Grow Rich Slowly シーゲル流米国株投資で億万長者になる!

米国株投資を通じて資本主義社会を豊かに楽しく生きる

*

持分法の考え方「減配を気にする必要はない。大事なのは利益だ!」

   

先日、読者さんからのコメントで、ビール世界大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、ティッカーシンボル:BUD)が減配したことを知りました。特に業績悪化の懸念もなかったので驚きました。

これも読者さんに教えて頂いたことですが、バランスシートの負債と純資産のバランスを整えることが減配の理由だそうです。SABミラーの買収資金手当てのため、負債が増えていたことを受けての措置と思われます。

理由はどうあれ、減配する銘柄への投資はなるべく避けたいです。減配したからって長期投資リターンが劣ると断定できるわけではありません。ただ単純に減配でインカムが減るのが嫌なだけです。自分の保有銘柄だとゼネラルミルズやシュルンベルジェなどはかなり利回りが上がってきており、減配のリスクを無視できないと思っています。

今回減配を発表したABインベブ株は保有していません。飲料というもっともディフェンシブ性が高い業種でも減配はあり得るんだという意味では、コカ・コーラやペプシコの株主として対岸の火事とは思えません。が、まあABインベブ株を保有してはいないので、直接自分の財布には関係ないこと。

・・・と、思っていましたが実はめっちゃ関係ありました。これも読者さんのコメントで気付かされました。なんかこの件はすべてコメントで情報を頂いている気がします。ありがとうございます。

MOは10%くらいBUDの株式を持っているはずなので来期以降の配当収入が減り、業績悪化が心配です。

読者さんコメントより

はっ!!

ABインベブの減配は自分にも影響があった!って気付きました。私はアルトリアグループ(MO)の株を200万円近く保有しています。アルトリアはABインベブの大株主です。つまり、ABインベブが減配すれば、アルトリアの配当収入も減ることになります。

ですが、ここで一つ抑えておきたことがあります。

アルトリアのABインベブからの配当収入が減るのは間違ない事実ではありますが、アルトリアの業績自体は悪化しないということです。これは、アルトリアがABインベブ株に対して持分法という会計処理を適用しているためです。

直近2018年9月のアルトリアの10-Qレポートにはこのような記載があります。

At September 30, 2018, Altria had an approximate 10.1% ownership of Anheuser-Busch InBev SA/NV (“AB InBev”), which Altria accounts for under the equity method

↓(和訳します)

2018年9月30日時点で、アルトリアはABインベブ株の約10.1%を保有しており、それに対して持分法を採用しております。

アルトリアの10-Qレポートより

この持分法という会計処理は、子会社というほどではないけど、そこそこ大きな影響を与えるくらい株式を保有している場合に適用されます。具体的には、議決権比率20%~50%程度です。

発行済み株式の20%以上を保有していれば、それだけで会社の意思決定にかなり影響を及ぼすことができます。かといって50%超保有しているわけじゃないので、完全に支配しているわけでもありません。

アルトリアはABインベブの発行済み株式の10%しか保有していませんが、諸々の理由があって持分法を適用しているようです。詳しい背景は知りません。

この持分法という会計処理は、経理部や会計監査人だけが知っていれば十分な話です。会計を職業にしていない人にとって知る必要のない知識。しかし、個人投資家にとって、持分法の考え方は参考になるので紹介します。

持分法の考えを端的に言うと、「株主の利益は、投資先企業の利益×持分比率である」ということになります。投資先企業の株価変動でもなければ、配当でもありません。持分法が見ているのは投資先企業の利益のみです。

たとえばABインベブが1000の純利益を上げたとします。すると、アルトリアの決算には101(1000×持分比率10.1%)の利益が計上されます。これを「持分法投資利益」と呼びます。

アルトリアの決算書に反映されるABインベブ株への投資の成果は、ABインベブの利益に依存します。ABインベブの株価が上がろうが下がろうが関係ありません。ABインベブが増配しようが減配しようが無配にしようが関係ありません。

つまり、今回ABインベブは減配を発表しましたが、それによって大株主であるアルトリアの業績は悪化しません。アルトリアは引き続き、淡々とABインベブの最終利益のうち持分比率10.1%相当を「持分法投資利益」として吸い上げるのみです。

ただし、キャッシュフローには影響します。そりゃ当然です。ABインベブからの配当が減るのは事実なわけですから、アルトリアの資金繰りは苦しくなります。純利益は変わらないのに配当原資たる現金は減ることになります。つまり、ABインベブの減配はアルトリアの業績に影響を与えないものの、増配力をやや弱めてしまうことになります。

アルトリアが電子たばこ最大手のジュール・ラブズに出資をするという報道を最近見ました。ABインベブ減配に加えて、ジュール株式取得の資金需要も考えると目前は大きな増配は厳しいかもしれません。

ただ、長期投資家はそういう目前の増配率を気にする必要はありません。一時的な配当の増減は財務政策、資本政策によって変わるものです。大事なことは、30年レベルの長期で配当を最大化してくれるかどうかです。

株主の利益とは投資先企業の利益です。利益利益利益。配当でも株価でもなく、見るべきは利益。持分法はそう教えてくれます。

 - 投資理論・哲学