飛行機って凄いですよね。あんな巨大な金属の塊と数百人の人が空を飛ぶなんて。エンジンを吹かせて数十秒で一気に加速して飛び立つわけですが、その離陸までがもっともエネルギーを使います。離陸時の速度は時速300㎞だそうです。F1並み・・。あんな巨大な物体がF1並みの速度で走行するなんて、さぞかし大量の燃料を消費することでしょう。しかし、所定の高度まで上昇して水平飛行になれば、あとは楽ちんです。

株式投資も似ているところがあります。加速して離陸するまでが大変。そこまで辿り着くことができるか。100万円をS&P500指数に投資しても配当は年2万円程度、益回りで見ても年7万円ほどの株式利益に過ぎません。100万円を投資に回すのはとても大変なことですが(特に最初は)、100万円を株式に投資してもぶっちゃけ人生は何も変わらないでしょう。年間7万円収入が増えたところで、それほど生活は変わらないかと思います。

そう、最初はそういうもんです。たくさんのエネルギーを金融投資に使っても、なかなか恩恵を感じることはできない。でもそこで諦めてしまったら、いつまでも離陸できません。離陸するまでがとにかく大変なんです、飛行機と一緒で。一度離陸して、水平飛行まで持っていくことができれば、後は高みから地上を眺めつつゆっくり優雅に移動することができます。

では、どれほどのエネルギー(お金)を株式に回せば離陸できるのか?

それは人それぞれだと思います。特に各投資家の標準生活費に依存します。極論ですが、1日300円、年間10万円で生活できる人にとっては、500万円の株式があれば離陸できるでしょう。1000万円もあればすでに水平飛行でのんびりです。1000万円あれば期待リターンは70万円~100万円/年は見込めますから。

標準的な日本の家庭の生活費は年間300万円~400万円ほどでしょうか。一般的な家庭を想定すれば、1000万円の株式を保有していても離陸は難しそうです。一人暮らしだと生活費はこの半分以下になるでしょうが、それでも1000万円ではまだ滑走路の途中かな、個人的な感覚としては。

まあ、離陸の基準点は人それぞれ感覚次第です。生活費だけでなく、サラリーマンをリタイヤするかしないかによっても、必要になるエネルギーは変わってきそうです。

私はまだ離陸できていません。空港の滑走路を走っている途中です。かなりスピードは出てきたけど、まだ飛び立てる段階ではありません。いま無理に飛び立てば多分事故ります。運用額が今の2倍、5000万円くらいになればフワッと離陸できそうかな。1億円あれば水平飛行態勢に移って、シートベルト着用ライトも消えそうです。ちなみに、私はアーリーリタイヤ願望はありません。

学生の頃は地上でわちゃわちゃするしかないと思っていました。そういう両親を見て育ちましたから。社会人になってから、偶然株式投資の世界を知って、空への道があることを知りました。大空に飛び立てることができれば、面倒な地上戦を回避できる。ただし、誰でも大空に飛び立てることができるわけではない。お金持ちの家に生まれるか、さもなくば自分で努力して資本家になるしかない。僕はもちろん後者です。

若い時に貴重なお金を金融投資なんかに回すべきではない、もっと自分に投資すべきだ。こういう意見をよく聞きます。確かに一理ありますね。有限リソースをどこにどれだけ配分するか、これは大人なら自己責任で決めるしかありません。絶対に正しい道なんてありませんから。

優雅な空の旅なんて興味ねぇわって人もいるかと思います。全力で地上で戦う方が楽しいかもしれません。ただ多くの人は、空への道があること自体知らないのではという気もします。

僕は空への道を知ってしまった以上、やっぱり飛び立ちたいです。離陸のためにエネルギーを貯め込んで、そしてガンガン噴射して時速300㎞で走りフワッと浮いてみたい。7年かけてここまで加速したんだから、何とか離陸まで持っていきたい。30代で離陸して40代には水平飛行が目標かな。ちょっと難しそうな気もしますが、あくまで目標ってことで。

うまいこと事故もなく離陸して水平飛行になれたら、座席でゆっくり眠るのもありかもしれませんね。ただ僕は何も活動せずにぐうたら過ごすのは、ちょっと性に合わないようです。せめて映画でも観たい。席でPC開いてカタカタ仕事するのも良さそうかな。自由に好きなことをやりたいです。

空の旅はどんな感じなんだろうか、妄想が膨らむときがあります。でも意外にすぐに感動は薄れる気もします。初めて飛行機に乗った時は感動したけど、数回乗るのとただの移動手段に過ぎなくなりましたからね。だから、飛行機の中で何をして楽しむのか今のうちから考えておくべきなのかな。いや、まだそこまで考える段階ではないか。先ずはもっと速度を上げて離陸できる態勢にならないと。