※2018年12月期決算データ反映、コメント刷新(2019/6/2)

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はアンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)をご紹介します。

基本情報

会社名アンハイザー・ブッシュ・インベブ
ティッカーBUD
創業1366年
上場2009年
決算12月
本社所在地ベルギー、ルーベン
従業員数175,000
セクター生活必需品
S&P格付A-
監査法人Deloitte
ダウ30×
S&P100×
S&P500×
ナスダック100×
ラッセル1000×

地域別売上構成比

セグメント別売上構成比

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

なし

過去8年の配当成長

年率+26.9%

この8年で配当は6.7倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

ADR上場以来(2010~2018):+5.6%

バリュエーション指標(2019/6/2時点)

予想PER:16.8倍 最新情報はこちら

配当利回り:2.7% 最新情報はこちら

コメント

2008年にベルギーのインベブが、米アンハイザー・ブッシュを買収して現在のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)が誕生しました。2016年10月には業界2位の英SABミラーを1080億ドルで買収し、世界ビール市場で3割のシェアを獲得し世界トップメーカーの地位を確立しました。

英国のコンサルティング会社の調査によれば、世界のビールブランドのトップ10のうち、8つをBUDが保有しています。具体的にはバドワイザー、バドライト、コロナ、ステラ・アルトワ、スコール、ブラマ、アギラ、ミラーライトです。

売上高500億ドル超の超巨大企業です。年間ビール生産量は約500億リットルで、2位ハイネケンの230億リットルを大幅に上回っています。米国、欧州、ブラジル、アジア、メキシコなどグローバルでビジネスを展開しています。

過去の財務データを見てみましょう。

売上高がFY17にグッと上昇していますが、これはSABミラー買収によるものです。グロスマージンは60%以上もあります。同じ飲料メーカーであるコカ・コーラ(KO)の粗利率とほぼ同水準です。ビールはコーラと同じくらい儲かるようです。

FY18の売上高は546億ドルで前年比▲3.2%。FY18のビール、非ビール(主に炭酸飲料)合計の生産量は567億リットルで前年612億リットルから7%減少。コカ・コーラのアフリカにおけるボトラー会社の持分54.5%をコカ・コーラ社に譲渡した影響が大きいです。EMEA(欧州中東・アフリカ)は15%近い減収となっていますが、実質的には売上微増です。見た目ほどトップラインは落ち込んでいません。北米での売上高はほぼ横ばいでした。

FY18の純利益は43.7億ドルで前年比▲45%。財務コストが嵩んで減益決算になっているようです。注記を見ると株式報酬プログラムのヘッジ取引時価評価損や保有株式の時価評価損が発生していました。詳しい内容は理解できませんでした、すみません。

キャッシュフローは潤沢です。毎年140億ドル近くの営業CFを稼ぎ、100億ドル程度がフリーCFとして残っています(FY16はSABミラー買収の為、フリーCF減少)。営業CFマージンは30%近くあって高収益ですね。

バランスシートを見てみましょう。総資産の9割が固定資産ですが、中身の大半はM&Aによって認識したのれんと無形資産です。2013年のメキシコのグルポ・モデロ買収、2016年のSABミラー買収の2件によるものが大きいです。工場等の有形固定資産は総資産の1割ほどしかありません。

FY16に固定負債が大幅に上昇していますが、SABミラー買収のため、長期借入金が500億ドル近く増加したためです。利息費用は売上高の7%にも及んでいます。この巨額の債務を徐々に削減しないとしんどいです。

FY18に配当を半分にカットしました。巨額M&Aの債務負担に加えて想定上のユーロ安が重しとなり、配当原資の確保が困難になり減配となりました。本業の収益悪化が原因ではないものの、やはり減配は辛いですね。。減配しているくらいだから当然ですが、自社株買い実績はここ3年ゼロです。

BUDはベルギー株で現地源泉税率が30%もあるのがネック。NISAでは買わない方が賢明でしょう。