これは大手石油メジャーエクソンモービル(XOM)のFY12からのEPS推移です。

FY15とFY16に急落しているのは、2014年夏から原油価格が急落したためです。

シェールオイル・ガスの生産技術が飛躍的に向上した結果、原油価格のボラティリティはさらに高まっています。シェールの投資は半年ほどの短期で完結するため、市況に応じて柔軟に投資意思決定が可能だからです。よってXOMなどエネルギー関連企業の利益ボラティリティも必然的に高まることが想定されます。長期投資家は株価変動に耐える精神力が求められます。セクター分散は大切ですね。

で、このようにどれだけ誠実に経営しても年によって利益がブレる銘柄の場合、そのPERはあまり意味を持ちません。たとえば、2012年末時点のエクソンのPERは9倍で益回りは11%ありました。上記グラフの通り利益は高かかったからです。

この時「お~、優良企業エクソンモービルのPERが9倍でS&P500の半分なんて超割安じゃん!!」って、意気揚々に多額のマネーを投じていたらどうなっていたでしょうか?

言うまでもなく2012年末時点の益回り11%の年間収益率には届きません。むしろマイナスリターンかもしれません。配当込みでギリギリプラスかなっていう程度です。S&P500のリターンには到底敵いません。

2012年末時点のXOMの益回りが11%だからって、その11%という数字には何の意味もないわけです。少なくとも、それが長期的に期待できる投資リターンを示していることはありません。だって、今の利益が継続すれば11%のリターンが期待できるだけで、実際には結局XOMの利益はFY12をピークに下落しているのですから。

エネルギー関連銘柄のPER(益回り)はほんの参考程度にしましょう。PERを見ること自体は大切なことだと思いますが、利益が不安定なエネルギー企業のPERはバリュエーション指標としてはあまり使えません。