私は高配当系のETFとしてブラックロックのHDVを気に入っています。現在400万円以上の資産をHDVに投じています。構成銘柄数が80弱と少ないですが、見せかけ高配当銘柄は除外され、収益力のある大型優良企業のみを集めている点に好感を持っています。また、生活必需品セクターの割合が多くディフェンシブ性に優れている点も、長期保有に相応しいと考えています。

HDVは概ね3か月に1回のペースで銘柄を入れ替えます。

前回の変更は6月でした。
あれから早3か月が経過しました。

先日偶然ブラックロックのホームページを拝見していると、HDVの構成銘柄が大きく変わっていることに気付きました。9月の銘柄入替が実施されたようです。

先に主な追加銘柄と除外銘柄をお伝えします。
()内は構成比率

主な追加銘柄
・ウェルズファーゴ(4.6%)
・アッヴィ(2.7%)
・シュルンベルジェ(1.9%)
・デュークエナジー(1.7%)

主な除外銘柄
・ジョンソンエンドジョンソン(5.8%)
・ゼネラルエレクトリック(4.7%)
・ボーイング(2.6%)
・マクドナルド(2.1%)

これはちょっと驚きました。1年半ほどHDVウォッチャーを続けておりますが、未だかつてない大変動だと感じました。

特に驚いたのがジョンソンエンドジョンソン(JNJ)の除外です。長期投資の鉄板銘柄が遂にHDVを去りました。JNJはHDVの6%を占める主力でした。

各銘柄について簡単にコメントを付します。

追加銘柄

ウェルズファーゴ(WFC)の追加

ウェルズファーゴは先日米国銘柄分析でアップしました。

参考記事:WFC銘柄分析

WFCは言わずと知れたバフェット銘柄の代表格です。総資産1.9兆ドルを誇る巨大銀行で、全米トップの支店数です。投資銀行業務ではなく、伝統的な融資業務を中心にビジネスを行っているリテール銀行です。

昨年秋に営業慣行での不祥事が発覚し株価は一時急落しましたが、トランプ相場の波に乗って2016年末には株価は戻りました。最近はまた米国債利回りが下落する中で、WFCの株価も売られ気味でした。

WFCの配当利回りは3%を超えていて高配当ですが、今が特段高配当でもありません。2016年もこれくらいの利回りはありました。したがって、配当利回りが高まったことがWFC選出理由ではないと思われます。

推測ですが、ウェルズファーゴなど主要銀行がFRBのストレステストにパスして自己資本の安全性が保証されたことが、選出に繋がったのだと思います。HDVは配当利回りだけでなく、財務的な安全性も加味して銘柄を抽出しています。

まあ理由はともあれ、バフェット銘柄の金融銘柄がHDVに来てくれることは大歓迎です。金融銘柄は比較的ボラティリティが高いですが、是非長期的に保有してくれることを期待します。

実はWFCは過去にHDV銘柄に選ばれたけど、数か月後すぐに除外されたことがありました。
ブログ始めた当初の記事でお恥ずかしいのですが、昔こんな記事を書きました。
[HDV]の構成銘柄からウェルズ・ファーゴが消えている! この贅沢もの!浮気者!

今回こそは前回の二の舞を演じないよう、粘り強く頑張って欲しいです。

 

アッヴィ(ABBV)の追加

アッヴィは2013年にアボット・ラボラトリーズから分社化されたバイオ製薬企業です。

ヒュミラという抗リウマチ薬を持っており、これが収益に大きく貢献しています。ヒュミラの売上高に頼っている面も見られ、後発医薬品の影響が心配されるところではあります。ですが、今のところそれほど心配なことはなく、収益性は抜群に高い企業です。アッヴィの営業CFマージンは30%を超えています。

アッヴィはなぜ今HDVに追加されたのだろうか・・?

う~ん、わかりません。
最近株価は堅調で配当利回りはむしろ下がっていますが。

 

シュルンベルジェ(SLB)の追加

これは私が最近個別株として投資した会社です。

SLBはエネルギーセクターに属する企業ですが、エクソンモービルやシェブロンとは異なるビジネスモデルです。SLBはエクソンモービルなどの石油掘削を支援するハイテク企業です。油田の探査、掘削、検層(埋蔵量調査)、石油井の調査・評価などを行っています。

原油安で石油メジャーが設備投資を絞っているため、シュルンベルジェの業績も冴えません。FY14をピークにFY15とFY16は減収減益です。FY16に至っては最終赤字となりました。それでもキャッシュフローはしっかりプラスで配当も維持しています。

シュルンベルジェは石油開発支援メーカーでトップシェアを誇る優良企業です。原油安でマーケットがエネルギーセクターに悲観的になっていますが、こういう時にしっかり仕込んでおくことで長期投資リターンは押し上げられると思います。

シュルンベルジェは株価下落で配当利回りが3%を超えたので、その高配当が影響して今回の選出に繋がったと思われます。

 

デューク・エナジー(DUK)の追加

デューク・エナジーは全米最大の電力会社です。ノースカロライナ州、フロリダ州、インディアナ州などに電力を供給しています。

公益企業ということで収益は安定しています。インカムゲイン狙いの投資家には人気の銘柄です。

現在の配当利回りは4.1%と高配当に見えますが、過去4.5%を超える利回りの時期もあったので今が特段高配当というわけでもありません。

デューク・エナジーは昨年2016年末にHDVから除外された銘柄で、9ヵ月ぶりの復帰となります。復帰理由はわかりません。高配当だから復帰したわけではないと思います。

 

除外銘柄

ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)の除外

JNJは米国株投資家に最も人気が高い銘柄ではないでしょうか。ヘルスケアセクター時価総額世界トップの総合ヘルスケア企業です。連続増配年数54年の配当王です。

高い収益力と安定した配当で、常に投資家に報いてきた優良企業です。

私も個別株で投資したいなと思っていた時期がありますが、「もう少し株価下がらないかな~」と欲を出していたら、見る見るうちに株価が上がっていて買い場を失っておりました。

でもHDVを通じて少しは保有しているからなって思っていましたが、今回HDVから除外となり残念です。業績面財務面でJNJが外れる理由は全く見当たりません。

単純に株価が上昇して配当利回りが下落したことが除外理由だと思います。現在の(2017年9月)JNJの配当利回りは約2.5%。確かに下がっています。

残念ですが、JNJとはここでお別れです。

いつか株価が下落することがあれば、個別株として是非投資を検討したいです。

こんなこと思っているからいつまでも買えない。

 

ゼネラルエレクトリック(GE)の除外

GEはつい3ヶ月前にHDVに加わったばかりです。ソッコーでクビになっちゃいました。

これは残念です。イメルト氏がCEOを退任しフラナリー新CEOで新生GEとなったばかりで今後に期待していましたが、HDVからは除外となりました。

2017年第1四半期決算と第2四半期決算はそれほど悪いものではなかったですが、GEの株価は最近ズルズルと下がっていました。勉強不足で詳しくはわかりませんが、マーケットはGEの将来にリスクを感じているのでしょう。

せっかくならもう少し粘り強く保有して欲しいものですが、仕方ありません。株価が安値を更新している中でのGE除外となりました。

 

ボーイング(BA)の除外

ボーイングと言えば、ここ最近のNYダウ上昇を牽引した功労者です。配当利回りは2.2%ほどまで下がっています。2017年初は3%以上の利回りがありました。

業績は好調ですが、株価上昇による利回り低下によって除外されたものと思われます。

 

マクドナルド(MCD)の除外

マクドナルドもボーイングに次いで、2017年のNYダウ指数上昇を引っ張ってきた銘柄です。年初3%以上あった配当利回りは現在は2.3%ほどです。

ボーイングと同じく、業績に懸念はないものの利回り低下のため除外されたと思われます。

 

HDVの長期保有判断は難しい・・

HDVは優良ETFだと思っているのですが、銘柄入替をかなりの頻度で行います。これが長期投資リターンにどう影響を与えるのか、事前に予測するのは難しいです。

銘柄入替に伴う税金コストや手数料コストは発生しないと判断しています。そこは安心できるのですが、頻繁な銘柄選びの巧拙が投資リターンにどれほど影響を与えるのか見極めのは難しいと感じます。

今回だとGEをたった3か月で除外しましたがこれはどうでしょうかね。GEは創業100年を超える複合企業で、石油支援企業のベーカー・ヒューズと統合予定です。今後どうなるかわかりませんが、3か月で除外と判断するのは長期投資としては早計かもしれません。まあGEの決算内容は良くはなかったので、除外で妥当なのかもしれませんが。

JNJやBA、MCDといった米国株投資家に人気のある優良企業を軒並み除外してきました。この3社は、どれも高いキャッシュフロー創出力を持つワイドモート企業です。確かにボーイングを始め、2017年に株価は大きく上昇して配当利回りは下がっています。しかし、、これほどの優良企業を除外することが正しい判断なのかはわかりません。

配当利回りが下がった銘柄を除外して他の高配当銘柄に投資しているという意味で、ダウの犬投資戦略をHDVが勝手にやってくれていると見えなくもないです(ダウ銘柄じゃないのもありますが)。

うむ、、HDVの投資判断は難しいと感じます。

高配当ETFへの投資を考えている方は多くいらっしゃると思いますが、全額をHDVに投じるのではなくバンガードVYMやVIGなどと分散して投資をするのも一案かもしれません。

ETFは便利なツールですが、ETF内の銘柄変更は投資家にとって管理不能です。

 

最新のHDV構成内容

HDVの構成銘柄です。

 

セクター別構成割合です。JNJが外れてヘルスケアの比率が下がりました。