【HSY銘柄分析】ハーシーはキスチョコで有名な米国最大のチョコレート会社
※2017年12月期決算データ反映、BSデータ追加、コメント刷新
S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarです。
今回はチョコレートのハーシー(HSY)をご紹介します。
ハーシー財務情報
基本情報
会社名 | ハーシー |
ティッカー | HSY |
創業 | 1894年 |
上場 | 1927年 |
決算 | 12月 |
本社所在地 | ペンシルベニア州 |
従業員数 | 16,135 |
セクター | 生活必需品 |
S&P格付 | A |
監査法人 | KPMG |
ダウ30 | × |
S&P100 | × |
S&P500 | ○ |
ナスダック100 | × |
ラッセル1000 | ○ |
地域別売上高
米国内:84%
米国外:16%
事業構成
チョコレートの製造販売。ガムやキャンディーもやってます。
業績
キャッシュフロー
バランスシート
資産
負債純資産
株主還元
連続増配年数
8年
バリュエーション指標等(2018/7/11時点)
予想PER:17.6倍 最新情報はこちら
配当利回り:2.8% 最新情報はこちら
感想
ハーシーは、ミルトン・S・ハーシーが1894年に設立した米国最古のチョコレート会社です。
米国内のチョコレート販売のシェアは4割超と圧倒的です。Hershey’sやKisses、Reese’sなど80以上のブランドを保有しています。円錐の形をしたキスチョコは日本でも結構知られている製品ですよね。チョコレートだけでなく、チューイングガムやミント菓子、スナック菓子の製造販売も行っています。北米(米国、カナダ)での売上高が全体の9割弱を占めていますが、グローバル化も進めていて約80カ国で販売しています。
米国では健康志向が盛んで、特に1980年代~生まれのミレニアル世代を中心に炭酸飲料やお酒の需要は減少傾向です。甘いチョコレートも例外ではなく、米国民の食習慣の変化、小売店の販売スペース縮小といった逆風を受けています。また、ハーシーのような昔からあるブランドではなく、新興企業のブランドに消費者が好んでいる風潮も最近はあります。ダイエット志向、生産者の見えるカカオ豆を使ったチョコなどが人気みたいです。米国のチョコレート市場はまだプラス成長を維持しているものの、2010年以降成長率は鈍化しています。
2016年に菓子大手のモンデリーズ・インターナショナルから買収提案を受けましたが、ハーシー経営陣は拒否しました。クラフト・ハインツからの買収提案をかわす為の買収提案だったとも言われています。一種のポイズンピルですね。
財務データを見てみましょう。
ゆっくりと売上高は成長してきましたが、ここ5年間は740億ドル前後で横ばいが続いています。米国内でのビジネスが大半ですから為替の影響はありません。単純に売上数量が伸びていないと見てよいでしょう。上述の通り、米国民の健康志向の影響でチョコレートの販売環境は良好とは言えず売上は伸び悩んでいます。しかし、大きく下落もしておらず安定感はあります。粗利率は約40%です。食品メーカーとしてはまあまあ高い水準だと思います。モンデリーズインターナショナルとほぼ同水準です。
キャッシュフローも継続してプラスですが、売上高の安定感の割にはデコボコしている印象を受けました。在庫や売掛金などの運転資本の増減が影響しているだけで、あまり気にする必要はなさそうです。営業CFマージンは15%前後あり高収益です。
バランスシートを見てみましょう。資産の中で一番大きな項目は工場、機械設備等の有形固定資産で総資産の約4割を占めます。残りの固定資産は、のれんと無形資産です。無形資産の中身は主に商標権と顧客関連資産で、概ね20年程度で償却しています。
DPS(一株当たり配当)は毎年増加しています。リーマンショックの金融危機時も減配することなく、配当を維持してきました。ここ5年間は毎年配当金額に匹敵する規模の自社株買いを実施しており、総還元性向は100%を超えています。利益成長力はやや弱いですが安定感はあり、かつ配当性向は50%未満で余裕があることから安全な配当が期待できます。
健康志向という逆風があるものの、チョコレートの需要が消えることはあり得えません。改良を重ねながらも、基本的に日々淡々とチョコレートを作っては売っているだけのハーシーですが、こんな地味な企業にこそ長期投資妙味があるのかもしれません。資本が無駄遣いされるリスクが小さいからです。