※2020年12月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はInternational Business Machine(IBM)をご紹介します。

基本情報

会社名IBM
ティッカーIBM
創業1910年
上場1915年
決算12月
本社所在地ニューヨーク州
従業員数345,900
セクター情報技術
S&P格付A
監査法人PwC
ダウ30
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

セグメント利益推移

割愛

セグメント利益率推移

割愛

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

21年

過去10年の配当成長

年率+10.0%

この10年で配当は2.6倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2011~2020):+1.7%
過去20年(2001~2020):+4.3%
過去30年(1991~2020):+7.4%

バリュエーション指標(2021/2/27時点)

予想PER:9.9倍 最新情報はこちら

配当利回り:5.3% 最新情報はこちら

コメント

IBMは1911年にニューヨークで創業したIT企業です。設立当初はタイムレコーダーなどを開発していた小さな会社でしたが、今では従業員35万人を抱える巨大ITサービス企業です。

1964年にIBMの社運をかけた一大事業だったメインフレームSystem 360の開発に成功し、コンピューター界で盤石の地位を築きました。メインフレームやパーソナルコンピューターでIT時代の幕開けを牽引した同社ですが、1980年代辺りから他社の追随を許すようになります。

特にマイクロソフトのOS搭載のPCが出始めたことで、メインフレーム事業の利益率は急速に低下し、1990年代前半には3期連続の最終赤字に陥りました。

90年代になってRJRナビスコ会長からIBMのCEOに就任したルイス・ガースナー氏が大ナタを振って事業を再編し、IBMを復活させました。ガースナー氏は当時のIBMの従業員はとても優秀かつ真面目で勤勉だったが、とにかく組織が官僚的で硬直していたと後に語っています。

ガースナー氏はそんなIBMの組織・文化を変え、また経営資源を適切に配分することで見事IBMの業績を改善させました。具体的には、メインフレームの価格を思い切って引き下げて在庫を捌くとともに、主力事業をITコンサルティングに据えました。

製造業からサービス業への大転換。組織の文化を変えるのは一筋縄ではいきません。ガースナー氏がいなければ今のIBMはなかったでしょう。歴史に残る名経営者です。

そのIBMは今再び苦境に直面しています。上述したコンサルティングを通したハードウェアの販売収入の落ち込みが大きく減収決算が続いています。

2019年にクラウド用ソフトウェア大手のレッドハットを330億ドルで買収。IBM史上最高額のM&Aです。クラウド事業において競合のアマゾン、マイクロソフトから完全に出遅れたIBM。レッドハットの買収で起死回生となるか。投資家は高いリスクを負っています。

2020年、8年間CEOを務めたロメッティ氏が退任し、クラウド事業を率いるクシュナー氏が新CEOに就任すると発表。クシュナー氏はレッドハット買収を主導した人物です。また、レッドハットCEOのホワイトハースト氏がIBM社長に就任します。

財務データを確認しましょう。

売上高はFY11をピークに減少の一途。

FY20の売上高は736億ドルで前年比▲5%。RedHatの好業績によりクラウド、コグニティブ部門は2%成長でしたが、コンサル等の他部門がすべて減収。

FY20の純利益は56億ドルで前年比▲41%の減益。従業員の早期退職関連費用が嵩みました。粗利率は若干改善。

FY19に総資産が23%増加しているのはレッドハット買収の影響です。のれん、無形資産が増加。有利子負債も増加しており、財務は悪化しています。

連続増配年数21年。バフェット(バークシャー)が株主だった2012年前後は100億ドル以上の自社株買いを実施していましたが、戦略的事業への投資を進めている最近は控え目です。FY20の買い戻し額も僅か3億ドル。