長期投資には投資タイミングはそれほどパフォーマンスに関係ないと言われます。
大事なのはアセットアロケーション、つまり株式と債券の割合をどうするか、株式の中でも日本株、先進国株、新興国株の割合をどうするか、といった投資内容の吟味の方が大切と言われます。

それは私も事実だと思います。
NYダウが17,000ドルの時に買うのか16,000ドルの時に買うのか、一見影響は大きいにように見えます。もちろん1,000ドル安い16,000ドルで購入したほうが得です。
ですが、30年後NYダウがもし100,000ドルまで上昇していたら、1,000ドルの違いなんてわずか1%の差です。

そもそも、短期的な相場予想など誰にもできないです。
株価の動きはランダムウォークで、株式市場は複雑系のシステムです。
投資タイミングなんて誰にも、ましてや普通の個人投資家にわかるはずありません。
もしわかれば、今頃大富豪でサラリーマンなんて辞めているはずです(笑)。

ですが、人間の心理として、自分が株を購入してすぐに相場が下落したら精神的には相当嫌なものです。
私も何度も経験があります。

長期で持つんだと思っていても、なるべく安い時に仕込めた方が得なのは間違いないです。

 ドル・コスト平均法とは?

投資タイミングは重要ではないと理解しているが、どうしても投資タイミングが気になってしまうという方にはドル・コスト平均法という投資法がおすすめです。

ドル・コスト平均法とはいわゆる積立投資のことで、毎月定額を機械的に購入していく方法です。

口数ではなく購入額を一定にする方法なので、株価が高い時には少なく、株価が安い時には多く購入することになるため、平均購入単価が抑えられるということで、個人投資家には大変人気の投資方法です。

そもそも、普通のサラリーマンが一括して数百万円投資することは経済的に困難なケースが大半なので、毎月3万円や5万円の積立投資などをするケースが多く、無意識的にドル・コスト平均法で投資している場合も少なくないと思われます。

ドル・コスト平均法について詳しく知りたい方は星野泰平さんの本がおすすめです。
『半値になっても儲かる「積立投資」』
『積立投資のすべて』

 ドル・コスト平均法は否定派

ドル・コスト平均法は最適な投資方法かもしれませんが、それは毎月のサラリーから投資資金を捻出する一般のサラリーマン個人投資家の場合、そうせざるを得ないからという側面が強いと思います。

私はドル・コスト平均法にはどちらかというと否定派です。

まとまった投資資金がある場合は、ちまちま投資するよりは一括で投資した方がいいと思います。
もちろん、相場が過熱していてPERが異常に高騰している時(ITバブルや日本のバブルの時など)は、投資には慎重になるべきですが。

なぜ否定派かというと、株式投資の期待収益率はプラスだからです。
1年後株価が上がっているか下がっているかわかりませんが、上がっている可能性の方が高いです。
株式投資はプラスサムです。

毎月コツコツ投資していっても、毎月株価が上昇していけば、結局最初に一括して買っておくことが最も得だっということになります。
もちろん、それはわからないし突然相場が急落するかもしれないから、ドル・コスト平均法を使って時間分散する人が多いわけですが。

どちらにしろ短期的な株価予想なんてできないわけですし、そうであればなるべく確率的に高い方に賭けたほうがいいのでは思います。
株価の動きは読めませんが、資本主義社会が崩壊しない限り、下がるよりかは上がる確率の方が高いです。

一括して投資できる資金があるのであれば、余計な機会コストをかけてまでドル・コスト平均法にこだわらず、一括投資してしまう方法を私は推奨します。

ただ、心理的に難しいことは承知しています。
私も一括投資できる資金があるのにモジモジして投資できないことは、今までも何度もありましたので。

言うは易し行うは難し、というやつですね。

 為替リスク平準化には有効かも

以上の通り私はドル・コスト平均法に反対だったのですが、最近少し考えが変わりました。

それは、外国株式を購入する場合に限っては、ドル・コスト平均法は結構有効なのではと考えていることです。

為替リスクは株価リスクと違って、リスクに対して追加リターンはありません。
為替リスクを果敢に取に行ってもそれに対する追加リターンは見込めません。
為替取引はゼロサムのゲームだからです。

株価はプラスサムで上昇する可能性の方が高いから、毎月コツコツ投資するより一括投資したほうがいいと言いました。

しかし、為替は違います。
為替は長期的にも短期的にもどちらに振れるの全くわかりません。

たくさんのアナリストがそれらしいことをたくさん言っていますが、為替予想が不可能なのは以下の書籍を読むとよくわかります。
『なぜ専門家の為替予想は外れるのか』
『「通貨と為替」がわかる特別講義 経済ニュースがスラスラ読める!』

為替はゼロサム取引で、1年後円がドルに対して強くなっているのか、弱くなっているのかなんて確率論的に予測不能です。

為替リスク平準化目的ではドル・コスト平均法は有効かもしれないと思いました。
読めない為替リスクを時間分散で平準化できます。

そもそも、「ドル・コスト平均法」という名称を考えれば、もともと為替リスクを平準化することが目的だったのですかね?
昔から、毎月の積立投資のことをなんでドル・コスト平均法と呼ぶのか疑問でしたが、そういうことなのでしょうか?

日本株しか購入しない方は、ドル・コスト平均法ではなく一括投資で、外国株を購入する方は、ドル・コスト平均法という投資方法もありかもしれません。

ただ、外国株式といえども為替変動よりも株価変動の方が大きいものです。
ゼロサムの為替取引を内在してはいますが、プラスサムの株式という側面を重視してドル・コスト平均法ではなく、やはり一括投資を推奨としておきます。

為替リスクがある外国株の場合は、日本株よりかはドル・コスト平均法を実施する合理的理由があるかなと思います。