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法人減税の恩恵を受ける真の勝者は、地味で高収益なビジネスを持つ優良企業

   

30年ぶりに米国法人税率の引き下げが実現する見込みです。20%まで下がるかどうかは不透明ですが、現在の35%という高い法人税率から幾らか下がることは確実でしょう。

「法人税減税の恩恵を受ける企業はこれだ!」的なニュースをよく見かけます。

よく聞くのは、大企業よりも中小企業の方が減税の恩恵を受けやすいという話です。中小企業は米国内での売上が多いので法人税負担率が高い傾向にあります。

アップルやマイクロソフトみたいなITグローバル企業の実際の税負担率は低いです。グーグルやマイクロソフトの法人税負担率なんて20%を切っています。米国の法定実効税率は35%にもかかわらず。

米国内での売上が大半の中小企業は節税する余地が小さいので、実際の税負担率≒法定実効税率(35%)となっています。なので、中小企業は法人税率低下の恩恵を受けやすいと言われます。

確かに納得ですよね。すでに法人税負担率が20%以下のマイクロソフトやグーグルにとっては、別に米国の税率が低下してもそんなに恩恵はないです。すでに”華麗なタックスマネジメント”で税負担率は低いですから。でも、”華麗なタックスマネジメント”を行う余地が小さい中小企業は、法人税率の低下がそのまま実際の法人税負担率の緩和に繋がります。

長期投資家のあなたは、ジョンソン&ジョンソンのような大企業に投資しているのではないでしょうか?

「減税の恩恵が大企業に小さく中小企業に大きいなら、自分が投資しているコカ・コーラやジョンソン&ジョンソンなどにとって減税はあまり意味ないのか・・トホホ」と残念に思ったかもしれません。

 

いえいえ、あなたに朗報です。

法人税減税の恩恵を最大限に享受できる企業は、知名度の低いドメスティック企業ではありません。コカ・コーラやプロクター&ギャンブル、ジョンソン&ジョンソンなど、高収益かつ地味なビジネスを営んでいるワイドモート企業こそ法人減税の恩恵をもっとも受けることができる真の勝者です。
(私の個人的意見ですが)

法人減税は中小型株に有利だから、今の内に銘柄を入れ替える?
いや~、どうでしょうかね。私は反対ですね。

なぜ、コカ・コーラなどの地味なビジネスを営んでいる高収益企業が、もっとも法人減税の恩恵を受けることができるのでしょうか?

 

法人税を負担しているのは株主か従業員か消費者か

法人税を払っているのは形式上は企業です。つまり株主です。当たり前ですが。
「法人」税と言うくらいですからね。

でも、法人税を負担してるのは従業員や消費者だという解釈もあるんです。

「法人税を負担しているのは株主か従業員か消費者か」というのは昔からある古典的論点なんです、実は。

 

法人税が減少したら、従業員の給料は上がるでしょうか?

法人税が減れば企業の利益は増えるので、その利益の一部を従業員に還元するよう経営に圧力が掛かる可能性はあります。雇用の継続に重きを置く人が多い日本ではあまり考えられないですが、雇用の流動性が高い米国では法人減税に伴う労使の対立があるかもしれません。法人税の多寡によって従業員の給料が変わるならば、法人税は実質的に従業員が一部負担していると解釈することもできそうです。

 

法人税が減少したら、消費者に利益はあるでしょうか?
消費者に利益があるとはつまり、減税でコストが浮いた分商品の販売価格が安くなるということです。

これも実際にあり得る話です。企業は競合に負けないように常に競争しています。品質が同じなら価格は少しでも安い方が顧客に売りやすいですよね。

法人税負担が減るってことは、企業はいくらか商品を値下げしても収支が釣り合うということです。減税で原価が小さくなっているので、売価を抑えても利益は捻出できます。もちろん限界はありますが。法人税率の高低によって商品価格が変わるというならば、消費者も実質的に法人税を負担していると解釈することができます。

 

法人税を払っているのは形式的には企業(株主)ですが、実質的に負担しているのは株主・従業員・消費者の3者だと言えます。(他のステークホルダーもいますが、メインはこの3者だということです。)

 

法人減税による利益の増加を株主・従業員・消費者の3者で奪い合っているイメージです。3者間の富の奪い合いです。

法人税減税による利益の増加を一番多く得ることができるのは、株主・従業員・消費者の3者のうち誰でしょうか?

あなたは米国企業の株主ですよね(消費者でもあると思いますが)。
あなたは、株主が法人減税の恩恵を受けやすい企業の株に投資したいはずです。

株主が法人減税の恩恵を最も受けることができる企業とはどんな企業でしょうか?

 

伝統的なビジネスを営んでいるワイドモート企業の株主が、もっとも法人減税の恩恵を受ける

私見ですが、法人減税の利益を従業員や消費者に奪われず、その利益の大半を株主がゲットできる企業は、コカ・コーラやプロクター&ギャンブルなど地味なビジネスを営んでいるブランド力のある高収益企業です。

なぜなら、このような企業は従業員や消費者に対する交渉力が強いからです。

 

従業員に対する交渉力が弱いのはアップルやフェイスブックのようなハイテク企業です。ハイテク企業は、IT系の高度な専門スキルを持つ従業員をたくさん雇用しておかないと競争に負けます。ハイテク企業はブランド力で食っている面もありますが、やはり優秀な従業員の頭脳が収益の源です。

ハイテク企業は従業員の給料を安易に減らすわけにはいきません。最近は失業率も下がって雇用は逼迫しています。従業員が、より好待遇な環境を求めて競合他社に転職してしまわないように注意する必要があります。

法人減税で利益が出て従業員が給料アップを求めてきたら、ハイテク企業の経営陣は簡単にはその要求をはねのけることはできないでしょう。優秀な社員を残すためなら、給料を上げたり特別賞与を支給することも検討するはずです。

 

消費者に対する交渉力が弱いのは、価格競争力を持たないコモディティを売っている企業です。価格でしか勝負できない商売では、減税で製品原価が安くなれば必ずどこかが安売りを仕掛けてきます。値下げしてもシェアが拡大すればいいという思いがあるからです。それに負けじと、競合も自社も値下げをやらざるを得なくなります。そうやって、減税によってせっかくコストが下がってもその利益は消費者に移転していきます。

日本で言えば牛丼チェーンなんかは、一時期激しい値下げ競争を繰り広げていましたね。「腹さえ満たせればいい」という顧客が多く、品質で価値を遡及できる範囲が狭かったのでしょう。私は吉野家が一番好きですが。100円高くても吉野家がいいですけどね。

 

法人減税の恩恵を従業員と消費者に奪われることなく、株主が減税による利益の大半を得ることができる企業がどんな企業なのか段々見えてきましたね。

優秀な従業員を高給で雇う必要がある企業は、法人減税による利益の一部を従業員に持っていかれる可能性があります。

コモディティ製品ばかりを売っている収益性の低い企業は、法人減税による利益の大半を消費者に持っていかれる可能性が高いです。

従業員にも消費者にも、減税による利益が移転しない企業とはどんな企業なのか?

それは一言で言えば、過去の遺産で食っている高収益企業です。

過去の遺産とはブランド力とか色んな表現ができますが、すでに儲けの仕組みが完成している企業ということです。ビジネスを回すために特段優秀な従業員が不要な企業です。また、消費者に高値を請求できることも大事です。

すでに事業のシステムが出来上がっていてかつ利益率が高いビジネス、こんな美味しいビジネスを持っている企業はごく僅かしかありません。たとえば、コカ・コーラやプロクター&ギャンブル、フィリップモリス・インターナショナルなどの消費財系が挙げられます。

長期的には、これらの企業の株主が法人減税の恩恵をもっとも受けやすいと考えています。

 

法人減税を巡って短期的には銘柄間のリターンに差が出ると思われます。特に買われる可能性があるのが中小型株です。国内事業中心で現在負担している法人税率が高いので、税率低下の恩恵を受けやすいとマーケットに思われています。

それは確かに事実です。しかし、より長期的な目線で考えれば、法人減税の恩恵を受ける真の勝者は中小型株ではありません。真の勝者は過去の遺産を使って地味なビジネスを回し、人知れず稼ぎまくっている優良企業です。

従業員に富を奪われる可能性があるとしてハイテク企業を挙げました。しかし、より注意すべきは消費者に富を奪われるリスクのある収益力の弱い中小企業です。これらの企業は法人減税を巡って短期的に買われる可能性はありますが、長期的には法人減税の恩恵はほとんど消えると思った方がいいです。消費者に全部持っていかれます。

法人減税を見込んで短期的なトレードを行うのも全然ありだと思います。ただ長期投資のポートフォリオのコアは優良企業で固めましょう。

法人減税のメリットを最大限享受できるのは、単純だけど高収益なビジネスを持つ優良企業です。

バカでも経営できる企業を探しなさい。

ウォーレン・バフェット

 - 投資実務