友達と外で遊んでいた頃です。当時のITバブル崩壊を投資家として体験していません。大人になって書籍を読んだりして後から知ることになるわけですが、当時のITバブルは「ドットコムバブル」とも呼ばれていたんですよね?

何でも社名に「ドットコム」が付いていれば、それだけで株式に資金が集まったそうで。その企業の実態が全く利益を生んでいないただの箱にも関わらず、熱狂した投資家の資金がわんさか集まってきたそうです。そんなこんなで、ナスダック指数は当時5000を超えました。あれから17年経った今ようやくナスダック指数は6200程度です。名目指数ではすでに当時の最高値を超えていますが、インフレ調整後で考えればまだナスダック指数はITバブル当時の高値を更新できていません。

実態がないにも関わらず、多額の根拠なきマネーが押し寄せたのが2000年前後のITバブルだったと理解しています。どうなんですかね?そういう渦中にいたらついつい投資してしまうものなのかな。投資家としてバブルも暴落も経験していない私は、その変な投資家心理がよくわかりません。

 

 

で、現代に話戻します。ちょっと調整はありましたがIT銘柄の最近の株価の伸びは凄まじいです。でも今のIT株高騰が2000年当時のITバブルと全く違うと思う点があります。それは確かに株価はグングン上がっているのは事実かもしれないけど、それらを牽引しているFANNGはきちんとキャッシュを稼いで儲かりまくっている帝国企業だということです。

IT株高騰を牽引しているハイテクセクターのトップ企業群にはビジネスとしての実態がしっかりあります。しっかりあるどころか、もう世界経済を牛耳るかのような勢いです。最近アマゾンが高級スーパーのホールフーズを1.5兆円で買収しましたね。

■アマゾンのキャッシュフロー

■グーグルのキャッシュフロー

■アップルのキャッシュフロー

■マイクロソフトのキャッシュフロー

どの企業も稼ぎすぎ!!

今の主要IT銘柄の株価が割高か割安か判断する能力は、私にはありません、わかりません。でも確実に言えることは、バブルと言われがちなこれらIT銘柄は世界トップクラスの収益力がある企業だということです。

もちろん、どんな優良企業であっても買値は常に大事です。買値を誤れば投資は儲かりません。ですが、実態のない幽霊企業に資金が集まっていた2000年のITバブルとは全く事情が異なるでしょう。

ちょっとPER見てみます。PERだけで判断できないですけどね。
アップルのPERは17倍、マイクロソフトは31倍、グーグルは32倍。マイクロソフトはちょっと高いように感じますが、バブルという水準には見えません。グーグルは成長力を考えればもっとPER高くてもいいかもしれないくらい。アマゾンのPERは189倍で、これはもうPERは投資の判断指標として意味をなさないと思います。

これらIT銘柄のバリュエーションの妥当性について判断はできませんが、ドットコムバブルで資金が集まっていたハコモノとは全く次元の違うビジネスを持っていることだけは確かです。

感覚だけで個人的に思っていることですが、ITセクターはこれからもっともっと寡占化が進むと思います。グーグル、アマゾンは王者でしょう。これからも市場を独占してあらゆるビジネス領域に侵入してくると思います。アマゾンがホールフーズを買収したようなことが、これからも頻発すると考えています。

ハイテクセクターは成長の罠に気を付けるべきかもしれませんが、FANNGはワイドモート企業だと思います(ネットフリックスは知らんけど)。今からでも投資する価値が十二分にあると考えています。

 

 

買値に注意すべきという点で、最近のハイテク株で気を付けるべきことがあります。それはETFを通した資金流入でハイテク株が押し上げられがちということです。S&P500に占めるハイテクセクターの割合は20%以上もあります。バンガードなどのS&P500連動ETFは世界的に人気です。

また、これはなるほど~とWSJを読んでいて思ったのですが、FANNG銘柄は低ボラティリティ系のETFの上位構成銘柄にもなっているそうです。なぜなら、IT株の株価上昇が低ボラティリティの状態で起こったからです。ぐわんぐわんジェットコースターのような株価推移ではなく、ゆっくり山道を上るように安定して株価は上がってきました。

2017年初来のハイテクセクターETF(XLK)の株価推移。

まあ平たく言うと、最近のIT銘柄が超優等生だからあらゆるジャンルのETFの銘柄に選ばれているということです。なので、360度あらゆる方角からIT株にマネーが投入されています。株価とは所詮は需要と供給ですから、資金が流れるホースがたくさんあればどうしても株価は過熱しがちです。

それとファンドマネージャーが他のファンドのリターンに負けないために、好調なハイテク株をどうしてもポートフォリオに含めなくてはならないという事情もあるみたいです。

今のハイテク銘柄の株価高騰は、2000年前後のITバブルとは全く違うものです。株価が上昇しているのは、どの企業も莫大な営業CFを稼いでいる高収益企業です。強固なビジネスの実態がある企業です。根拠ある熱狂だと思います。

ですが、どんな時もどんな銘柄も買値は常に重要です。IT株には資金が集まりやすい状態にあるという事情を踏まえたうえで、IT株への投資を続けるといいかなと思います。資金を現金に撤退させる必要はないと思います。どうせ短期的な株価推移なんて読めませんから。