※2017年12月期決算データ反映、BSデータ追加、コメント刷新(2018/9/2)

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)をご紹介します。

  BK財務情報等

基本情報

会社名 バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
ティッカー BK
創業 1784年
上場 2007年
決算 12月
本社所在地 ニューヨーク州
従業員数 52,500
セクター 金融
S&P格付 A
監査法人 KPMG
ダウ30 ×
S&P100
S&P500
ナスダック100 ×
ラッセル1000

 

地域別売上構成比

 

セグメント別売上構成比

 

業績

 

バランスシート

資産

負債純資産

 

株主還元

 

連続増配年数

5年

 

過去10年の配当成長

年率▲0.7%

この10年で配当は0.9倍に縮小しました。

 

バリュエーション指標等(2018/9/2時点)

予想PER:11.6倍 最新情報はこちら

配当利回り:2.2% 最新情報はこちら

PBR:1.4倍 最新情報はこちら

 

感想

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)は世界最大の信託銀行グループの持ち株会社です。1792年創業で200年以上の歴史を持つ企業です。NY市場に最初に上場した企業でもあります。世界35カ国で事業展開しています。

事業セグメントは以下の2つ。
・Investment Services(投資サービス)
・Investment Management(投資管理)

投資サービスでは、資産管理(カストディ、外国為替、担保管理など)や企業への金融技術ソリューションの提供、決済サービスなどを行っています。

カストディ業務分野でグローバルトップの地位にあります。カストディ業務とは、投資家の代理人的な役割で有価証券の保管管理や運用成績管理、担保管理、ファンド運営管理、執行・決裁、議決権の行使などを行う業務です。証券管理(カストディ)部門の預かり資産は約33兆ドルもあります。

投資管理は機関投資家の資産管理、プライベートバンキングなど。管理財産規模は1.9兆ドルで世界7位。

ウェルズファーゴやUSバンコープに隠れて目立たない存在かもしれませんが、BNYメロンもウォーレン・バフェット率いるバークシャーが保有する金融銘柄の一つです。バークシャーは2018年度もBNYメロン株を買い増しています。

 

 

財務諸表を確認してみましょう。

営業収益(売上高)はリーマンショック直後のFY09こそ急落していますが、FY10以降回復しています。その後は150億ドル付近で横ばいが続いています。売上高は横ばいですが純利益は増えており、収益性が改善していることがうかがえます。純利益率はFY15以降20%を超えています。コスト削減を進めてきた効果が表れています。

経費率(業務経費/売上高)を見てみると、FY15から大きく改善していることがわかりました。FY12~FY14の経費率は55%ほどありましたが、FY15からは50%を切る水準まで下がっています。2012年にバフェットがBK株を大量に買い増したこともBKのコスト削減圧力になっていたのかもしれません。ROEも改善傾向で直近FY17では10%を超えました。

FY17の営業収益はほぼ前年並み。FY17の純利益には税制改革(法人減税)に伴う一時的な利益が加味されています。EPSは3.7ドルでしたが、この税金関連収益を除くと3.3ドルほどです。これでも、前年より増えています。

バランスシートを見てみましょう。総資産の36%が運用投資資産です。他は現預金(FRBへの預金含む)と貸出金が主です。調達側は預金(Deposit)が66%を占めます。一般的にイメージする個人の銀行預金ではなく、顧客からの預かり財産という意味です。自己資本比率は11%。

配当はさすがにリーマンショックで減配していますが、他の金融機関に比べれば減配幅は小さいです。FY11以降増配を続けています。自社株買いも積極的で、ここ4年間の総還元性向は100%近いです。利益のすべてを株主に還元しています。

信託銀行世界トップとして預かり資産が急減することは考えにくいと思います。金融セクター銘柄にしては景気に左右されにくく、安定してキャッシュを生み出せる事業内容です。