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【デットエクイティスワップ(DES)】 だから中国株への長期投資は止めておけ!

   

私はたまにブログの記事で、「短期投資は悪ではない」、「長期投資と短期投資をきちんと区別することが大切だ」と言っています。

その考えは今も変わっていません。

短期投資では、美人投票予測勝負に挑んで他者を出し抜いて利ザヤを抜くことが目的です。こういうとちょっと汚い取引に聞こえるかもしれませんが、社会人として自分で稼いだお金を使って、自分の判断で平等なルールの下で取引を行うわけですから汚くも何ともありません。

ただ、大事なことは短期投資目的で買った商品を、ごちゃごちゃ言い訳つけて長期で保有してしまわないことです。

短期投機の対象になる商品というのは大抵日々のボラティリティが高く、長期的に資本を蓄積できるような器ではなく、長期投資対象には不適切なケースが多いものです。ハイテク小型株など。

短期投資ではルールに基づいて機械的に損切りすることが大切です。賭けで負けたらジタバタするなということです。

と、ここまで偉そうに言っておいて、私は言動不一致なヘタレ野郎です。

私は短期投資対象とすべき商品を結構な期間保有し続けています。

それが中国を始めとする新興国株式です。iシェアーズエマージング株式ETF(1582)という商品を保有しています。しかも100万円以上。

2014年1月から実に約3年も保有しています。投資成果はほぼゼロです。

私は今は、中国等の新興国株式はたとえ経済が高成長だとしても長期投資対象としては相応しくないと思っています。

ですが、短期的な急反発を期待して保有し続けているのです。平均への回帰を信じればいつか反発するだとうとか意味不明な根拠で持ち続けています。

一つ言い訳させてもらうと、”1582″を買った当時2014年は新興国株式は長期投資に相応しいと信じていました。

でもね、最近こんなニュースを読んで「やっぱり中国株への長期投資はアカンな」と思いました。

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  DESは既存株主に最悪

日経新聞やWSJが報道しています。

中国国務院は「債務の株式化」を推進するとのこと。

債務の株式化とは、デットエクイティスワップ(DES)「デス」と呼びます。小難しい横文字ですが、取引自体は単純でその名のごとく金融機関などが保有する企業への貸出債権を株式に転換することです。

お金の借り手側から見れば、今まで借金だったのが資本金に変わるということです。

des

これは借り手側からすれば大変うれしい話です。借入金として返済する必要があったものが資本金に変わることで返済不要になるからです。支払利息負担がなくなる上に、資金繰りも改善します。

もちろん資本コストという観点を考えれば、借入金(デット)よりも出資金(エクイティ)の方が高いわけですが、経営が苦しい企業にとって資本コストがどうこう言ってられないわけです。目前の資金繰りが改善するというのは大きな恩恵です。

なぜ金融機関は、利息が取れる貸出金を株式と交換することを認めるのか?

それは今のままだと貸出先企業の経営が破たんして、利息を回収できなくなる恐れがあるからです。DESを行うことで出資者としてより積極的に自ら経営再建に乗り出せるわけです。

銀行からすれば株式を保有することで単に利息を回収できればいい相手から、真剣に経営再建を検討しなくてはならない相手に変わります。なぜなら、株式を保有した場合確定利息は約束されず、企業の再建がうまくいって企業価値が向上して初めて銀行は投資を回収できるからです。

中国政府の意向が大きいようですが(そもそも中国の大企業は国営企業)、DESなんて既存株式からしたら堪まったものではありませんよ!

一般的に企業が新株を発行したら一株当たりの株主価値が希薄化して株価は下落する傾向にあるため、新株発行は既存株主には敬遠されます。

でも、新株発行で調達した資金を資本コストを超える投資に活用して、株主価値を高めることができれば最終的には株価が上がる希望だって持てるでしょう。

でもDESにはそういう希望はあまり持てません。

DESは既存株主にとって悪条件の新株発行みたいなものです。銀行は貸出債権(質の悪い)を現物出資して新株を受け取るわけです。発行済み株式総数は増加するのに、増加株式に見合う資金が企業に入ってくるわけではないのです。

新興企業はたとえ高成長であっても増資をすることで発行済み株式数が増加して、結局既存株主一株当たりの取り分は増えない可能性が高いことが、私が新興国株式を長期投資対象として不適切だと思っている理由です。高成長は投資家からの高い期待に繋がり株価が割高になって、配当再投資が効率的に実行できないという問題もありますが。

普通の増資ですら勘弁してほしいのに、デットエクイティスワップとかマジで止めてくれ!!

唯一の救いは、中国人民銀行の周小川総裁がこのDESに警鐘を鳴らしていることです。「債務者にとって、DESは最後のフリーランチ(ただ飯)である」と総裁は言っています。
(やっぱり、中央銀行と政府の独立性って大事ですね!)

私は監査法人に勤務していた頃、某大銀行の貸出金自己査定監査に携わったことがあります。

ドラマ「監査法人」でそのシーンをご覧になった方もいるかもしれません。(実際はあんなに仰々しいものではありませんが。)

金融機関は数多くの貸出金の安全性を査定して、正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先(通称ハケ)、実質破綻先(通称ジッパ)、破綻先に区分して、それぞれ貸倒引当金を計上します。

不良債権という言葉がありますが、上記の区分のうち要管理先より下の貸出債権のことを指します。

会計士は金融機関が適切に貸倒引当金を計上しているかチェックするため、貸出先企業の財務状態や融資担当者へのヒアリングを実施します。財務状態が危ない会社なのに正常先として虚偽登録して、貸倒引当金の計上をしていないと虚偽の財務報告になります。

そんな虚偽の財務報告を信じて株を買って損をしてしまったら投資家は安心して市場で取引できませんね。投資家利益を守るため、監査法人の人々は夜遅くまで仕事頑張っています。オリンパス、東芝事件などで世間からの厳しい批判に晒されている監査法人ですが、99%の人は真面目に誠実に監査業務を遂行しています。

日本の大手金融機関もたまにデットエクイティスワップを実施しているのを自己査定監査の際に見かけました。でも、DESを実施している先というのは失礼ながらとても優良企業とは言えない会社です。業績、財務に大きな懸念のある企業(主に中小企業)に対してDESを実施しています。

DESを実施している貸出先を正常先と判断することは先ずあり得ません。

DESを実施している企業に株主として出資しようとは、ましてや長期投資として出資しようとは先ず思いません。

  やはり売るべきか…

この報道を見て、改めて中国株への長期投資は合理的ではないと思いました。

中国経済の2016年7-9月期のGDP成長率は6.7%もありました。統計が怪しいとか、かつての勢いはないとか批判されますけど、日本やアメリカなどの先進国の成長率と比べたら羨ましい限りです。

残念な投資家はこう思うわけです、アメリカの経済成長率は2.9%で中国は6.7%ってじゃあ未来明るい中国に投資すべきだろ!って。今これからは中国の時代だ!って。

皆さん、そんな残念な投資家になってはいけません。ちなみに私はかつて新興国株式ETFだけでなく、インドネシア株ETF、フィリピン株ETF、マレーシア株ETF、タイ株ETF、シンガポール株ETFを保有していました。

私はもろに成長の罠に嵌っていたわけです。今はすべて売却済みですが。

みなさん、私の二の舞を演じてはいけません。

一国の経済成長率と株式リターンはむしろ逆相関です。高成長な企業への投資が高投資リターンに繋がるわけではありません。

なぜなら、高い成長は常に株価に織り込まれているからです。

大事なのは、一株当たり利益の成長率が「投資家期待」をどれだけアウトパフォームするかです。この「投資家期待」というハードルが高い世界にわざわざ飛び込む必要はないんです。

体育の授業では女子にモテたいが為に高いハードルにチャレンジする意味はあっても、投資の世界では高いハードルにチャレンジする意味はないんです。

長期投資では、株主利益意識の高い米国優良企業がやはり合理的だと思います。

あー、やっぱり1582は売ろうかな。。

でもね、この前ニュースで見たんです、2017年最も期待できるアセットクラスは新興国株式だと!!う、、。

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