私、学生時代からずっと「それって抽象化するとどうなるのか?」ってことを考える習慣がありました。

それは大学受験やら会計士試験をなるべく効率的に、かつ頭にしっかり残る形で勉強するにはどうすればいいか考えるとそこにたどり着くからです。家が貧乏で塾とか行かせてもらえなかったので、自分のない頭でいかにそのハンデを巻き返すかを真剣に考えていました。その結果、とにかくガムシャラに時間を使うのではなく、いかに早いスピードで本質的な抽象論の理解に辿り着くかが勝負だという結論に至りました。

抽象化するって時にはかなり難しいです。特に言語化して人に説明するとなると意外と難しいです。ふわっと理解しているつもりでも、人にわかるように伝えるとなると一気に難易度が上がります。

ただ「抽象化」という概念そのものは何ら難しいものではありません。「抽象」という言葉がちょっと難しく感じる原因かもしれませんが。

米国株を例にすれば、こんな感じです。

単純ですよね。

KOを一段上に抽象化すると生活必需品セクターになるし、それをもう一段抽象度を上げると米国株になります。

もちろん切り口はこれだけではありません。KOを「不道徳銘柄」とカテゴライズするのも一つの抽象化です。切り口は様々です。だから言葉は大切です。言葉が人の思考を規定します。

すっごい単純なんですけど、こういう一つの領域の全体像を頭の中に描くことは、めちゃくちゃ大事だと思います。全体の地図を描いて、今自分がどこにいるのか客観的に把握するということです。北海道にいるのか、仙台にいるのか、東京か、広島か、鹿児島か、今自分がどこにいるか把握しないと前に進むことはできません。それがわからなくてもガムシャラに進むことはできますが、大変非効率です。時間は有限な貴重資源ですから。

単純な図を示しましたが、個別の具体事例を上方に抽象化してそれをまた下方に具体化するという思考作業を円滑に行うには、そのジャンル(ここでは株式投資、ファイナンス)での良質なフィルターが必要です。

思考のフィルターとは具体を抽象に昇華させるためのものです。

新しいジャンルを勉強しようと思う時、こういう全体像が先ず見えないです。それが苦しい。その業界に居る人にとっては当たり前の全体地図がこちらにはない。
ドラクエでも、もしマップがなかったらどこに進めばいいかわからず大変ですよね。

だから、何とか先ず全体像を把握して、その中でなるべく上層の概念を把握するように努めるべきだと思います。上の例だと一番上は「米国株」という言葉ですね。上層の概念の理解が今の自分では難しいと感じたら、下層のより簡単な(より具体性の強い)概念を把握するように戦術を変更します。

勉強で具体と抽象を行き来するとはこういうことです。
参考記事
『株式投資の未来』を何度も何度も繰り返し読むべき理由

ちなみに、図にはしていないですが、「米国株」の上にはさらに「金融」やら「投資」、「ビジネス」とかいう言葉が来るはずです。その切り口は色々とあると思います。

でもね、、今さらっと言いましたが、これは言うは易く行うは難しなんですよ~。

一番苦労するのは、そのジャンルの全体像の把握。そして各概念の位置関係の把握です。上のピラミッドを描くのが先ず大変です。それを知るためにお金を掛けるのは有効だと思います。情報を買うというか、もはや時間を買うイメージです。

 

 

ところで、私はファイナンスや会計ではある程度フィルターを持っている自信があります。

でもファイナンス・会計以外のフィルターは薄っぺらです。激薄です。

米国株という一つのジャンルの中での抽象化作業も大事で、だからファイナンスの知識を得るのはとても有益だと思いますが、全く別のジャンルの事柄を株式投資に結び付ける作業も大事だと感じています。そこで必要になるのがやっぱり抽象化です。

そこでは株式投資(ファイナンス)だけのフィルターじゃ、足りないです。

物理学の世界と株式投資の世界を結び付けるには、物理学のフィルターも必要です。てか、そっちの方が大事でしょう。でも、そのフィルターを私は持っていません。欲しいなって思いますけど。まあそんな勉強するモチベーションないですが。。

なんかこんなイメージです。単なるイメージですよ。各領域間を移動するにはフィルターを通過しなくちゃいけないです。

だから思うんです、会計財務バカの自分は不利だなって。株式投資と言えば、会計やファイナンスに強いことが大事だと思われるかもしれません。確かに、それは大事です。

ただ、株式投資に関するコンテンツを楽しく発信するためには、ファイナンスのフィルターをこれ以上分厚くしても仕方ないかなと最近思う次第です。

あ、これは私がブロガーとして文章を書いているからそう思っているだけですよ。

あなたは別に株式投資の文章を書きたいわけではなく、ただ純粋に資産運用として株式投資をしているだけのはずですから、そうであれば最優先はファイナンスのフィルターは作り上げることだと思います。そうすると、いつも通り投資関連のニュースを読んでいても、情報をいい意味で捨てることができると思います。

そうして本当に大事な情報だけが、長期記憶としてあなたの側頭葉に蓄積されます。

株式投資って最後はえいや!で判断するアートの要素が強いと思います。でもだからってサイエンスをないがしろにしていいわけではありません。どちらも大事、バランスでしょうか。