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株式の「会計上の利益」を意識しよう!(ただし例外あり)

   

では中流層にとってどれくらいの規模の資本家になるのがいいのでしょうか。まずはゴールを設定しましょう。「65歳になった時点で5000万円の金融資本を確保する」ことをこの章のゴールに設定します。

なぜなら、65歳になった時点で5000万円あれば、それをそれなりの運用利回り(理想的には6%から10%はほしいところです)で継続的に運用していくことができれば、毎年300万円から500万円規模のお金をお金が稼いでくれるようになるからです。そうなれば、年金があてにできない未来でも、中流の年収を維持することが可能です。

『格差と階級の未来』(講談社+α新書)より抜粋

年300万円~500万円というと日本人の平均年収くらいです。それをお金が(株式が)稼いでくれるなんて、なんと素晴らしいことでしょうか。

著者の計算に無理はありません。たとえば、米国株の過去200年の実質リターンは7%程度で、2%のインフレを考慮すれば期待名目リターンは9%です。「運用利回り(理想的には6%~10%はほしいところ)」というのは、十分に現実的な利回りです。

5000万円に7%かければ350万円、10%かければ500万円です。なるほど、がんばって金融資本(株式)を5000万円蓄えることができれば、年金をあてにせずとも普通の生活が送れるように思います。

ですが、この350万円~500万円という株式利益はあくまで机上での計算上の利益であってキャッシュフローではないという問題があります。株式の期待リターンとして9%(名目)を想定するのは現実的ですが、毎年「運用額×9%」のキャッシュが降ってくるわけではありません。そうですよね、んなこと投資家のあなたに言うまでもないことかと思います。

実際にキャッシュインがあるのは配当のみです。「運用額×配当利回り」が(減配しない限り)確定された株式収入です。現在、S&P500連動ETFの分配金利回り(=配当利回り)は2%ほどです。これが平均。高配当と言われる銘柄でも3%前後です。つまり、5000万円を株式で運用しても実際に生活費として想定できる金額は100万円から150万円程度ということです。

いや、別にキャピタルゲインがあるじゃないか?

確かにそうです。株式収入には配当だけでなく値上がり益もあります。でも、株価は不確実です。今後1年、2年の株価変動なんて予想できません。

株の期待リターンは9%で配当利回りが2%ってことは、残りの7%はキャピタルゲインになる。7%の値上がり分を売却して取り崩して生活すればいいや。

こういう想定は無理がありますよね。
こんな順調に株価が上がるなんてことはありません。ある年に40%上がったかと思えば、翌年は30%下がる、その翌年は20%上昇し・・・。そんなジェットコースター相場を繰り返して、振り返って年間平均を算出すると7%くらい株価は上がってきたねって言えるだけです。

僕は配当じゃなくて株式の会計的利益に着目するという考えが好きです。5000万円運用して期待利益は毎年300万円から500万円見込める、という著者の発想は好きです。この発想は長期投資家として大切だと思っています。日々の株価変動にどうしても右往左往しがちですから。株価が30%も下がろうもんなら、「配当なんかもらっても焼け石に水じゃー!」って気分になるものです。

確かに1年、2年程度の配当なんか存在感が消えるくらい株価は大きく変動します。個別銘柄はもちろんのことS&P500指数やNYダウだって、やはり株式である以上変動は大きいです。

しかし、どれだけ株価が下がろうとも、投資先企業がきちんと利益を上げていれば、株主であるあなたの株式利益はプラスです。「益回り×運用額」でも「EPS×保有株数」でも「税引き後利益×保有割合」でも計算方法は何でもいいのですが、企業の税引き後利益のうちあなたの出資割合相当があなたの株主利益で間違いないのです。

コカ・コーラが1000億円の税引き後利益を計上して、あなたが0.001%の株式を保有していれば、あなたの株主利益は100万円(1000億円×0.001%)です。たとえ、その年にコカ・コーラの株価が20%下落してキャピタルロスを被ろうとも、あなたの実質的な利益は100万円です。

こういう利益勘定の方法を会計用語で持分法と呼びます。また、ウォーレン・バフェットは「ルックスルー利益」なんていう表現を使って、これと似た概念を提唱しています。

何も難しいことはないです。
要は企業の利益=株主の利益と言っているに過ぎません。

アマゾンなどPERが高い銘柄の株主利益(ルックスルー利益)を計算すると、その金額は小さくなります。株価2000ドルを前提とすると、アマゾンの予想PERは74倍にもなり益回りは1.3%しかありません。100万円投資しても株主の会計的利益(≒ルックスルー利益)は1.3万円にしかなりません。こういう時は、著者が提唱しているように「運用額×期待リターン」を使うのもありだと思います。適当に9%とか。

会計上の利益はあくまで帳簿上のものでしかありません。株式投資において会計上の利益とキャッシュフロー(配当)が一致することは先ずありません。特に短期では大きくずれます。優良企業は毎年黒字決算が普通なので、株主の会計上の利益は常にプラスですが、決算が黒字でも株価が下がることは普通にあることです。

僕は自分のポートフォリオがS&P500指数に勝てる強い自信はありませんが、長期で株主利益がプラスにはなると確信しています。損はしない自信があります(何の自慢にもならんけど)。なぜなら、私は高収益で黒字決算を継続できる強い企業にしか投資していないからです。投資先企業が毎年、営業利益率20%とか叩き出して荒稼ぎしているというのに、その企業の所有者である私が損失を被ることは、理論的にあり得ないことです。

株価が下落した時に売却しちゃったら、そん時は損しますよ、確かに。それはある。でも優良株をホールドし続ければ、リターンが資本コストを超えるかどうかは別として、とりあえずプラスリターンは確保できるはずです。

株価を無視するわけではありません。それどころか毎日株価見ています。含み損は辛いし、含み益は嬉しいです。それが本音。ただ、長期では会計上の利益が株主利益に近似してきます。理屈上そうなります。だから日々の株式市場をエンタメとして楽しみつつも、意識は企業の利益に向いています。

会計上の利益を意識することで、昨年末のように株価が調整してしんどい時にも「自分は株主としてしっかり儲けているんだ!」って思うことができます。そのマインドが投げ売りを防いでくれる効果もあるかもしれません。

あなたの年収はいくらですか?

投資家なら本業の給与収入だけでなく株式収入も加味したいところ。配当だけ加味するのがもっとも保守的な方法ですが、それよりも株式の会計上の利益を意識してはどうでしょうか。S&P500ETFを1000万円相当保有していれば、益回り7%とすれば、その会計上の利益は70万円にもなります。もし本業の年収が500万円なら、ダブルエンジンで570万円ということです。大きな違いですよね。しかも、株式収入の70万円は給与収入を上回るペースで複利で増加することが期待できます。さらに利益に対する課税が繰り延べられるという特権まであります(配当は即課税ですけどね)。

あなたがジョンソンエンドジョンソンとかマイクロソフトのように、毎年莫大な利益を計上している「素晴らしい企業」の株主であるならば、株価に関係なくあなたの会計上の株主利益は毎年プラスです。その利益を地道にコツコツ積み上げることが、長期投資成功の肝だろうと思います。

短期の株価は気にしない。目前の配当の多寡も本質ではない。いかに会計上の株主利益を長期で大きく積み上げることができるか。それを追求していけば、株価と配当は後から嫌でも付いてきます。

株式の会計上の利益に注目すること。これは長期的にマーケットに居続ける上で、是非とも持っておきたい投資戦略の発想法です。時に裏打ちされた優良企業の長期株主リターンが高いのは偶然ではありません。必然です。

(ただし、会計上の利益を意識せずにキャッシュに着目すべき時もある)

さて、ここまで会計上の利益を見ようと言い続けてきたわけですが、そうとも言ってられないこともあります。会計上の利益を見て短期の株価なんて無視できる余裕があるのは、20年後30年後を見据えることができる投資家だけです。株式投資で生計を立てるとなると、そんな帳簿の利益なんて勘定してる場合じゃありません。生活には現金が必要です。「お金はないけど、会計上の株式利益はあるからツケでよろしく」なんてセリフを受け入れてくれる飲み屋はありません。

最初に『格差と階級の未来』という著書の一節を取り上げましたが、運用額×期待リターンという会計上の利益を老後生活資金の当てにするのは個人的には反対かな。年金代わりにするくらいの気持ちなら、運用額×配当利回りという保守的な計算をした方がいいと思います。

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