初めてアマゾンの財務諸表をじっくり見ました。10-kレポートも一通り読みました。やっぱりすごい企業です。企業の強さって財務諸表ににじみ出て来るんですよね~。それがよーくわかります。

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)という指標があります。「CCC=売掛債権回転日数+在庫回転日数-仕入債務回転日数」という式で算出できます。

あ~、あんまこういう式を覚えようとしなく大丈夫です。ただCCCの意味だけは知っておいて貰えると嬉しいです。たまに経済誌や日経にも出てきますので。CCCは小さければ小さいほど資金繰りが優れていて、その企業の交渉力が強いことを意味します。交渉力って顧客やサプライヤーに対する力って意味です。

直近の財務データに基づくアマゾンのCCCです。

売掛債権回転日数(22日)+在庫回転日数(37日)-仕入債務回転日数(80日)=▲21日

CCCがマイナス!!

最初に「ん??」って思ったのは、アマゾンのBSの買掛金(Accounts payable)がやけに多いな~と思ったことです。負債純資産合計で1,313億ドルありますが、うち346億ドルが買掛金でした。これはかなり多いです。

買掛金という負債が多いことは悪いことと思われるかもしれませんが逆です。買掛金の金額が大きいことは基本的にはポジティブに捉えます。それだけ長い支払いサイトをサプライヤーに要求できることを意味するからです。

アマゾンにとってのサプライヤーとは、アマゾンのECサイトに出品している事業主ということです。アマゾンはそれらの事業主に対する支払いを相当遅らせていると想像できます。アマゾンの交渉力が強いからできることです。事業主がアマゾン様に逆らえないから、「おい支払いは3カ月後でいいよな!」ってアマゾン様から言われても、事業主は「はい、わかりました。」としか言えないわけです。実際に仕入債務回転日数は80日でしたから、まあ3ヵ月くらいです。

 

あと在庫回転日数がわずか37日しかないのも驚きです。アマゾンのデッカイ倉庫の写真を見たことありますよね。あれだけ大量の在庫を保有しているにもかかわらず、意外にも回転日数は1カ月ちょいなんです。たった1ヵ月分の在庫しか保有してないです。


イギリスにあるアマゾンの倉庫の様子です。壮観ですよね。こういう風景を見ると、アマゾンのBSにはさぞや莫大な在庫が計上されているんだろうな~と想像しちゃいます。確かに160億ドルという在庫金額は小さくないですが、1,778億ドルという売上規模を考えるとそんなに大きな金額でもないんですよ。

どうやったら、こんな少ない在庫量でビジネスを回せるんですかね。不思議です。アマゾンと言えば、注文出してから配送までが短くて有名ですよね。即日配送サービスまであるくらいです。そういったサービスは顧客利益になっていると同時に、アマゾンの利益にもなっています。まさにwin-winの関係。在庫が少なくなるとCCCが短縮化され、結果としてROE向上にも寄与します。

 

マイナスのCCCを見たのは久しぶりです。アップル以来です。アップルもCCCがマイナスなんですよ。アップルの件もいつか記事にした記憶がありますが、忘れちゃいました。強い企業はCCCが短いんですが、中でも最強企業はCCCがマイナスになるんです。アマゾンの最強企業っぷりが財務諸表からよくわかりました。